1:メッ!
小さな悪意の落とし穴を見つけてしまった。
それは紛れもなく私のために用意された避けられないもの。
ねぇ、あなたならどうする?
柔らかな緑と青、黄色に白。
それから少しの消毒の匂いと適度な室温。
校舎の南側にこんな優しい色のついた教室あったのか。
九谷伊奈実(くたに いなみ)は普段の見慣れた景色とは別の、室中を入り口付近から見回しそんな事を思っていた。
高校に入学して二年、初めて保健室というところに居る。
というか、私、強制連行されて来た。
「いやぁーずいぶんと豪快にいったねぇ〜九谷さん」
そう、この少し間延びした声の、とんでもなく無駄にキラキラしたイケメン
”保健室の珠洲(すず)先生”に。
健康そのもので少しの傷なら唾付ければ治る的な思想のため、
保健室なんて近づく事がない伊奈実はもちろん珠洲先生と接点がない。
この先生と話すのは初めてだな。
なんて思いながら声の主の目を見て口を開いた。
「使えるのが首から上だけだったんで」
「はは、そうだったね。はい、治療するから髪の毛あげてくれるかなぁ?」
そう言いながらキャスターの椅子に座ったまま、長い足の力でシャーっと近づいて来た。
「いえ、もうだいじょう…っ!!」
断りの言葉の途中で、体が瞬間、宙に浮いた。
「傷、大丈夫じゃないでしょ、ダメだよ〜九谷さん」
閉じた目を開けると、先生の膝の上に伊奈実は居て、
ビックリしすぎてもう限界まで目を見開いた。
「!!!は…放してっ」
軽いパニックの中見上げると、ゆるい声とは裏腹の
あまりにも真剣な双眸がじっと伊奈実を見下ろしていた。
『………』
沈黙と何とも言えないその目の威力に負けてじたばた暴れるのをやめた。
「女の子なんだからガラスに頭突きはメッ!」
「痛っっっっぅ」
「ははは〜痛い?でも消毒しようね〜」
ーそう、私は避けられない悪意の落とし穴に何も考えず頭から…いや、額から真っ直ぐいく。
つまんなかった方、ごめんなさい。
読書感想文とかしか人生で書いた事のないので、いろいろとぐたぐたですが、そっと見守って頂けるとうれしいです。




