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キッカケはテンプレ

恋愛は初挑戦です。拙いですがよろしくお願いします。恐ろしい程の亀更新を発揮すると思うのでご了承ください。

ああ、恋をしたんだって、一瞬で分かった。

一方的な思いだけれど、多分、これは、好きっていう感情なんだ。

君の長い髪が揺れるたびに俺の眼はそれを追う。

君の赤い唇が動くたびに俺の心が躍る。

君の眼が何かを見るたびに俺もそれを見たくなる。

こんな、苦しい想いはした事がない。

手を繋ぎたい。

一緒にいたい。

笑いたい。

こんな陳腐な言葉でしか表せれないけれど。

俺は君が好きだ。









































なんて。

俺が言うとでも?


















夏っつーのは暑くてだりぃ。一言で表せばめんどい。生来面倒くさがりな俺にとって夏は天敵だった。

だから今の季節、春は好きだ。花も綺麗だし、何より、桜が咲いているっつーのが最高評価点。


古雅こがちーん、何見てんのー」

「うっせーなー。何だっていいだろ」


学校に行く途中の坂道。桜が舞い散ってて俺のお気に入りの道だ。

気分良く桜を見つつ歩いている俺に話かけてきたのは神崎誠太かんざきせいた。俺の幼馴染でまさかの小、中、高と同じ学校だ。家も近いんで結構つるんでる。明るい茶髪に通った鼻筋。同性の俺でもいいなーって思う程の美貌。だから十人並みの俺の容姿がすっごい不釣り合いなんだ。そこまでブスじゃないけどさ。


「俺らも高校一年だぜー?面倒くさいよなー、なんで俺高校なんて受けたんだろ」

「まぁた始まったよ、古雅ちんの面倒くさい症候群」

「症候群か?これ」


グダグダと喋りながら坂道を登る。坂を登り切れば俺らの通う高校、悠成ゆうせい高校が見える。男子も女子も制服かっこいいし可愛いってんで結構な人気校だ。学力は本当に平均。特色とかあんまりない。あるとすれば校舎がここ最近新しくなってめちゃくちゃ綺麗になった事ぐらいだ。


「っと、はよ、今日も相変わらずチャラいな」


靴箱に行くとこれまた鮮やかな金髪頭がいた

。この学校、意外と規則が緩くて髪染めてても何も言われない。おかげでパッと見不良が続出してる。


「お前が言えた事じゃねーだろーよ。あ、立連たてつら、今日お前日直だぜ」


金髪チャラ男君、もとい立連圭護たてつらけいごに教えてやると「やっべ」と職員室にすっ飛んで行った。

高校に入学して二週間。特に目新しい事もなくなってきて授業にも慣れ始めてきたこの頃。クラスの男子とはもうほとんど話して女子ともチラホラと喋り始めた

。うちのクラス、3組には結構可愛い女子がいる。立連も誠太も顔がいいから早速モテてた。ちょっと羨ましい。


教室に行くと結構な生徒が席についていなかった。

当たり前だ。予鈴とか気にするような奴らでもないし、まだ予鈴が鳴っていないなら自由にしてたい。

と、いう事で。俺も誠太と駄弁るのがこの時間帯のお決まりだ。席は窓際の一番後ろ。出席番号順の席だけど意外とあ行の苗字の奴が少ないおかげで特等席を確保している。ちなみに誠太は俺の前の席。なんという幸運。誠太は背が高いから授業中内職しててもバレにくい。

そーいや今日はまだTwitter確認してないな。暇だし見るか。そう思って鞄のチャックを開けた。が。


「ない」

「は?」

「俺のスマホがないっ!!」

「古雅ちんまたケータイ無くしたの?」


今発覚したけどケータイ、つかスマホ無くした。家出るときはあった。確かにあった。で、電車乗って、坂道歩いて、靴箱来て、教室に来て、鞄開けたら入ってなかった。電車の中で使ってけど落とした記憶はない。


「入れたつもりで落としてた、とかよくあるよー?もっかいきちんと見たら?」


鞄を文字通りひっくり返して、教科書とかが落ちるのも気にせず、探した。

ない。

ない。

ない!


「誠太、ちょっとTELしてくれ!近くにあるかも…」

「バカ?近くにあったら誰か教えてくれるでしょ」


それもそうだ…。どうしよ、今日は結構大事な連絡取んなきゃいけなかったりすんだけどな!俺バカか!なんでよりによってこんな日に…


「あのー。ここって、古雅樹こがたつきさんのクラスですか?」


女子特有の高い声、じゃないけど、そこそこ高くて低い声が教室に響いた。扉の方を見れば俺のスマホ持った女子が立ってた。


「俺のスマホっ!!!!サンキュー!どこで拾ったっ!?」


すっ飛んで礼を言ってスマホを受け取った。髪の長い綺麗な子だった。


「電車の中。見てたけど、容姿に違わずバカね。なんで鞄のチャック開けずに鞄に入れようとしてんのよ。落ちるに決まってるでしょ」

「まじか、俺そんなバカな事してた?とりま拾ってくれてサンキューな!」


俺がそう言うと女子はさっさとどっかに行った。スマホが見つかったんで気分良く席に座ると誠太が羨ましそうな眼でこっちを見てきた。「なに?」と弾んだ声で言うとため息をついた。


「古雅ちんさぁ、今の誰か分かってる?」

「は?なんだよ」

「今の、日本一の美少女って言われてる初瀬夏樹はせなつきだよ?」


は?俺の動きは一瞬止まる。


「あの、初瀬…?」

「そ、あの初瀬。名前フルで呼ばれてたから知り合いなのかと思ったけど…古雅ちんのそのストラップ見たんだねー。俺密かに狙ってるから、ちょっとビビった」


黒のレザーのストラップには俺の名前が掘られてる

。スマホが返ってきたのが嬉しくて相手の顔なんざ見ちゃいなかった。

けど初瀬、か。すごい奴に拾われたもんだ、このスマホも。


「ま、相手が古雅ちんだから気にしないけど」


そう。

どんなに綺麗なやつでも、どんなすごい奴でも。

俺が恋するっていうのはあり得なかった。

ありがとうございました

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