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俺とババアの帰宅

明日から更新は亀ると思います

帰り道は下り坂だから行きよりは幾分楽。


「古雅ちん、ごめんね?あの後吐いたしょ?」

「いいって、別に。お前もある意味被害者だろ」

「あれ、バレてた?」


何年一緒にいると思ってんだボケ。結局俺は帰りのホームルームまで教室に戻んなかった。

さっきの告白。多分、つかほとんど絶対、誠太は遊びでOKした。何故かこいつは告られたら断らない。ある程度付き合ってフる。それがこいつの恋愛の仕方。無駄な愛とか育まない。だからそこらにいるカップルよりは直視できる。俺の体質を知ってるから誠太はあんまり俺の前でおおっぴらにそう言う事を話さない。そういうのもあるから、俺はこいつと一緒にいる。


「ユナさー、早速教室遊び行こって言ってきてさぁ、俺の予定をちっとは把握してから言って欲しいよね。今日はお前に付き合わなきゃいけないんだし」


俺の方を見ないで誠太はボヤいた。


「悪かったな、カップル成立早々に俺なんかに付き合ってもらってよ」

「バカ。親友の方が大事だから俺はユナにキレてんの


でもそれ、俺に嫌味言ってるみてぇに聞こえるぞ。

ま、どっちにせよ誠太が来てくれるのはありがてぇ。それに俺の方が先客だし。今日の事は予想外なんだ。由奈には悪いが今日は誠太を借りる。俺の今後の生活かかってんだ。


「そーいやーさ。初瀬ってどこ中よ」


あんな綺麗な奴の噂ならちょっとした事でもすぐ広まるだろう、なのに初瀬の出身中学校は聞いたことがなかった。知ってる奴もいない。同じ中学だったって奴も知らない。


「さぁー、俺も知らねー。県外とか?」

「逆にそれはそれで広まるだろ」

「そりゃそうか」


初瀬夏樹。謎だ。なんか、少しだけ気になる。隣で誠太が「まさか古雅ちんも恋し始めたー?」とか言ってんのは気にしねぇ。











「た、だいま」


ちょっとだけ、声が震えたのは気のせいだ。慣れしたんだはずの家がすっげー怖い。

何故なら、母さんが帰ってきてるからだ。一昨日電話があって、四ヶ月ぶりに帰ってきやがった。


「どこに行ってたの?私を出迎えなさいよ、クソガキ」

「しょうがないだろ、学校だったんだから」


キッチンから出てきたのはケバいババア。金髪でグルングルンに巻いてる。化粧も香水も濃い。服はハデ。肩なんて隠すのが非常識っていうぐらい。あ、脚もだ。兎に角そんなババアが俺の、母親。親だなんてこれっぽっちも思ってないけど。それ以外に表現しようがないからそう言ってる。


「あらぁ?後ろは誠太くんかしらぁ?そんな所にいないでさ、上がりなさいよ」


相変わらず猫撫で声がうまいなおい。

誠太を連れてきたのはこういう事。ババアは誠太がお気に入りだ。理由は言わずともがな。綺麗だから。で、ババアが帰ってくるときは必ず連れてくる。その方がまだ癇癪が起きにくいから。


「ガキ、とっとと風呂に入んな、私に汚い体見せてんじゃねぇよ。さ、誠太くんはこっち」


悪い、誠太。こんな事に使っちまって。明日飯奢るから。俺はそういう眼差しを誠太に向けると風呂場に行った。

風呂は好きだ。ゆっくり、できる唯一の場所だから。

湯に浸かりながらゆっくり眼を下ろす。何故か初瀬の事を思い出した。明日、少しだけ話してみるか。あいつは何か面白そうだ。

っと、あんまりゆっくり浸かってるとまたドヤされるな。




「へぇ!また彼女さんできたの!その娘が羨ましいわぁ」


ババアの猫撫で声が廊下まで聞こえる。


「おい、今日は何で帰ってきた」

「…親にそんな口聞いてんじゃないわよ」

「っるっせぇよ。答えろよ。金か?」


そんなに広くないリビングのソファーに座るババアに詰め寄る。ババアはため息を吐いて仕方がないと言わんばかりの態度で言った。


「私、もうここ出てくから」

「はぁ!?」

「あんただってもう義務教育終えたでしょ。金はちょっと置いてくから後は好きにしなさい。じゃ、もう行くわー。それだけよー」


”母さん”名残おしそうに誠太から離れて俺の隣を通り過ぎていく。まるで、俺なんていないように。


ババアが玄関を出て行くの確認した誠太は疲れた、とゆるいネクタイをさらに緩めた。


「よかったねぇ、お前自由じゃん。俺ももうあの人相手にしなくていのかぁ」

「…そう、だな」


ああ、清々した。もう、二度とババアの顔なんて見なくていいんだ。


「泊まってくだろ?」

「そだねー、近いって言っても帰んのめんどいし。なんか飯あるー?」

「ねぇ、ピザでも頼むか」


俺は結構前に貰ったチラシを誠太に投げ渡した。さて、誠太がピザを選んでる間に俺は明日ったからの事考えるか。父さんからの仕送りなんてとっくのとんまに止まってるし、ババアの仕送りはもう期待できない。バイトすっか。バイトOKだったよな、うん。早速面接受けねぇと。手始めはコンビニでいいか。万年募集してるし。





飯にはまだ早かった。ピザが届くのと同時に五時の鐘がなった。


「は、初瀬…?」

「なんで、ピザなんて頼んでんのよ…」


玄関開けたら初瀬がピザ持って立ってた。

なんで初瀬?


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