14:条件反射
「よ〜し、あとは君に任せたよ〜」
ピッ!
まるで返事をしたみたいに先生の押した乾燥機能付きの洗濯機のボタンが鳴った。
私が自分で汚したスカートを先生が手で洗ってくれてから機械に入れたのだ。
うちの学校の制服は、洗濯丸洗いできる形状記憶タイプだ。
自分で洗うって断ったんだけど、先生が頑として譲らなかった。
シーツとかも一緒に洗っている。
まだ気にしてるのかな?
「珠洲先生」
「ん〜?どうしたの伊奈実ちゃん?」
「…いえ、ありがとうございます」
「はははっ、僕スカート初めて洗っちゃった〜。やっぱり一枚布は冬とか絶対寒いでしょ〜女の子は大変だ」
「い、いちまぬの…まぁ冬は寒いです。男子のズボンが羨ましいくなる時もあります」
「そっか〜。うちの学校もスラックスみたいなのデザイナーさんに作ってもらえば良いのにね〜」
「そう思います」
「お〜!伊奈実ちゃんと初めて意見が合ったね〜。僕たち気が合うね〜」
「初めて意見が合っただけなのに、気が合うまでは無いです」
「えぇ〜?僕はそう思うんだけどな〜」
超プラス思考……この先生に限って気にするとかは無いな。
「伊奈実ちゃん、洗濯機が止まるまでコーヒーブレイクしない?僕が淹れるから〜」
サクラさんが認める程の腕、飲んでみたい。
「いいんですか?」
「もちろん♪僕のはサクラと張り合えるおいしさだよ〜。
よ〜し!伊奈実ちゃんの為に頑張っちゃうぞ〜!!」
先生は白衣とシャツの袖を上げ始めた。
「いえ、そこまで気合い入れなくても…」
「伊奈実ちゃんはブラックで飲めるかな〜?」
「はい。いつもブラックです」
「よかった〜。この部屋、緊急用の砂糖しか置いてなくってさ〜
ちなみに僕もブラック派だよ〜。やっぱり気が合うね〜」
「…」
面倒な方向に話が進んでいきそうだから返事をするのをやめたけど、それでも先生は鼻歌を歌いながら楽しそうにコーヒーを淹れた。
良い香りが部屋中に広がった。
「はい、伊奈実ちゃんおまたせ〜」
「ありがとうごさいます。いただきます」
保健室に似合わないちょっと高そうな可愛いカップに入っていた。
これ先生の趣味かな…?
「…おいしい」
私が淹れているのと同じやつってサクラさん言ってたよね?
おいしさが全然違うんですけど…
「やった〜伊奈実ちゃんがにっこりしてくれた〜」
「へ?」
自分の顔を触ってみたら確かにおいしさで口角があがっていた。
「こ、これは…」
「うんうん、これは〜?」
なんか続きを促されてる…。
「条件反射で」
「何のかな〜?」
ん?先生近くないか?
「お、おいしいものを飲んだから」
「素直でかわいい〜!!!ギュ〜っ!」
「何度も…触んなって言ってるだろうが!この変態教師!!
許可はどうした!?許可した覚えは無い!」
ゴンっ!!
無断で抱きしめられて昨日に引き続きの、額で攻撃をかました。
「イタタ〜。許可?あぁ、さっきのね〜。あれはチューの時だけだよ〜?」
「…は?」
嘘でしょ?今、なんと…?
「だからね、こうやって聞くの〜」
なんかガッチリ腰から背中あたりを大きな手で掴まれてて動けない。
それに顔がかなり近いんですけど。
いやいや、その目で見るのやめて欲しい。見透かされそうな上に吸い込まれそうで怖い。
この先生変態だから人じゃない技とか…例えば、魔力とか使えそうだし。
「伊奈実。キス、していい?」
「はぁ?」
今私を呼び捨てにした?いつもはちゃん付いてるはず…
「あ、許可いただき〜」
「んっ!!!!!!!!」
許可なんてしてないのに、また唇を塞がれた。
許可制は……許可制はどこへ行ったんだーーーーー!!!
ん〜。ちょっと無理があったかな〜?
ま、いっか。これも条件反射だよ。
伊奈実ちゃん、君が笑顔で可愛いこと言うから♪
今のうちに唇を堪能しておかないと伊奈実ちゃんまた僕から逃げそうだしな〜。
ま、そこもかわいいんだけど。
ははは〜♪




