番外 とある女官と王子のつぶやき
連投です!
番外編です!
ミリアです。
今日は、お洗濯場での話を少し紹介します。
と言っても、最近の話題は、秘かに手伝ってくださった王子・ミドラドル様。
「はあ、麗しかったわあ」
「ねえ!!洗濯する姿さえも美しいなんて!!!」
「ああ、眼福だわ!!」
休憩室で先輩方はきゃいきゃい騒いでいます。
確かに、あの方、キレイなんです。
きらっきらの銀髪が太陽で光り輝く様は、まるで宝石のようで…
あんなに一日太陽の下にいてもまったく日焼けしていないんです。
なんてうらやましい!!
そんなミドラドル様なんですが、またお手伝いに来てくださった時の話です。
私が泣いてしまっても呆れずに、頭をなでてくれる。
なんて優しいんでしょう!
でも、恥ずかしくて、目にゴミが、とかウソめいた言い訳をしちゃいました!
ミドラドル様はそんなウソを信じたのかどうかはわかりませんが、何も言いませんでした。
少し、複雑そうなお顔をしていました。
しかも、慰めてくれて、ハンカチまでくれました!!
これは、家宝にします!!!
なんだか、いい匂いのするハンカチでした。
二度目のことなので前回よりも手馴れていらっしゃって、あっという間に洗い終わってしまいました。
洗うのはミドラドル様、干すのは私、と決めていたので、私が干すのを入り口の階段に座って待っていてくれます。
ミドラドル様は、あの階段の場所がお気に入りのようです。
今はじっと中庭の植木の一つを見ています。
確かに気になる形に切られているんです。
なぜ?としか言えないんです。
しかも、一つだけ…
ほとんど真四角なんですが、横から見ると下の方が大きいんです。
下から上に向かうほど小さくなっているんです。
真四角にしなかったのはどうしてなんでしょう?
上から見たら、真四角なのに…
ミドラドル様も気になるのか、じっと見ています!
その時です!
たぶん、聞かれているとは思っていなかったんでしょうね。
独り言のようだったので…
「あぁ~、チ○ルチョコ食べたい」
ん?
聞きなれない名前の物が出てきました。
チ○ルチョコってなんでしょう?
先輩に聞いてみることにしました。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ミリアに手渡されたソレを見た瞬間、「なんで?」と思ったさ。
なんで、これがここに??
「昨日、食べたいっておっしゃってたから、今日の朝、買いに行ってきたんです」
確かに言ったさ!!
独り言だったつもりだよ!
あの植木、なぜか台形にカットしてあって、まさにチ○ルチョコにしか見えなかったんだよ!
でも、ないのは分かってたから、本当に独り言だった!!
それで…
「これ…」
「これ、街で流行っていて、チロリアンチョコって言うんです!
私は知らなかったので、先輩に聞いたんです」
いや、流行はどうでもいいんだよ!!
なんだこれ!!
チ○ルチョコにしか見えない!!
…なんの罠だ?
あの植木といい…
いや、待て!!
あの植木が真似をしてカットしたんじゃないか?
でも、これ…
作ったのは、明らかに『日本人』じゃないのか??
やばい!
これを作った人に会いたくなった!
と思ったら、作った店主は50年前に死んでいた。
あれ?
あのチョコってそんなに前からあったのか?
ああ、でも、俺がすぐに転生したとは限らないか…
もしかしたら、意外に『日本人』って多いのか?
ということは、俺、『前世』のこと言っても問題ない?
いや、待て!!
待つんだ、俺!!
こうして、俺は散々悩んだ!!
悩んだ挙句に、やっぱり、転生したなんて絶対言うもんか!と決意を新たにした。
時系列的に前後してしまうんですが、チョコを渡されたのは、13話の朝食の後です。




