お人好しの無茶
「……なんてことも、あったわね」
しみじみいうリオに、陸斗は溜め息しか出ない。
「いや、母さん、普通に考えて、お人好しの域を越えてるだろ、それ」
初めて聞く両親の過去は、あまりにも溜め息が多すぎる。
若き日の両親はあまり今と変わらない。
つくづく、イクトはそう思った。
「けど、その後の卒業式までがまた、大変だったよな」
レオが思い出したと、手を打った。
「え、どんな!」
ハルは興味深々に問いかける。
「大変なんてものじゃ、ないわ」
梨月も困ったように溜め息をついた。
今でこそ、皆で話すことができるが、あの当時はそれどころじゃなかった。
「リオの無茶は、あの頃に始まったことじゃないからな。しかも、その全てが他人のため。ったく、俺達がどれだけハラハラしたか」
陸斗が再び溜め息をつく。
イクトがそっとリオを見た。
パチリと目が合い、リオが小さく苦笑した。
自覚はしているのか、それとも…。
とにかく、話の先が気になるのは確かだった。
「それで、母さんが何かやらかしたのか?」
「違うよ、私じゃないよ」
「どこが、私じゃないって?」
すかさず、陸斗がいうと、リオはプゥと頬を膨らませた。
「確かに、リーちゃんだけが、悪いんじゃないんだけど、ね」
梨月がフォローを入れるも、まだ、納得がいかないようだ。
「とにかく、先を話してよ!」
ハルが我慢しきれずに、騒ぎ出す。
陸斗がリオを見るも、プイッとそっぽを向いてしまった。
リオは話す気がないらしい。
しょうがないなと、陸斗は笑みを溢して、話し出す。
「さっきリオが話したところの、次の日…だったか。俺達四人が二人ずつそれぞれに、別行動をとっていたんだ」
そう、それはあの少し後から四人の卒業式までの話。