27 とある××の企み①
闇の中、くすくすと笑い声が響いていた。
「ああ!なんて楽しい日なんだろうねえ!!
大きな失策だよ!!」
コツコツと靴音が響く。
「全く愉快だよ!!
何も考えずに動くから、シュヴァルツの王弟にむざむざ逃げられる結果になるのだよ」
男の苛立ちに空気が冷たくなる。
「これは、仕方のないことか?
そうは思わないねえ」
男は、愉快そうに笑う。
「しかし、エルフ…か。
エルフは綺麗な一族だよねえ!
ヴァンパイアなんかよりよっぽど見た目だけは綺麗だね
如何せん、魔力はカスだけどね」
闇の中で何かが囁く。
「ん?銀髪?エルフ?
第三王子?」
男は考え込む。
「あっはははははははははは!!!!
なんだね、なんだね!?
それは、愉快じゃないかね!?
偶然にしては出来過ぎた展開だとは思わないかね?
よもや、そんなモノに出会えるとは…!
はははははははははははは!!」
男は、腹を抱えて笑っていたが、しばらくして落ち着いたのか肩で息をしながら、闇を見据える。
「…あいつの生まれ変わりか…?」
声は寒気を感じるほどに冷たかった。
「ふむ、興味はつきないな…」
そうだな、と男はにんまりと笑う。
「その銀髪のエルフ…それが我らに仇なす前に、私がそいつを始末してやるよ」
靴の音をさせながら、男は黒い帽子を被る。
男は笑う。嗤う。哂う。
闇の中、それは秘かな企みだった。
そして、男は、黒い燕尾服を翻しながら、闇へと消えていった。




