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《地獄期間》と《十本刀》①

『木には、人間の心を癒す力がある』

 そう聴いて否定する人間は少ないだろう。もし、そんなことはないと思うのであれば、葦原駅から徒歩五分の距離にある、《フランシーヌ》と言う喫茶店を訪れることをお勧めしよう。僅か二人しか座ることのできないカウンターと、小さな丸テーブルが二つ。それが全てである小さなその喫茶店に行けば、きっとその意味が分かる。

 床から天井まで、拘りを持って厳選した木材によって建てられた店舗内は、騒々しい喧騒を全て切り離し、静かで落ち着いた雰囲気を造りだすことに成功している。コンクリートにはない柔らかな温かみや、気持ちの良い冷たさ、包み込むような柔らかさは、自然と肩の力を抜き、人間が自然に還りたがっていると言うことを確かに教えてくれる。

 そんな自然の優しさその物を再現した店内には、濃いコーヒーが香っていた。店主である棚町灯里が客の顔色を見て淹れてくれるそれは、比類なき一品である。一口含めば、今まで自分が飲んでいたコーヒーがただの色の付いた搾りかすだと気が付いてしまうに違いない。

 が、そんな究極のリラックス空間だろうと、やはり完璧ではない。

 店内には、朱里の趣味であるイケメンアイドルグループのヒットソングがそれなりの音量でかかっており、シックな雰囲気を全て吹き飛ばしてしまい、コーヒーの味どころではない。せめて音量を下げてくれと、誰もが思うのだが、朱里はそれを良しとしない。何故なら、彼女は某アイドル事務所を心の底から愛しているからだ。

 そして店主が頻繁に店を開けるのも、この店の価値を大きく下げている。勿論、アイドルのコンサートに、一ファンとして参加する為である。この大型連休も、朱里は当然のようにコンサートへと出かけており、店は閉まっている。

 内装のセンスと、店主の人格が整っていないことだけが、この店のマイナス点である。

 もっとも。そもそもこの店は、彼女が友人達の為に善意でやっているような所もある。それゆえに、誰も責めることはしない。また、それだけ彼女のコーヒーが絶品だと言う証明でもあるのだろう。。

 そんな店主不在の《ふらんしーぬ》には今、三人の人間が顔を見合わせながら、小さな丸テーブルに腰を掛けていた。三人の手元のコーヒーカップには、並々と濃い色をした液体が注がれているが、口を付けた様子はなく完全に冷め切っていた。

「取り敢えず、その恥ずかしい格好をどうにかしてから頭を下げにきてくれ」

 冷めているのは、コーヒーだけではないようで、椅子に座る一人が、冷たい声色で言った。店主のいない店内にはアイドルソングがメドレーでかかっておらず、代わりに静かな音量でジャズミュージックが流れている。店の雰囲気は普段よりも数段と良いのだが、彼等を取り巻く雰囲気は極めて悪い。

 今しがた発言をしたのは、三人の中でもっとも身体の大きい一人であり、新里世界と言った。百九十を超える随分と身体の大きな若者で、老人の様な銀色の髪、病人の様な青白い肌、幽鬼の様な緋色の瞳、闇夜のような色合いの詰襟の学生服と、身体的特徴は枚挙に暇がない。

 しかしそれは、世界の悪態を受けるもう一人の男、多鞘関守にも言えた。派手なコスプレのような格好をしている世界に、その格好を突っ込まれるのだから、彼も相当酷い。

「いやいや。服装に関しては、拙者は世界に何か言われることはないと思うが?」

 二十代半ばと思しき袴姿の男が、飄々とした物言い世界に言葉を返した。

 そう、袴姿である。

 剣道場から抜け出して来たかと錯覚するぐらい、疑いようのない袴姿なのだ。現代風にアレンジしてある所はなく、コスプレ用衣装特有のテカテカした安っぽさもない。所々が擦り切れ、ほつれ、彼が普段からその格好をしていることがわかってしまうほど着慣れている。本人の散切り頭や、小さな体躯と相まって、侍がタイムスリップして現代にやって来た、といった感じだ。帯刀は流石にしていないようだが、間違いようなく、百年以上昔のセンスである。

「いや、世界君の格好は産まれつきですし、服装も学校帰りだから制服なだけですし」

 その侍の言葉に、最後の一人であり、唯一の女性である日向向日葵が控えめに突っ込みを入れる。世界よりも二つ年下の同級生である彼女は、紺色のセーラー服姿で、髪形もやや高い位置で括ったポニーテールと、特筆すべきことはない。三人のバランスを取るのなら、眼が潰れる程に美しいだとか、滅茶苦茶に胸が大きいとか、そういうことは一切ない。強いて言うなら、歳の割には背が随分と低いことだろうか?

「そもそも、お兄さんはどちら様ですか? どうやら世界君の知り合いみたいですけど」

 この場で最年少の向日葵は、世界と関守の険悪な空気を読み取って話題を変える。

「おお。これは失礼した。拙者は、多鞘関守と申す。業界では《十本刀》と呼ばれておる。本日は、そこの《地獄期間》こと、新里世界に用事があって参上した次第じゃ」

 すると、関守は時代かかった挨拶と共に頭を下げた。しかしその喋り方は本当に古語として正しいのだろうか? 向日葵は『胡散臭いお兄さんだな』と、思ったようだったが口にはしなかった。悲しいことに、自分の彼氏も、同じくらい胡散臭い。

 だいたい、この癒し空間ふらんしーぬに「世界! 手を貸してくれ!」と騒々しく叫びながら入店したかと思うと、世界と向日葵が身を寄せ合っていちゃついているテーブルに堂々と座るデリカシーのなさなのだ。細かいことを気にしても仕方がないだろう。

「私は日向向日葵です」それよりも、注目すべきは自己紹介に付け加えられたもう一つの名前だ。「《十本刀》って言う渾名は、もしかして超能力者さんですか?」

「正解だ。向日葵」

 疑問に答えてくれたのは、不機嫌そうにコーヒーを飲む世界だった。眉間にシワを寄せたその表情は、青白い顔色も相まって、般若の面を彷彿とさせる恐怖が滲んでいる。きっと、コーヒーが不味いからだけではないだろう。

 実を言えば、世界の機嫌悪そうな表情は然程珍しくはない。が、こうも露骨に敵意を明らかにすると言うのは珍しい。世界の敵になる相手など、そうは存在しないからだ。向日葵の父や、猫の親子と戦った時ですら、彼の心に合ったのは敵愾心ではなく、純粋な戦闘に対する力への意思だけであった。

 だから、こうやって敵意を剥き出しにする世界と言うのは極めて珍しい。ただ、この青年がそう言った感情を表に出すと言うことは、信頼の裏返しとも言えるかもしれない。

 新里世界はツンデレなのだ。

「では、頼みごとと言うのは、それ関係のものですか?」

 二人きりの時間を邪魔されたことに苛立ちを覚えながらも、向日葵は関守に再び訊ねる。今月、超能力と言う存在を知ったばかりの彼女に取って、世界以外の超能力者には並々ならぬ興味があった。

 常識を嘲笑う、あの理不尽な現象を気にするなと言う方が難しいだろう。

「その通りでござるよ。拙者の仕事は、超能力を使って悪事を働く人間の討伐。この《十本刀》が動くと言うことは、超能力者によって世間が毒されていると言うことでござる」

「へー、超能力でお仕事をしているのですか」悩むことなく、唐突なござる口調を向日葵は無視した。

「簡単に言ってしまえば、賞金稼ぎみたいなもんじゃ。そう大した人間ではござらん」

 台詞とは裏腹に、拳を胸に当てて誇るような笑顔を向ける関守。それは決して端正なものではなかったが、愛嬌のある人懐っこい表情で、『討伐』なんて物騒な言葉からは程遠く思える。子供たち相手に、剣道でも教えている方が数倍似合っているだろう。

 しかし賞金稼ぎと名乗るからには、目標を追い駆け、追い詰め、戦闘を行うのだろう。言われて見れば、衣服の隙間から覗く肌には傷が多く確認できる。それに気がつくと、単純な疑問が一つ向日葵の中に産まれた。

「世界君とどっちが強いのですか?」

 小学生のような疑問に、関守は一笑し、世界はそっぽを向いてしまう。

「それは拙者であろうな」

「世界君よりも強いんですか?」

 答えは向日葵の想像の範疇だったが、他人の口から聞くとやはり驚かざるを得ない。あの世界の《地獄期間》よりも強い人間を、向日葵は上手く想像できない。本人を見ても、目元や口元はなんとなく優しそうな丸みがあるし、身長で言えば世界よりもかなり小さい。

 が、世界が反論をしないことを考えると、それは事実なのだろう。《十本刀》とは、一体如何なる能力なのだろうか? 《地獄期間》がその名前からは想像しにくい能力である以上、きっと素人の向日葵には想像もつかない能力であるだろうが。

「なーに、世界はまだ二十歳前。後五・六年もすれば、結果はわからなくなると思うぞ」

「だったら、俺の協力なんていらねーだろ? さあ、向日葵、続きを考えようぜ」

 関守の慰めとも挑発ともつかない台詞に、世界は大袈裟に手と首を振り、机の上にある一枚のルーズリーフを指差した。そこにはこの連休の予定が幾つか書かれていて、二人はその予定を決めている最中だった。青春真っ只中の二人にしてみれば、血生臭い能力者の話よりも、明日からの予定の方が重要なようだ。

「なんと狭量な…………いいか、世界。世の中には、この超常の力を用いて卑劣な行為を繰り返し、私腹を肥やす狼藉ものが沢山いるのだぞ? 超能力者を討つ者は、超能力者しか存在せん。ならば、超能力者として生まれたからには、その力を正しく使うのが正道。人の道というものでなかろうか? お主も、強く生きたいとは思いはせんか?」

「正道なのか人道なのかはっきりしろよ」

 拳を握り締めての熱演に、世界は聞く耳すら持たず、ペンを走らせる。明日の晩飯は、友達を呼んでのバーベキューなので、二人で遠出して朝から食材を買い集める予定らしい。ちなみに、移動手段はバイク。校則は完全に無視である。

「俺は何度頼まれてもお前の仕事なんて手伝わないからな」

「お主、少しは人の役に立とうとは思わないのか? なあ、向日葵殿」

「え? わ、私ですか?」

 突然話を振られ、向日葵が持ち上げていたコーヒーカップをソーサーの上に戻す。

「そうじゃ、向日葵殿も超能力者ならば、拙者の言いたいことはわかるだろう?」

「その通りだと思います。ただ……」

 関守の言いたいことは、向日葵にも理解ができる。

 理不尽な力により困っている人がいたのであれば、助けたいと思うのが人情だ。弱気を助け、強気を挫く。そんなヒーローに、誰もが一度は憧れたはずだ。

「聞いたか、世界! 向日葵殿の小さな身体に秘められたその熱い志を! こうなれば、お前とではなく、向日葵殿と一緒に討伐に向かうのも良いかも知れんな」

 向日葵の返事も途中に、関守は声を弾ませる。立ち上がり、握り拳を高々と掲げてまでいる。

「悪いが、向日葵は到ってノーマルだぜ?」

「なぬ?」

 が、世界の一言に、揚げていた拳は真っ直ぐに急降下。驚きを隠さない表情でまじまじと向日葵の瞳を覗き込む。

「なんじゃ、こんな真っ直ぐな瞳の御仁がまさか能力者でないとは」

 瞳を見ただけで能力者の判別がつくとは思えないが、関守は世界の台詞を信じたようで、恥かしそうに散切り頭を右手で掻きながら静かに椅子に付いた。一回咳払いをして、関守は残念そうに口を開く。

「だったら、向日葵殿は連れて行けんの」

「わかったなら一人でやってくれ。この町にターゲットが入って来たら手伝ってやるよ」

 水族館に行く予定案を紙面に追加しながら、世界は犬を追い払う仕草を関守に向ける。折角の休日に、そんな面倒なことをしていられるか。この一ヵ月、向日葵を中心とした事件に振り回されたので、この連休くらいは自由に使いたい。それが世界の本音だった。

「なおさら、お主を連れて行かなくてはならなくなった」

「何でだよ! 人の意見を取り入れてくれ」

 世界は椅子から立ち上がり、右腕で関守の頭に突っ込みを入れる。が、関守は慣れた様子でそれをかわし、逆に世界の頭に平手を入れる。こちらは見事に命中し、世界は悔しそうに唇を尖らせることしか出来ない。

「お主の彼女が高い志を持っているというのに、当の本人がこの意識の低さ、遺憾だのー」

「政治家以外で、『遺憾』なんて単語を聴いたのは初めてだな」

「お主は、助けられる命があったとしたら、理由なく助けたいとは思わないのか?」

「命ですか?」

 関守の真摯な台詞に反応したのは、向日葵。その反応に、関守の口の端が少しだけ笑った。

「そうじゃ。今回のターゲットは殺人鬼なんじゃ」

「殺人鬼……? それって、鬼なんですか? 人なんですか?」

 現実離れしすぎた単語を、向日葵は鸚鵡返しにする。

「人じゃ。ただ、そう思いたくはない」

 殺人鬼。それは、単に大量殺戮犯に付けられる蔑称ではない。

 日常的に人間を殺さなくてはならない超能力者の区分の一つ。理由もなく生まれ、必要に駆られて人を殺す存在。奪う為でも、生きる為でも、他人の為でも、自分の為でもなく、殺人鬼は人殺できる。殺さなくては生きていけない、異常体質中の異常体質。どうしようもなく天災で、紛れもなく人類の天敵。

 それが殺人鬼と呼ばれる人種の概要だ。

「今は、そんな殺人鬼の一人を今、追っておるのじゃ」

「ああ? だからなんなんだよ」

 恐ろしく悍ましい話に何の感想も抱かず、世界は興味なさそうにコーヒーを飲み切ると、立ち上がって勝手におかわりを淹れに行く。勝手も何も、店主がいないため、自分で淹れるしかないのだが。これがまた、灯里のように上手くは淹れられない。はっきりといって、不味い。が、退屈な関守の話を呑み込む為には、不味いコーヒーでも必要だった。

「『なんなんだよ』ではなかろう。いいか? 無辜の民が殺人鬼の殺戮の被害に遭っておるのだぞ? お主はなんとも思わぬのか?」両手を机に叩きつけ、服装通りの、侍魂の持ち主は声を震わす。「助けられる命を助けたいとは思わんのか!」

「じゃあよ、関守。お前の貯金残高を教えてくれよ」

 もう、殴ってでも連れて行こうという気概を隠さない関守に、世界は店主が作ったサイフォン式の淹れ方の指南書を読みながら脈絡のないことを訊ねる。

「ん? 何の話だ? 報酬ならきちんと払おう。見つけたなら百。捉えたなら三百は払おう。多少の交渉ならクライアントに可能だが……」

「んにゃ、別にただ働きでも良いちゃあ良いんだよ」

「なら、何が不満なんじゃ?」

「不満はない。世の中にはさ、恵まれない……絶対的な貧富の差で苦しむ人間がいるだろ?」

 不機嫌そうに喋り始めた世界の言いたいことがわからず、関守ばかりか向日葵までもが表情に困惑の色を強く表す。一体、この話は何処にどう着地をするのだろうか?

「だから全財産……ってか、過剰な財産をユニセフに寄付するならいいぜ。もちろん、日本の方じゃないぞ。外国の運命に嫌われた無辜の民を助けたいとは思わないのか?」

 世界に取って、人とは自分の知り合いの人間のことである。その為なら、世界は文字通り命を捨てた戦いもできるし、利益の計算は度外視で動く。しかし見ず知らずの人間に捧げられる物は何一つとして所有していない。

そう言う意味を持った、彼の発言は続く。

「俺は俺の知らない人間を信用する気はない。だからあんたや嵐みたいに、無暗矢鱈に人を助ける心算はない。俺が守るのは、この手が届く範囲と、そこに住む人間だけだ」

「屁理屈を並べおって。変わらんの、お前は」

 呆れたように関守が呟く。

 すると反論がないのを見て、世界がニヤつく。

「理解できない理論を、屁理屈で片付けるのは良くないぜ? そう言う奴等のせいで、昔は一体どれだけの正しい主張をする人間が殺されたんだろうな?」

 少しだけ上機嫌に、唄うようにして世界が勝ち誇る。

 すると、

「向日葵殿はどう思う?」

 関守は向日葵に話を振った。人懐っこさが消えた、罠に落ちた獲物を見下す瞳で。

 なるほど。突然やってきた理由は、コレか。世界のコーヒーを淹れる腕が、ピタリと止まる。

 そもそも超能力者や殺人鬼なんて一般人が聞いたら正気を疑われるような話を、誰とも知れない向日葵がいる前でするわけがない。真っ先に能力者か否かを確認するか、席を外すように言うのが通りだろう。

 それをしなかったと言う事は、どういうことか? 世界は考える。

 答えは簡単に出た。

 関守は向日葵のことを知っていたのだ。今思い返せば、侍魂が格好から滲み出る《十本刀》が、初対面の人間に挨拶をしないと言う無礼を犯す時点でおかしいのだ。世界と肩を寄せ合っていたのに、そのことに触れていなかったことにも違和感があった。久々にあった未来の弟が、女の子と仲良くしていたらまずはそこを訊ねるだろう。

 きっと、誰か――へらへら笑う一一が真っ先に世界の頭に浮かぶ――が二人の関係を関守に話し、それを聴いた関守が、向日葵を利用するために現れたのだ。

 多分、こう言わせるために。

「その言い方はないと思いますよ、世界君」

 それは、効果抜群だった。先程まで仲良く予定なんかを決め合っていたのに、今の向日葵の瞳は極寒地獄より凍てつき、世界を軽蔑の眼差しで見ているのだから。

 一般人の視点で言ったら、当然そうなるだろう。先程から関守や向日葵が言うように、自分の力で誰かを助けられるのなら、助けたいのが人間なのだ。助けられる力を持ちながら、助けない人間と言うのは、殺人者と変わりないとすら言えるだろう。

「私は、私を理由無しに助けてくれた世界君を尊敬しているんですよ?」

 そして何より、向日葵は世界の優しさに助けられた人間である。

 向日葵は、そんな世界のことが好きなのだ。

「チクショウ……」

 ニタニタと笑う関守と、褪めた目つきの向日葵。二つの顔だけが頭の中を埋め尽くす。前者は放っておけるが、彼女とは対等でありたいと願う世界は、後者には耐えることができない。

 それを狙って、関守はわざわざこのタイミングを狙ってこの《ふらんしーぬ》を訪れたのだ。

「わかった! わかったよ! この《地獄期間》新里世界は、血の一滴になろうとも、その残虐非道な殺人鬼を捕らえてやるよ!」

 自暴自棄な叫びの後、小さな拍手が店内に木霊した。

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