10:蒼い眠り姫・珠洲視点
「えー、私も最近時代に取り残されまいと、あー携帯電話を手に入れーーー」
あ〜つまんないし長い。
そろそろ保健室に帰っちゃおうかな。
僕、朝ご飯食べてないんだよね。
僕が学生の頃からこの私立青野高校の校長はこの人なんだけど、何年経っても話が上達しないのも問題だよね。
立ったまま話を聞かされるとか生徒たちもかわいそうだよ。
今度、職員会議で座れるように提案しよっかな。
生徒達の顔を見回すと一人、顔色のよろしくない子を見つけた。
よく見ると彼女は九谷さんだ。
あらら大丈夫かな。ちょっと声かけてみるか。
なんて足を進めたら九谷さんが真後ろに倒れ始めた。
貧血は意識を失って倒れる場合、その倒れ方と場所で大きな怪我をしてしまうから危険だ。
「伊奈実!」
「伊奈実ん!」
彼女の友達も気づいたみたいだけど、間に合いそうに無い。
僕も微妙なとこだったけど足を速め、スライディングして彼女を腕の中に抱きとめなんとかギリギリ間に合わせた。
「お〜い、大丈夫かな〜?」
まだ意識を失っている九谷さんは遠くで見た時より顔が蒼かった。
これは保健室に運んだ方がいいな。
「珠洲先生って宇宙人だったんだ!!」
この一言が場の空気を変えた。
よく吹き出さなかったと僕は自分をほめたい。
「はははっ、残念だけど僕は人間だよ〜。貧血おこしちゃった彼女の為にあとでお見舞い来てあげてね〜」
一応、宇宙人説を否定しといて、九谷さんを抱えて体育館をさっさと出た。
「宇宙人だって。九谷さん、君の友達ユニークだね」
まだ気を失ったままの彼女から返事はなく、僕は肩を震わせながら保健室へ向かった。
この眠り姫はせっかく可愛いのに、蒼い。
健康的な色をしている方がもっと可愛いのに。
そして身長に対して平均よりも軽い体。
九谷さん、君ごはんと睡眠が足りないみたいだね。
よし、決めた。
「起きたらまずは僕と一緒にごはん食べようね〜伊奈実ちゃん」
チュっ
ベッドに寝かせた蒼い眠り姫の額にキスを一つ。
だって、お姫さまはキスで目覚めるでしょ?
ね?
伊奈実の睡眠不足の原因が自分だとは気づかぬまま、彼女の目覚めを待つ珠洲であった。




