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初めての泣き声
随分長い間、休んでしまった、気がするが、特に仕事には、差し障りがなかった。うちの課は、インフルエンザの蔓延を、免れているのもあって、うまく課長が、仕事を割り振ってくれたらしい。心配してくれる皆に、負担があまり、かからなかったのも、ありがたかった。
ところが、事件は終業間際に起きた。
「はい、はい、すみません」
オウムちゃんが泣き声で、電話に対応している。
皆も心配顔で見ている。
隣のベテランお局様が、身振り手振りで指示して、電話をかわるように伝え、彼女もその指示に従った。
「はい、お電話代わりました、あら北川さん」
オウムちゃんは、用件を聞き終わるまで、ハンカチを口に当て、じっと聞き入っていた。
皆が注目する中、電話を切ったお局様は、ふーっと息をつく。
「ほら、青丸商事の北川さん、あの人当たりが強いから」
「あー。方言も混じると、凄く怒られてる気分になるよね」
「そうそう、怒ってはなかったけどね、送った書類に間違いがあって、もう一度送ってくれって」
そこまで言って、思い出したように、オウムちゃんに、声をかける
「橋詰さん大丈夫?」
すみません。と呟いて、オウムちゃんは席を立ち、小走りで出ていった。
今度は、皆の視線が俺に集まる。言われるまでもなく、後を追いかけた。




