Fairy Tale その3
ヒタヒタヒタ………
中はティアの予想通り水系のダンジョンだった。
時たま遭遇するモンスターは魚人やらヒトデやら貝やら、後ロアの期待通りというべきか沢山足の生えていた蛸とか(出て来たとたんにティアとベルが魔法で滅多打ちにしたが。)が出てくるものの、ペースは快調だ。
正直言って僕らの敵じゃない。
当たり前と言えば当たり前か。僕は<鎧袖一触>のスキルをもって、なぎ払っているし、他のメンバーも結構な高レベルプレイヤーだ。故によほどのことが無い限りピンチになることは無いと言ってもいいだろう。
とかいって、油断してたらすぐに死ぬから少なくとも僕だけは周囲に気を配っているが。
「………ん?」「どうしたの?」突然足を止めた僕をいぶかしんでティアが尋ねてくる。
「いや、何か聞こえてこないか?ほら、今も。」「んーー?」全員が耳を澄ませて周りの音を聞く。
ポチャリ………ポチャリ………l………ポチャリ……
「本当です、歌?みたいなのが聞こえます。」「ベルの歌……って訳じゃなさそうね。」「きこえた〜!」
「………行ってみないか?」女性陣(+妖精)にはきこえたようで僕の提案にも乗り気になっている。が、
「え〜、何もきこえないぞー?」ただ一人ロアだけは聞き取れなかったらしい。
「注意して聞いてないからだろ、………こっちか。」
「できれば、戦闘系イベントじゃなければいいんですけど。」
その微かな歌声に誘われるように僕らは小さな横道に潜っていった。
「ちょっと、待ってくれよー。」後ろからロアの声が響く。
「早くしなさい!」
「迷うなよ、特にティア。」
「何でアタシにだけに言うのよ!」
「は?何言ってるんだ、イベントは受注者がいないとクリアできないんだろ。」
どうして怒りだすんだ?
「あ、そうか。」今気づいたかのような声を上げるティアにニヤリと笑い、
「おやおや、ティアお嬢様は〜どんな勘違いをしていたのかな?」と軽くからかってみると
「なっ!からかわないで!」顔を真っ赤にして武器を振り回す。
「おいおい、危ないだろ。」当たるはずも無いが、一応注意する。
「うー、うーー!」「チッ、ロア、ティアに抱きついていいぞ。」「いやっほー」
ロアはその瞬間、ヴンと音を鳴り響かせティアを後ろから羽交い締めにする。
「は、離しなさーいー!」「そのまま離すなよ、さて行こうか、ベル。」「はい!」
そんなこんなで歩いていくと、大きな湖のほとりにたどり着いた。
「ここは?」「……地底湖と言うやつかな、それにしても」
僕は水を掬い上げながら
「明るいな、湖の底が光っているのかな?」「ここだけ、さっきまでのダンジョンとは違うみたい……。」「きれいだねー」「でも、誰もいないね………?」
ロアは不思議そうに首を傾げるが、僕とベルはゆるゆると首を横に振り、その言葉を否定する。
「いいえ、違いますよ。」
「………まだ歌は続いてる。………来るぞ。」
次回
地底湖に導かれたナハトたち一行はある存在と遭遇する。
それは敵か味方か?




