表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/33

「なんともありませんね。いたって健康でいらっしゃいます」


 当たり前だ。俺の体調は万全だ。


 という、ツッコミを本気で心配する二番目の兄が横にいる前で医師に言えるわけもない。


「そ、そうか?だが、今までにないくらい、殊勝なことを言うのだ…」


 帰っていく医師に言い訳めいたことを、ぐちゃぐちゃ言っている。


 兄はやはり甘いんじゃないか?


 というか、謝ったら、体調不良を心配されるなんて…


「ああ、びっくりしました。兄さまがあんなに慌てて飛び込んでくるから、本当に体調が悪いのかと思いました」


 そう言って、俺と同じ顔(ちょっとタレ目気味だが)の双子の弟は笑っている。


 まじで同じ顔とは思えないくらい、優しい雰囲気だ。


 なんで、こうも天使に見えるんだろうな。


 なにが違うんだ?


「…ミッド兄さま、病気?」


 まだ10歳の小さな妹は心配そうにのぞきこんだ。


「大丈夫だよ、アリサキス」


 頭を撫でてやると、嬉しそうに笑う。


 かわいいなぁ。


「ん?」


 視線に気づいて、かわいいアリサキスの隣を見ると、すごく怪訝な表情の兄と驚いた表情の弟がいた。


 なんなんだ!!

 

 俺がなにかする度にこの反応!!


 失礼な!


 って、日ごろの行いのせいだよ!


 そう言えば、二人きりの時は可愛がっていたアリサキスだが、家族の前では話しかけたこともなかったな。


「ミドラドルは…アリサキスと…仲がよかったんだな?


 知らなかったな…」


 まあ、そうだろうな。


 家族がいるのに話しかけたのは、今が初めてだしな。


「…ミッドは、アリサキスには笑うんですね。私には、笑いかけてくれたことなんて、ないのに…」


 あれ?


 双子の弟よ!


 なんだか、それはヤキモチ発言に聞こえるぞ。


 しかもちょっとぶすっとしてるし…


 正直、見た目俺と同じの、どう見ても〝かわいい”より〝かっこいい”の評価が多いヤローにそんな事言われても、全然うれしくない!!


 むしろ、気持ち悪い!!!



「ミッド兄さまはアリスには優しいのよ。


 ミッド兄さまの一番はアリスなのよ」


 アリサキスはきゃっと嬉しそうに言う。

 ああ、かわいい。


 けど、弟のほうはますますぶすったれてる。

 そして、アリサキスと火花を散らしている!

 なんだ、この空気!?


 弟よ!大人げなくないか?


「…私の方が双子なのだから、ミッドにいちばん近いです」


 ぼそりと呟く。

 

 間違いない!こいつは、ブラコンだ!

 しかも、きっと秘かでもなんでもなく、オープンだ!

 オープンブラコンだ!!


 そんなこと、初めて知ったな。

 (できれば、知らないほうが良かったけどね!)

 いや、知ろうとしなかったのか…


 てっきり弟は、なんでもできるスーパーくんで、俺のことをバカにしているんだと思っていたよ。


 ブラコン発揮して、今もアリサキスとにらみ合っている姿は、少し笑える。


「何がおかしいの、ミッド兄さま!」


 あ、顔にでてたか!


「いや、ちょっと。二人は仲がいいなと思って…」


「「どこがいいの」です!?」


 二人の声が重なる。


 いや、仲がいいだろ…。



 そんなにらみ合う二人を全く気にすることなく兄は口を開く。


「しかし、ミドラドル。本当にどうしたんだ?


 いつもピリピリして、俺たちを避けていたのに…」


 やっぱり、そう見えていたのか…。

 

 というか、この人は、相も変わらずだなぁ。

 昔っから、この人はいっつも絶妙なところで、空気を読んでるのか読んでないのか、読まないのか読めないのか、よく分からない発言をする。


「俺が反省すると、そんなに変か…?」


 さすがに、何を言っても、しても、体調を心配されると、落ち込んでしまう。


「い、いや!!違う!!そうじゃなくって!!」


 兄は焦って否定する。


「お前が…私たちを避けているのは知っていたし、私たちとどう向き合えばいいのか分からないことも何となく分かっていた。


 だからこそ、急にそんなに簡単に折り合いが付けられるものではないだろう?」


 この人は…するどいな。


「…ああ。俺は…」


――――…バンッ!!!!!


 俺が話し始めようとすると、急にドアが勢いよく開けられる。


 驚いて入り口を見る。にらみ合っていた弟妹も目線をそっちにやっている。



 入ってきたのは、10代半ばの見た目の女性。少しウェーブのかかった金の髪、かわいらしい顔、なぜか、うるうるしている大きな瞳。


「ミッく~ん!!体調が悪いって聞いたの――――!!!」


 あれ?この人、こんなに小さかったっけ?

 たぶん140㎝くらいしかないよな?


「や~ん!!みんな、ミッくんのところにいたのね―――!!」


 ベッドの俺に飛びつきながら、きゃぴきゃぴと笑う。


「みんな、ミッくんが心配だったのねっ」


 

「みんなが優しい子で、お母さま・・・・うれしいわっ」


 …そう、このどう考えても、5児の母に見えない、この人が、俺たちの母親だ。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ