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朝っぱらからの

「古雅ち〜ん?」


チャイムが鳴って俺がピザを取りに行ってから、中々戻ってこないのを不信に思ったのか、誠太が声をかけてきた。


「えっと、取り敢えずピザくれ」

「えっ!?あ、そうね、はい、」


黒い大きな袋から紙製のトレイ(?)を出して俺に渡す。まごついてないし、金勘定とかも手馴れてる。結構長くバイトしてんのか?あれ、そーいやーここまでどうやって来たんだ?普通、こういうピザ屋ってバイクで来るよな、でも、校則で免許は高二になるまでとっちゃいけねぇ事になってる。後、ここのバイト要項も高校生以下はダメってなってなかったか?


「はい、三千五百八十七円、はやく出しなさい」


伝票渡しながら金額を言ってきた。金渡しちまえば初瀬は帰る。聞くなら今しかないと俺は口を開いた。


「お前、いろいろ校則破ってねぇか」

「悪い?私だってそんなに優等生じゃないのよ」


若干怒ったような口調の初瀬は珍しい。いっつもポーカーフェイス気取ってるよーな雰囲気なんだ、初瀬って。それに美人っていうのも相まって近寄り難い奴っていうのが大半の意見。でも話しかければ優しいし、頭もそこそこいいし、嫌味な奴でもない、だから輪をかけて人気。それが初瀬夏樹。


「このこと、学校に言わないでくれるかしら」

「あ?まぁ、そんくらいいいけどよー。俺もバイト始めなきゃいけねーし、」

「え?親は?」

「育児放棄つっーやつ?ま、お前には関係ねぇよ。じゃあな、」


自分から聞いて自分から話振ったのに一方的に終わらせる。ま、いっか。俺は半強制的に初瀬を締め出してドアを閉めた。リビングに戻るとニヤニヤしてる誠太がいた。


「随分話そこんでたじゃん?」

「るっせ、初瀬だったからビビったんだよ」

「へぇ、初瀬ちんと?」

「そーだよ、あいつがバイトしてる事、学校に言うなよ」


蓋を開けつつ言うと誠太が興味深そうな声をあげた。さっきから何なんだ。


「意外ぃ〜。初瀬ちん庇うんだぁ…」

「はぁっ!?」


俺がのけぞってんのを他所に誠太はピザを摘む。何をこいつはアホなこと言ってんだっ?庇うってなんだ、庇うって。


「つかそんなに過剰反応すんなよ〜。別に初瀬ちんだっていろんな事情があってバイトしてんだろーし、お前もこれからそうなんだから俺は別に何も言わないよ」


いつになく優しい言葉の誠太はにっこりと笑った。眩しい…。キラッキラスマイルなんざ由奈にでもあげとけ。


「ま、明日からの学校がちょっと楽しみになったかな〜」


俺は誠太を無視してピザを食った。半ばやけ食いになってたのは気のせいだ!











夜中にそこらへんを散歩するのが俺の日課だ。この辺は住宅街だし、警官が回ってるのを俺は見たことがない。だから補導された事もない。学校は電車で七駅、そっからあの坂を通って着く。この辺に同じ高校に通ってるやつは少なくはないけど多くもない。


暫く歩いてコンビニに入る。夜のコンビニって誘蛾灯みてぇって毎回思う。

中に入って適当に明日の昼飯と冷食を買っておく。暫くは自炊する気にはなれない。つかまず自炊するための材料がねぇ。明日の帰りにでも買ってくっか。あ、そーじゃん、ここでバイトすればよくね?家から近いし、まー、深夜勤務ならセンコーにバレる事もねぇだろ。後で聞いてみよ。

そう思って、買い物を早目に終わらせてレジの兄ちゃんに聞いてみる。そしたらまた明日来いだと。やる気無さそうな奴だったからどうせそんな返答なんだろーなー、とか思ってたらマジでそうだった。もうちょい頑張れよバイト。



「ただいま…」


っつっても誰も返してくれるやつはいず。誠太はとっくのとんまに寝てた。多分俺の部屋だ。あいつ無遠慮だからな。まー、ババア討伐に付き合ってもらってたからいいんだけど。

冷蔵庫に適当に買ってきたもんを詰めてリビングのソファーに座る。

面倒くさいからもうここで寝ようと思う。風邪引いたって多分一日で治るから別にいい。つーことで。布団もかけずに俺は横になる。

目を閉じる時に明日初瀬に会えるかなーとか思ったのは気の所為だ。


















まず。なんで朝っぱらから俺はこの光景を見てんのかすげー気になんだ。

昨日の夜、俺はコンビニから帰ってくると冷蔵庫に買ってきたもんを詰めて寝た。案の定体は冷えきっていた。いくら春でもまだ夜は寒い。

で。朝七時五分前に起きた。俺にしちゃあ早起きだ。大体、八時半から学校が始まるのになんで朝早起きしなきゃなんねぇんだ。三十分とかそんくらいで着くのによ。

まぁ、それは置いとこう。今はこっちの方が先決だ。ちなみに誠太はまだ起きてない。だから今この状況を知ってんのは実質俺だけだ。


そう、初瀬夏樹という人物が俺の家のリビングで寝ているという、謎状況は。


「初瀬ぇ!てめぇ昨日といい今日といい!お前マジでなんなんだよっ!!!」


ピザ頼みゃーお前が配達してくるしよぉ!寝て起きりゃいるしよ!マジで何モンだよ!いろんな意味でさ!

爆発しそうになる何かを抑えて床で眠りこける初瀬を起こす。


「おい!起きろ!」


もぞもぞ動くだけで起きる気配がない。


「おい!いい加減にしろ!」

「うるさぁいぃ…」


何がうるさいだぁっーー!!

あ、ピザ屋の制服のまんまなのな、なんで?バイトに戻ったなら学校の制服か私服に着替えるだろ。まぁ、やっぱりそこは置いといて。マジで起きてくんないかな!と、「起きろ!」と揺すっていた俺の願いが通じたのか、うっすらと目を開けた。


「…なんで、古雅?」


そりゃこっちのセリフだぁぁぁぁっ!!!!!!!

ありがとうございました、次回の更新は運が良ければ明後日、運が悪ければしあさって以降となります。

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