前座 その一
MmoをやりたいのにMacだから出来ない夜音が書いた作品ですので、多少の誤差は気にしないでください。
「ふぁあ〜あ」現在時刻、朝の9:00。こんな朝早くから、なんでログインしないといけないのだろうか。理解に苦しみながら、町の大通りを歩く。こんな時間じゃインしている人なんてほとんどいないだろうと思ったがそういう訳でもないようだ。
「ヘイらっしゃーい!」「potやすいよ〜!」「こいつとこいつをセットでなんと!!」路上にシートを広げたプレイヤーたちが朝市のようなものを行っている。なるほど、戦闘で手に入れたアイテムやら何やらをここで売っているのか、なかなか面白いな。冷やかしながら見て回っているといつの間にか時刻は9:15になっていた。おっと、こうしている場合じゃない、早く行かないと「お嬢」に殺される。
「も〜!おっそーい!」「いやあ、すまん、スマン。」案の定怒られた。
「……もう、今回だけよ。」
ホッ、どうやら死刑は免れたようだった。
「フウ、よかった。で、どうしてこんな朝っぱらから呼び出されないといけないんだ?」
「私たちも何も聞かされてないんです。」
僕の質問に答えたのはベンチに座っている白髪の少女だった。彼女の名はベル。歌姫ベルといえばこの地域ではなかなかに有名だ。理由は簡単。たぐいまれなる可愛らしさと、超レアスキル『歌姫』を持っているからだ。(ちなみに、リアルでのベルもとても可愛い。)
彼女は水色のワンピースからのぞく白い足をパタパタさせ、怒っていた少女——ティアの方を向く。するとティアは
「ウッフッフ!まだ教えなーいよ!」
とやけに上機嫌に言う。
「? …フゥン。」「……??どうしたんでしょう?」
確かにいつも元気な彼女だが、今日はいつも以上に張り切っている。というか浮かれている。と、
《ナハトさんナハトさん。》突然プライベートチャットでベルが話しかけてくる。
《ん?どうした、ベル?》
《ティアさんがご機嫌なわけが解りますか?》
《ああ………確証はないけどな。》《本当ですか!?おしえておしえて!》
《多分……イベントクエストだろう、しかも『隠れ』の、な。》
イベントクエストとはストーリー仕立てのクエストで、特別なNPCの護衛をしたり(例;第二王女の護衛)季節にそったクエストだったり(例;さぼりサンタを捜せ!)というヤツのことである。
すべてに共通して言えることはクリアすればそのイベント内でしか手に入らない極レア(S〜SS)をゲットできるので大人気なのだ。
イベクエは運営の方からヒントやら受託条件やらが公式サイトにアップされるのだが、一部、書き込みすらされてないイベント——通称『隠れ』が存在する。
………ここだけの話僕の装備の二、三個はその『隠れ』報酬なんだけどな。
まあ、その話はおいといて。
《ああ、なるほど!それなら、あんなにうきうきしているのも頷けます。》
《だが、『隠れ』はかなり大変だからな、3人じゃ難しいぞ。》
《あ、3人じゃないですよ、4人です。ロアさんはさっきティアさんに命令されて買い出しにいきました。》
《そうか、そういえばいたなあいつ。………ふむ、なら何とかなるだろう。いざとなれば「コレ」もあるしな》
そういって右腕をあげ「コレ」をベルに見せる。見た目は黒いただの腕輪。だがコレは文字通り1vs1の死闘で手に入れた{王}の装備。コレで何度命を救われたことか。
《そうですね。それにナハトさんと一緒なら絶対大丈夫ですもん。》《ハハハ、サンキュ、姫様。おっと、ロアも来たみたいだぞ。》
「 おーい、買ってきたぞ~ってナハトじゃん、はよ~。」
のんびりした口調で声を掛けてきた青年こそ、ロア。MAO内最速の〈迅雷〉と比べても劣らない速さの持ち主だ。もっとも、普段は全くそうは見えないが……
「よう、ロア。朝からご苦労様。」僕がそう言ってねぎらうと、ティアが上気した口調でしゃべり出す。
「さて、全員揃ったわねー!さて、今回はなんと!!「舐めてんのかてめえ!」
青空の下、 突如響き渡る怒声。
振り返るって見ると、そこには小柄な女の子のキャラが大男に詰め寄られていた。
二週間に一度は投稿したいなあ。




