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たられば

作者: 齋裕有

今自分が誰かに殺されたのならば、

その犯人を恨みますか?

それとも、

毎日を大切に生きずに死んで後悔する自分を恨みますか?

最近、付き合って5年経つ彼氏の様子が変だ


そっけない


私が話をしていても「へぇ」「そう」それくらいしか返事をしてくれない


私がなんで冷たくなったのか聞いても「べつに」と、ろくに話もしてくれなかった


なぜだか私には全くわからなかった


今日もそう


私はそんな彼氏に嫌気がさしてしまった

もう我慢の限界だった


私は、疲れてしまった


「もう、別れましょう」

ついに彼に言ってしまった

私としては、結婚するならこの人しかいないんじゃないかと思っていたけれど、こんな関係が続くのが辛かった


そして、この別れ話をすることで、もしかしたら彼は私の大切さに気がついて、また優しく接してくれるんじゃないかなんて思っていた


だけど、彼からは一言しか返ってこなかった

「わかった」


それだけ言った彼は二人で暮らしていたマンションをでていってしまった



3日後、彼から手紙が届いた





ゆりこ!ハッピーバースディ!

いつも誕生日忘れててごめんな

今年の誕生日はちゃーんと覚えていたぞ

すごいだろ

しかも俺が手紙を書くのなんてすごいだろ

字が下手くそだからお前に字を見せたくなかったけれど今日だけ特別だぞ

誕生日だからな


お前のことだ、俺が最近冷たくなって、きっと嫌な気分になってたんじゃないか?

ちょっと冷たくして今日の誕生日を盛大に祝うことができたら、きっと今以上に俺のことを好きになってくれると思ってちょっと冷たくしてみたんだ、ごめんな

俺だって、冷たくするの辛かったんだぞ

仕事から帰ってきたらちゃーんと二人で祝おうな

ケーキも買ってきてやる

何より!

俺はお前に今日プロポーズするんだぞ

ビックリしただろ

計画練るの苦労したんだぞ


とりあえず

俺が仕事から帰ってくるのを楽しみにしてろよ

そして、こんな不器用にしかサプライズを考えられない俺を許しておくれ


最後に


愛してる





手紙の最後に書いてあった日付は別れ話した前の日だった


まさか、そんな理由があったなんて

泣きながら彼に電話をかけてみたけれど、何度かけても彼は出てくれなかった


私とは別れたからもう祝ってくれないの?

そんなのは嫌!

もう一度やり直させて!

そんな思いを込めて、私は彼の会社まで彼に会いにいった

きっと今ならまだやり直せる


むしろ、別れ話をすんなり受け入れたのも、きっと、今日、私にプロポーズするために、離れたフリをしたんだろう


ワクワクしながら彼の会社に向かった




でも彼には会えなかった




彼は自宅を失い

私を失い

電車に飛び込み

自殺していた


あって当たり前のものが、なくなって、初めてありがたみを感じます


なくなってから、

ああしてたら……

こうしてれば……

そんなことを思っても遅く、後悔することも多いと思います


そんなことはわかっているのに、同じことを繰り返してしまうのはなぜでしょうか

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