17:二度目で反省
「あと何分だ?」
「三分弱かな」
「なんとか間に合ったねぇ」
昇降口で靴を履き替えながらグラウンドの時計を眺めた。
これから体育の授業で、あれから慌てて更衣室で着替えてここに居る。
「うぅー、体に日焼け止め塗れなかったぁ。紫外線嫌ぁ…」
「顔面は塗ってんだから大丈夫だっての。花は気にし過ぎじゃん?」
「女子力低いカオに言われても何も響かないしぃ」
「む。伊奈実!花に言ってやってくれ」
「え?まぁ…足下ニーハイで隠れてるし、上は長袖だし脱がなければ大丈夫じゃない?」
「そっかぁ☆」
「女子力って何だよ?わけわかんねー!」
カオが叫びながらグラウンドへ走り出して行った。
「カオ…」
「いじり甲斐があるよねぇー」
花、また黒いキラキラが見えるよ…。
*
「はい、じゃぁー始めて!」
ピーーーッ!
先生の試合開始の号令と笛の音で白黒のボールが地面を駆け回り出す。
授業は内容別に選択制で、今回私たちはサッカーを選んだ。
私もそれに合わせて動き出したとたん、サッカー担当の千葉先生に呼び止められた。
「九谷さん、あなた朝倒れてたけど見学じゃなくて大丈夫?」
「はい、大丈夫です」
「朝ビックリしたんだから!しかも九谷さん運んだの珠洲先生だったでしょ?
あなた綺麗だし珠洲先生もイケメンでしょ?すっごい絵になる感じだったわよ!私的に!!」
「はぁ…」
今の話、普通の人が聞いていれば単なる会話なんだけど、
千葉先生は少女マンガが大好きで、なんでも好きなキャラクターに私が似ているらしい。
要するに私を通してキャラクターを見てるってことで。
そう言えば、珠洲先生も何かに似てるって前に言ってたな。
だからこういったキャラクターの妄想ネタで先生にはよく呼び止められる。
「あーそんなそっけないトコもコモルちゃんそっくりー!!!」
「千葉先生…アクセル全開ですね。試合、戻ってもいいですか?」
「うん!良いもの見せてもらったから全開よ!
くれぐれも無茶しないように!」
「はい。失礼します」
「お、伊奈実待ってたぜ!パス!」
戻って早々、カオからのパスが飛んで来た。
このまま二人でゴール狙えそう、カオを見たらうなずいたからそう思ってるみたい。
これは行くしか無いでしょ。
走っていると敵チーム二人に囲まれた。
「カオ!」
なんとかカオにパスしてボールは守ったけど弁慶を蹴られた。
けど痛がってる暇なんて無くてまた前へ、そしてゴール前へ足を進めた。
カオがなんとかゴールを狙ったけど、ボールはバーに阻まれて中に浮いた。
今だ!
ピピーーーーッ!!
「はい、ゴール!」
千葉先生の声が響いた。
「ははっ!伊奈実、ヘディングとかやるじゃん!」
「この前テレビで見てさ、やってみたくて」
「伊奈実んやるぅー!」
「花、ありが…」
「伊奈実!」
「伊奈実ん!」
「九谷さん?!」
しまった。ヘディングは無茶のうちに入るんだ。
今日二度目の消える視界の中で反省した。




