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命名、オウムちゃん。

命名、オウムちゃん。


 彼女はとても感じがいい。

 まず、可愛い、少し細身でスタイルも良く、何よりメガネっ子だ。

 個人的な意見ではあるが、眼鏡が似合う女性は、とても知性が高いように見えて良い。なおかつ彼女は、その愛らしい容姿とフレームの選び方で、ともすれば冷たい印象を与えてしまう諸刃の剣を、上手く使いこなしていた。


 もちろん見た目だけでなく、性格も良い。いつもにこにこと、笑顔で返事をしてくれるし、今時にしては珍しく、敬語もちゃんと使える。たまに、とんちんかんな、受け答えをする、時もあるが、それもご愛敬。天然として、皆に受け入れられている。

 癒し系だ、付き合いたい、と同年代に人気があるだけでなく、本人の居ない場で、息子の嫁に、いや、俺の息子に、と真剣に嫁獲得戦を繰り広げている、上司達の会話を聞いた事さえある。

 こうなると、同僚やお局様と呼ばれる女性陣には嫌われるのが大抵だが、不思議な事に、彼女は同性からの受けも良かった。


 新入社員の指導係としては、少し物足りない部分もある。

 仕事を教えてもメモを取らないし、かと言って、一度で覚えて仕事がこなせる訳でもない。

 まぁ、最近の若い子は、大体がそんなものだから、彼女のように人間性が良いだけでもヨシとしなければいけないのだ。

 自分が新入社員で入った頃も、先輩は同じような事を考えていたのだろうか。

 メモを取ってはいたが、あまり生かす事ができないまま、仕事がうまくこなせず、大変迷惑をかけていた気がする。

 それに比べれば、彼女は致命的な損害は出していないし、自分よりは優秀な新人と言えるのではなかろうか。


「橋詰さん、次はこの書類を元にして資料を作っておいてくれないか、形式は前に教えたプレゼンの時と同じだから」

「はい、わかりました」

 笑顔で答える彼女。

 何かおかしいな、と気付いたのはいつからだっただろうか。

「橋詰さん、ちょっと暑いね」

「ちょっと暑いですね」

「あぁ、今日は空が青くて綺麗だね」

「青くて綺麗ですね」

 笑顔で答える彼女。

 はい、いいえ、以外に返答が必要な時、特に雑談に関しては、同じ事を繰り返して、答えているだけなのだ。


 僕はこっそり彼女にオウムちゃんとあだ名をつけた。

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