失われた調和
アインシャークの家臣、カエサルと神父レイン。二人は星の瞬く綺麗な夜、馬で疾走していた。アインシャークにこの事実を伝えなくては。
一方、神々の星でも、いち速く生命の星、エルドラドの危機を察知し、火の神、インフェルノの遣いが、降り立った。彼の名はアドニス。神々の伝令を伝える為に降り立った。
[さて、何処から当たろうか?パンドラの聖杯は無事か確かめよう]アドニスは宇宙船を森の中に隠した。手を広げ虹色の翼をたなびかせ、夜空を見た。鳥の様に空を飛び、急ぎ聖杯の奉納してある神殿を目指した。
[ン?騎士像が破壊されている。まさか………]神殿の上を旋回し様子を見ながら高度を落とす。着地し、瓦礫と化した神殿の内部を調べる。[神聖な場所を。誰がこんな真似を]アドニスは怒りを抑えながら神殿の内部に入る。
[誰か居らんか!助けに来たぞ!返事をしろ!]アドニスの声がこだまする。聖杯の部屋の前でアドニスは立ち止まった。[一刻を争う事態だ。一体何者なんだ?]アドニスは部屋の扉を開ける。中には数人の兵士が倒れていた。[オイ!君たち!何があった?][アア。済まない。誰だか知らぬが、手遅れだ。仮面邪教僧が、テロを起こした。済まない。守れなくて]一人の兵士が息も絶え絶え答えた。[仮面邪教僧?で、奴等は何人いた?][一人だけだ][一人で?こんな芸当は一人では出来んぞ][ヤッ………奴は人を操る能力がある。一人で充分さ。ジャック・ギャザリス。彼の名だ。元々は我々と同じ親衛隊だった。変わったのさ。世界の中心が][彼は、何処へ?][フッ浮游城に急げ!でなければ、関わるな]兵士はアドニスの胸の中で尽きた。アドニスは静かに目を閉じ、祈りの呪文を唱える。走馬灯の様に彼の記憶にその時の情景が入って来る。
クワッと目を見開き、その時の全ての情景を理解するアドニス。
[仮面邪教僧。パイロンの復活を目論むテロ組織。許さん!神の業火を持ってしても緩いわ!誓約を破った償いはしてもらうぞ!ジャック・ギャザリス!何人たりとも、聖杯の封印を解いてはならぬ。貴様には地獄すら緩いわ!親衛隊…………ご苦労であった。神の名を借りて礼を言おう。貴公等の魂、しかと受け止めた。この神の遣い、アドニスが]
アドニスは神殿を後にし、急ぎ浮游城に駆けつけるのだった。




