3:悪意の落とし穴・二
続、イジメシーンです。
さらに少量の流血、危ないシーンがあります。
苦手な方は申し訳ありませんがお戻りください。
まだ何か?
とはさすがに言っちゃまずい事くらい分かるので
伊奈実は黙って振り返ると巴の潤んだ瞳と目が合った。
「九谷さん、あなた色々噂があるけど本当は誰と付き合っているの?」
「は?」
「だから恋人は誰?」
この人、ナンナンダ…っていうか噂って何だよ。
私に何が言いたいんだかさっぱり分からないし、体が熱くて胃の辺りがなんだかムカムカしてきた。
「いない」
『へ?』
「恋人なんていないし誰とも付き合ってない」
人生で一度もそんなのいたことがないね。
伊奈実は毎度、こんな色恋のやっかみを受け過ぎたため、その類いに良いイメージが持てないまま十七になった。
「でも、佐藤くんは九谷さんが彼女だって…」
「はぁっ?!」
今、すんごく…とんでもないことが聞こえたんだけど。
今回、伊奈実は会ったことも無い佐藤くんになんと恋人に仕立てられたようだ。
佐藤くんとやら、君はすっごく迷惑な人決定だよ。
会ったら殴ってやりたい。
「え、そうじゃないの?」
あーもう、この子たち…言ったことは一度で理解してくれよ。
なんかムカムカがイライラに変わってきた。
「私は、佐藤くんって人知らないし、恋人じゃありません」
『はぁぁぁぁぁぁぁ?!』
巴たちが奇声をあげた。
『佐藤くんを知らない?そんなわけないでしょ!?ありえない!!!』
「ありえないとか言われても知らない人を知ってるとか言えないし、勝手に彼女とかこっちは迷惑なだけなのっ!!」
「迷惑…あんた何様なのよ!!!」
「痛っ!」
巴の手から室内にあった本が飛んできたのをきっかけに、その仲間たちからも、ふざけるな、ありえないとかいう言葉と一緒に
色々何か分からないモノが飛んできて、伊奈実は室内の端にじわじわ追い込まれた。
あーっ!!クラスの皆のノートを私のせいで傷つける訳にはいかないんだよっ!
モノを投げてくる彼女たちに反撃できるわけもなく、背を向けて必死でノートを守っているが、それにしても痛い。
視線を目の前の少しもやっとしたガラスに向けるとその向こうから人陰が見えた。
その瞬間、背中に大きなモノが当った。
ブチン
頭の中でイライラの限界を超えた音がした。
その時にはもう、真っ直ぐ頭からガラスを突き破っていて、自分に驚いた。
ガラスの向こうに見えたのが生徒ではなく先生で、これからを考えるとラッキーだと思わず笑った。
ガラスに頭から行くとか、現実で絶対しちゃいけません。命を落としかねません。
フィクションなので伊奈実は無事なだけです。




