35:今日の目覚めも
ヒカリ…白いヒカリ…
閉じているまぶたに陽の光が当たっている。
眠い頭はそれだけ理解している。
もう朝か…何時だろう。ケータイ…
もぞもぞと伊奈実の手が広いベッドを彷徨う。
左側の何かに右手が触れた。
あった…温かい………?
なんだろこれ……ケータイ……そうだよケータイだよ…
………………………………………………………
………………………いや、違うだろっ!!
脳の目覚めと一緒にガバッと音がする勢いで起き上がり、温かみの根源の右手に目を移した。
彼女が手にしていたのは、自分のものよりも一回り大きな手だった。
「え?!先生?!」
なんで?!
ここ昨日私が寝たゲストルームだよ!?
ってことは先生が昨日の私みたいなことしてる?!
左右を見渡して昨日の二の舞を踏んでいない事をまず確認した。
「ん〜…」
「んわっ!」
右手が引っ張られて先生の方へ体がもっていかれ、先生の肌に包まれた。
「ちょ…放してください!」
「ん…すぅ…すぅ…」
え。寝た?!
この人また上半身裸で寝てるし…
しかも私より肌綺麗っておい。
まつ毛も長いし
髪くしゃってなってるのに綺麗だし
っていうか…
「起きろーーーーーーーーーーーっ!!!」
「んん〜……イナミ…」
「先生?放してくださんんっ?!
……っ、…っはっ、……んーん!……」
く、唇塞ぐなーーーーーーーーーーーー!!!!!
力強くて勝てないし、息できないし…空気が足りないっ!
私このまま死ぬのか?
それは嫌!嫌すぎる!!!絶対嫌!!!
「ふごぉっ!!!!」
「ぷはっ!はー、すー」
…はぁ、死ぬかと思った!
「イタタ…伊奈実ちゃん?!何するの〜?ボディーは痛いよ〜」
「”ナニするの”はこっちのせりふじゃボケーーーーーーーーーーーー!!!」
さっきかました、火事場の右膝でボディーへの蹴りは効いたみたいだけど、この言葉。
寝ぼけてたってことなのか?
無い……あり得ないだろう!?
「せ、先生が…私の唇…勝手に塞いだんです!バカ!変態!」
「伊奈実ちゃん違うよ〜?」
「は?!何がですか?!」
「呼び方〜」
「は?!今はそんな話してません!先生がっわっ!?」
「だから〜違うよ〜。昨日の夜から先生に戻ってるよ〜。どう呼ぶんだったかな〜?」
せっかく一撃喰らわせたのにベッドに押し倒された。
しかも顔!顔が近い!やめてくれ!
っていうかどう考えても先生が悪いんだけど。
む、ムカつく…
「………珠洲せっんんん!?」
「……………っ、は〜。違うよ、伊奈実」
くっそ!乙女の唇を何度も塞ぎやがって…何だと思ってるんだこの変態!!!!
「最後のチャンスだよ。呼んで?」
さささ最後って、最後って何?
目が、あの何でも透視できそうな目が光ってるし!
こういうの何?!
なんていうの?!
…ピンチだ。
「………か、楓」
屈服…屈辱…白旗全力で振ってる気分だ…
「ん〜そうそう。よくできました〜!
おはよう伊奈実ちゃん!チュッ」
先生はそうしてベッドを降りた。
無抵抗なのにどういうことですか?
っていうか
「勝手に何度も唾付けてくるなこの変態ーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」




