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ストレート  作者: 業平アキラ
第二章
25/63

25:それでも・珠洲視点

恋した珠洲楓はぶっ壊れています。

今日という日付けに変わってから、僕にはいいことがいっぱい起こっている。


まずは一時にやって来た、ねぼけた伊奈実ちゃん。

僕と一緒に眠って欲しかったけど、彼女の性格的にそれはちょっと今は叶わない願いだと諦めたのに偶然というミラクルが僕に舞い込んだ。

伊奈実ちゃんが寝ぼけているって解っていても僕がそんなミラクルを手放すはずが無い。


そっとベッドに誘導して伊奈実ちゃんをこの腕の中にそっと柔らかく抱きしめて寝転ぶ。

時々、僕の胸に頭をこすりつける姿があまりにもかわいくて、抱きしめているだけじゃ満足できなくなった僕は彼女の額にキスして眠った。



今日の目覚めは伊奈実ちゃんの声。


寝ぼけてさらに抱きしめたら何と、噛まれた。


まぁ、プラスに考えれば歯形が消える頃には赤い痕だけ残って立派なキスマーク。

伊奈実ちゃんは僕を喜ばせるのが上手だ。


否定の言葉を噛むのもかわいい。


寝起きのせいでまだ僕の理性が完全に動き出していなかったからもちろん、彼女の唇にお礼をした。


それからここに居る状況に動揺する伊奈実ちゃんもかわいくって僕は喜びで胸一杯だった。

その喜びが爆発しないうちに朝食へ行こうって言ったのに、真っ直ぐな伊奈実ちゃんは誤魔化すなって言うから、ほんの、ほんの少しだけ僕を表した。


「この喜びを体で表現していいなら誤魔化さないよ伊奈実」ってね。


もちろん伊奈実ちゃんはすっごく嫌そうに拒否した。

まぁ、予想どおり。

ここで拒否しないようじゃ伊奈実ちゃんじゃない。


でもそこからちょっと耳を甘噛みしたら予想以上に伊奈実ちゃんがプンプン怒っちゃって、口を利いてくれない。

僕はちょっとやりすぎたみたい。

反省、反省☆



車に乗ってから色々要約してその話をサクラにしたら、いつも通りの僕と似た口調で返事が返ってきたけどサクラの眼がとてつもなく笑っていた。

しかも、伊奈実ちゃんはサクラには返事をいつも通りする。

それから楽しそうに二人は話している。

それが楽しくて嬉しくて、サクラは伊奈実ちゃんに抱きついている。


僕も抱きつきたいのに。



お店の前に着いてから伊奈実ちゃんがサクラに笑顔で

「いってらっしゃい」

って言って、僕は一瞬時が止まった。


かわいい!かわいすぎるっ!!!なにそのかわいさ?!

かわいいーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!


僕の心臓は一瞬激しく脈打った。

でも僕に言って欲しい。

フリフリのエプロンを着て玄関で僕に言って欲しい。


けど伊奈実ちゃんは僕に怒ってる…どうして僕は怒らせたんだ!僕のバカ!



そうして放心している僕を不憫に思ったサクラが耳打ちで嬉しい情報を僕にくれた。


「キューちゃんと知り合って三年くらい経つけど、クールなあの子があんなに人に強く感情向けてるの初めて見たわ〜。

ふふふ〜カエデ、よかったわね〜。

次は笑顔を向けてもらえるようにがんばりなさいよ〜」


要するに、普段確かにクールっていうか落ち着いた感じの伊奈実ちゃんが、例え怒りでも感情を強く僕に表している。

そんな伊奈実ちゃんをサクラは見た事が無い。


つまり伊奈実ちゃんの中に僕が居るっていうこと。


伊奈実ちゃんの中に僕が居る

伊奈実ちゃんの中に僕が居る

伊奈実ちゃんの中に僕が居る

伊奈実ちゃんの中に僕が居る

伊奈実ちゃんの中に僕が居る

伊奈実ちゃんの中に僕が居る

伊奈実ちゃんの中に僕が居るっ!!!!



ぃやったーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!!




ほんの小さなことだと誰かが言うかもしれない。

プラス思考すぎると言うかもしれない。


でも、僕にとっては大きな大きな確かな一歩。



心に羽が生えた僕はそこからもう学校までルンルンだった。


けどどうしても僕にも言って欲しくてお願いしたら、

「人の耳噛む人にそんなこと言いません、絶対」

って拒否されちゃった。

それから、無表情で律儀にお礼を言って彼女は校舎へ歩き始めた。



「だってそれでも羨ましいんだもん〜」


君の中に僕が居たとしても、それでも。


僕は君が好きだから。




さて、ストレートな君への距離はあとどれくらいだろう。

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