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4-3:ちいさいばくとちいさいかたつむり
「ばくさん、ずっと さがしていました」
いつも ちいさな声だと思っていたけれど、おなじおおきさになると よく聞こえました。
ばくは、なにか言おうとしました。
でも、あいての なまえを わすれてしまっていたのです。
「ぼく……ぼく ぜんぜん だいじょうぶじゃない」
ばくが 泣きそうになると、あいては あわてて 目を うろうろ させました。
「どうしたんですか、たいへん、どこか いたいんですか。けが したんですか」
「ううん、そうじゃないんだ。ごめん、ぼく きみが だれか おもいだせない」
「いいんですよ、ばくさん。なんかいわすれても、なんかいでもおもいだせます」
うつくしい みどりの やねの下、2ひきは むきあいました。
「わたしは、かたつむり。そして、ばくさん、あなたは わたしの だいじな おともだちです」