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コイゴコロはナイゴコロ

お待たせしました。ちょっとずつ、ですが進みますよ〜

練習を始めてからというもの。

毎日毎日同じ電車に乗って同じ通学路を行く。今までそこは誠太しかいなかったんだけど。もちろん他の友達とかもいたけど、家が同じ方向で一緒に学校行ったりする程仲のいい友達はあんまりいなかった。

まぁ、それで、高校に入ってそういう友達が出来たならよかった。けど案の定できず。そんな俺をカミサマは可哀想とでも余計な心配をしてくれちゃったのか、初瀬夏樹が隣にいる。



めんどくせぇんだよぉぉぉおぉぉ!!!!余計な心配なんぞすなぁぁぁぁ!!!!


「…朝から何なのよその顔。前にも言わなかったかしら?」

「ざけんな、半分てめぇのせいなんだよ」


あの日もいきなり教室に来て「練習場所が変わったから勉強道具とボールとディアボロ持ってきなさい」だぜ?クラスの奴の目、猛禽類かよお前らは!

桜ももうとっくのとんまに散って、今は緑しか残ってない坂道。いろんな奴の視線が痛てぇのはもう毎度の事だ。

テストまで後二週間をきった。そろそろ本腰入れないといけねぇんだけど、バイトと練習と学校のせいで出来る気がしない。つかやりたくねぇ、疲れまくった身体を何とか引っ張って学校まで来てんだ。今回のテストは確実に落ちたなこりゃ。

そういうのと、初瀬が朝っぱらから隣にいるのとで、俺の機嫌はかなり悪かった。







「古雅ち〜ん、怖いんだけど?」


誠太にも言われた。


「うっせぇな。物理が潰れねぇからイライラしてんだよ」

「絶対違うでしょ、大方初瀬ちん〜?やっぱりまた女子もダメになってきちゃった?」

「いや、それは大丈夫だけどさ…身体的に疲れてんだよ」


あぁ、と誠太は俺の頭上で呟く。ばっかつまんねぇ二時間目の英語をなんとか乗り切って、次の物理をマジでサボろうか、ふせって考えてた。ちっくしょー、やる気出ねぇ…。もうマジでだるい。と、ああだこうだ言ってる間に越前が来やがった。一斉に女子が群がる。よくもまぁ、やってられんなー。


「ペテン師が…」

「ああ?古雅今何つったー?」


げ、聞こえんてんのかよ。俺一番後ろの席だし越前女子に囲まれてるし、なんで聞こえてんだよ!おかしいだろ!どんな地獄耳だよ!


「あー、取り敢えず授業始めっからよ、席着けや」


ちょうどチャイムも鳴って女子達は無念そうに越前から離れる。

適当に委員長が挨拶して授業が始まる。その瞬間俺は寝た。誠太が何か言ってけどぜってー起きねぇからな俺は!




次に俺の耳に入ってきた音はチャイムの音だった。うっすら目を開けてみると授業が終わってた。結局起こされずに大っ嫌いな物理の授業は終わった。と思ってた。


「やっと起きたー?もう次の授業も終わってんだけど?」



どうやら俺は物理の授業どころか物理の次の授業の数学もすっ飛ばしてたらしい。まさかのもう昼休み突入だ。ダルいから屋上に行く気も無く、久しぶりに教室で食べる事にした。まぁ、視界の端に誠太と由奈が映るのがすっげー気に食わないけどしゃーねー。

バックの中からパンを取り出して袋を開けようとした時だ。


「樹くんっ」


島凛が教室のドアをかなり派手に開け放った。…ドア、外れてね?

島は俺のところに走ってくるとまくしたてた。


「夏樹ちゃんがねっ、夏樹ちゃんがねっ、倒れたの!!!」

「はぁ!?」


思わずガタンッと椅子を倒して立ち上がった。


「なんでっ!」

「わかんな、けど、体調悪そうだったし…」

「今どこにいる!」

「え?保健室…」


朝はそんなんじゃなかったぞ、ちくしょ、なんで気がつかなかった、


「あんの、馬鹿っ!!!」


考えるより先に体が動いた。行き先はもちろん保健室だ。


「体調悪いなら悪いって言えよ!」


俺はそう怒鳴りながら階段を降りた。
















「あらら〜行っちゃったよ、古雅ちん」

「えー?古雅くん初瀬さんと仲よさそうだし、なぁに?その言い方」


古雅ちんの背中を見ながらパックのジュースを飲んだ。あれじゃあ初瀬ちんの事が好きって言ってるようなものじゃん。分かってないんだろーなー、本人は。


「別に何も思ってないけどさ〜、古雅ちんが倒れないか心配」

「何で?」

「うーん?古雅ちんああ見えてすっごい弱いからさぁ〜、」


由奈はええ〜と言って可愛いお弁当を食べる事を再開させる。

古雅ちんは喧嘩っぱやくて口調悪くて目つき悪いからかなり勘違いされてるけど、恋愛ができないほど、弱い。小さい頃からずっと見てきた。ストーカーじゃないけど、見える範囲であいつはいつも傷ついてた。いつも泣いてた。いつも怪我してた。


「誠太?どうしたの?」


心配そうな顔して見てくる由奈。正直恋愛っていうのは面倒だから本質的にもあいつにあってないかも。かなりの面倒くさがり屋だしあいつ。


「どうもしないよ、由奈」

「古雅くんがそんなに心配?」

「親友だからね」

「由奈そういう男の友情?好きだよ」


じゃあ疑問符付けんじゃねぇよ、馬鹿女。

俺は早速由奈の事が嫌いになってきた。いつフろうかな、こいつ。面倒くなってきた。

あ、俺も存外面倒くさがり屋かも。


「あ、そうだ誠太、テスト終わった次の土曜日ね?空いてる?」

「ん?」

「由奈ね、TDLのチケットもらったんだぁ、一緒に行こ?」

「いいね、気晴らしに行こうか」


俺がそういうと由奈は嬉しそうに頷いた。まだ、あの最高記録には届いてない。今回も外れだったみたい。こんな事女子に言うとサイテーとか、めっちゃ言われるんだろうけど。








「初瀬っっ!!」

「保健室よ、静かにしなさい」


名前を呼んで保健室の扉を開けると、考えてた通りのセリフを先生に言われる。


「先生、初瀬は?」

「今は寝てるわ、最近寝不足だったようね」


それを聞いた瞬間、俺は力が抜けて近くのソファに座った。走ってきて損した気分だ。しかも飯食い損ねたし。


「先生、ちょっと出るからいてくれる?目を覚ましたら冷蔵庫に入ってる飲み物あけていいからあげてね」


そう言って先生はどっかに行った。美人の先生はやっぱり男子に人気で、先生目当てに保健室に来るやつもいるんだけど、今日は誰もいなかった。

ちらっと初瀬見に行ったけど、かなり熟睡してるみてぇで起きる気配はない。じゃあ俺も寝ようかなーと手身近にあったスツールに腰掛けた。


途中、誠太が来たのもわかんなかったくらいに、俺はまた熟睡した。


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