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ストレート  作者: 業平アキラ
第二章
20/63

20:登場はディナーの途中で

この家、ホントどうなってるんだろう?

先生に担がれて来たこの部屋もなんというか…うん、もうめんどくさいから以下略。

とにかく黒猫の仮装なんてしていることを忘れそう…いや、仮装した人が入ってはいけない場所だ。


そして今午後八時、夕飯タイムです。


「伊奈実ちゃんおいしい?」

「はい…」

美味しいなんてモノじゃない。

頬が落ちる。美味しすぎて落ちて無くなる。

おまかせでシェフの伊藤さん(もう執事とメイド見たから驚きを通り越したけどシェフって…)が鉄板料理を目の前で焼く所から見せてくれている。

鉄板を使う料理ってお好み焼きかもんじゃ焼きしか知らなかったけど、こんなのもあるんだ…。

今、口の中にはステーキ。

久々に肉食べた。

いつもは缶詰とかはんぺんとか生野菜とか手をかけても魚焼く程度だから身に染みる美味しさだ。


「あ、にっこりしてくれてる〜。伊奈実ちゃんのおいしい時の条件反射だね〜」


先生の言葉に反応して、顔に手を当てたら口元がまたあがっていた。

「っ…」

なんか、いたたまれない。


「よかったね〜伊藤」

「ありがとうございます九谷様」

「そ、そんな頭上げてください。私ただの女子高生ですからっ」


私よりも遥か年上のちょっと強面のおじさまに勢いよく頭を下げてお礼を言われて、急に押し掛けて迷惑かけているのは自分の方だから慌てて伊藤さんを止めた。

すでに申し訳ない気持ちで一杯だからそれは逆に追い打ちです。


自分では伊藤さんを止められないから先生に眼で助けを求めたら、先生は伊藤さんと私を見てにっこり笑っていた。


「伊藤は嬉しいんだよね〜?」

「はい、楓様」

「ちょっと顔は恐いけどね〜、伊奈実ちゃんがおいしいって思ってくれるのが伊藤は物凄く嬉しいんだよ〜。

だから素直に反応してあげて〜」


なんかいつもみたいにゆるく解説されてなんだか堅苦しい雰囲気が一気に飛んだ。

そうか。私が美味しいって思って伊藤さんが喜んでくれてるなら…


「伊藤さん、お肉焼き加減丁度よくってとっても美味しいです。頬が落ちるかと思いました」

「あ、ありがとうございます。九谷様」


素直に思ったことを言ってみたけど、伊藤さんの表情が何とも微妙な感じで、これで良かったのかなと先生をもう一度見ると先生も微妙な表情をしていた。


「伊奈実ちゃん…」

え?まずいことでも言ってしまったのか?


「あの…?」

伊藤さんの方を見ると手で顔を覆っている。

まさか私、泣かせた?


「伊奈実ちゃん〜!かわいいよ〜にっこり微笑むとかかわいすぎるよ〜」


「ぎゃっ!触んな変態!」

「え〜?」

抵抗してるのに、え〜?とか言って抱きしめられたまま解放されない。

くっそ!にこにこしてても力が私より強いから敵わない。


「伊奈実ちゃん見てご覧〜?伊藤はかわいい女子高生に自分の料理をおいしいって笑顔で言って貰えて嬉しすぎて顔真っ赤だよ〜?」


解放されて顔を上げると、やっぱり顔に手を置いたままの伊藤さんが居て、でもよく見ると手の届かない耳が赤かった。

思ったままの行動は、正直びっくりするぐらいの反応で帰って来た。


「ね?だから僕にもスマイルちょうだい〜?」

「絶対嫌です」

「む〜。じゃあ、抱きしめちゃうもんね〜」

「だから触んな!」

また腕の中に閉じ込められた。


「…なのも…のだね〜」

バタバタ暴れていると先生がため息まじりで何かをいった。

「今何て言ったんですか?」

「ん〜?そのうち聞かせてあげるよ〜」

「?いえ、今聞きたいんですけど」

「ははは〜うん。また今度ね〜」


はぐらかされて聞けそうに無いから諦めて、先生を引き剥がしてステーキを食べることに専念した。



  *



「わ、かわいい」

伊藤さんがデザートまで出してくれた。

「今日はパティシエが休みを頂いておりますので、申し訳ありませんが未熟な私が担当させて頂きました」

「そんなことないです。かわいいです。いただきます」

アイスにチョコで絵を描いてパンダの顔になっている。周りにはイチゴとマンゴー。

伊藤さんの荘厳な和の雰囲気からは想像できないかわいさだ。


「わ〜。伊藤こういうかわいいのも作れたんだね〜」

「はい、ありがとうございま」

バンっっ!!!

伊藤さんの言葉の途中で私が入って来た扉がものすごい音を立てて開いた。

ビックリして振り返るとそこには、ぜーぜー息を切らしている人影が見えた。

あれって…

「サクラさん?」

「そうよ〜キューちゃん〜〜〜〜!」

サクラさんはフラフラしながら近づいて来て、気づいたら抱きしめられていた。

この双子は抱きつく習慣があるのかな。

「サクラさん息切らしてどうしたんですか?デートだったんじゃ…?」

「これよ〜!これ見て〜!」

携帯を握りしめて画面を指さした。

メールが表示されていた。


ーーーーーーーーーーーーーー

From:楓

件名:リーヤとデート中?

ーーーーーーーーーーーーーー

サクラ、良い事教えてあげる(^-^)

今日は伊奈実ちゃんが僕らの家に泊まってくれる事になったよ♪

田中が作った服着てるよ。

かわいいんだよこれが〜☆

じゃあデート楽しんでね(^o^)/"

リーヤによろしく

ーーーーーーーーーーーーーーーー


「田中が作った服着ているとかこんな気になるメール送られてもう耐えられなくって来ちゃったの〜。ホント黒猫かわいいわ〜」

「でしょ〜?田中の一押しだったんだ〜」

二人に挟まれてる…この状況なんだろう…

「サクラさんこのメールのリーヤさん?って人とデートしていたんじゃないんですか?」


耐えきれなくて来たって言ってたけど、デートの相手にしたらとんだ横槍入れられた気分じゃないのか?

そうだったら先生のせいだけど申し訳ない気持ちになる。


「キューちゃんは気遣い屋さんね〜大丈夫よ〜」

「でも…」

「サクラちゃん!?」

「ほら、そこに居るのよ〜」

入り口をみると男の人がいた。

「リーヤ〜、どうしたの〜?」

「お前のせいだろがカエデ!」


すごい息を切らしながら先生を殴りつけた。

スーツ姿のシャッキリとした顔つきで先生と同じくらいの身長。

どうやらこの人がサクラさんの恋人のリーヤさんみたい。


「イタタ〜ひどいよリーヤ〜。

リーヤが怖いことするから伊奈実ちゃんが固まってるよ〜?」


「うをっ?!…うゔん。失礼。

はじめまして。サクラちゃんの婚約者の藤堂利也(とうどう としや)です。

俺、カエデとサクラちゃんの幼なじみでもあるんだ。

二人から”と”が多すぎるって音読みでリーヤって呼ばれてるから君もよかったらそう呼んで。

君の話は以前からサクラちゃんに何度も聞いてるから何となくは知ってるよ。

よろしく」


「はじめまして。九谷伊奈実です。珠洲先生の高校の二年生です。

サクラさんのお店によく通わせてもらってます。

私のことはお好きに呼んでください。

よろしくおねがいします。

せっかくのデート中に邪魔してしまったみたいでごめんなさい」


「大丈夫だよ。悪いのはサクラちゃんの行動パターンを知っていながら餌をばらまくカエデだから」

「ははは〜サクラの中のリーヤの優先順位低いもんね〜。

今の行動は不等号だと、伊奈実ちゃん>リーヤって感じだよね〜」


「な?カエデはわかっててやってるんだよ」

リーヤさんは先生の扱い方わかってるんだ。参考になるな。

「それは、たち悪いですね」

「伊奈実ちゃんがひどいこと言った〜」

「わははははっ、ナイス。キューちゃん」

「わわっ」

リーヤさんに頭をワシワシ撫でられた。

「ふふふふ、リーヤもキューちゃんと仲良くなれそうで嬉しいわ〜」

サクラさんが嬉しそうにリーヤさんを見つめていた。


私の眼には、サクラさんの一番は何を言おうとリーヤさんだって見えるんだけどな。

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