第零ワン【群れを率いるリーダー】
時は遡り戦場焼け野原の時代。
【ノーランド】という世界を人間が支配していた時、宇宙から突如として紫に燃える巨大な隕石がやってきた。
紫に燃える巨大な隕石は【ノーランド】の数ある大陸の中で一際大きい大陸に落ちていく。
紫に燃える巨大な隕石が地面と接触すると凄まじい衝撃波が起き建物達は全壊。共にキラキラ輝く光の粒達が【ノーランド】を覆い被さるようにして広がっていった。
衝撃波と同時に紫に燃える巨大な隕石の中から黒い狼達の群れが溢れ出してきた。
人間は衝撃波から死守した戦車と銃で黒い狼達の群れを迎え撃とうとしたが、黒い狼達の群れは無傷。
人間は為す術なくして噛み殺された。
唯一生き残ったごくわずかの人間達は隠れながらも研究を始め、キラキラ輝く光の粒をいつしか【魔力】と呼称するようになった。
生き残った人間達は【魔力】をさらに研究をし、【魔法】という超能力を手に入れ、代わりに現代の知識を失い中世の知識を記憶するようになった。
人間は【魔法】と【剣術】をマスターする【勇者】という存在を作り、黒い狼達の群れを制圧し、【ノーランド】の支配権を奪い返した。
変化は人間だけではなく野生生物も変化をしていた。
【魔力】により野生生物の中から進化を遂げた者たちが居た。人間はそれを【魔物】と呼称する。
そしてこの子犬も魔物のひとつだ。
数ある大陸の中で二番目に大きい大陸【ウィーピング】に存在する大きな森にその小さな子犬は暮らしていた。
小さな子犬は今日も無邪気に蝶々を捕まえようと走ったり跳んだりしている。
小さな子犬は蝶々に夢中のあまり周りが見えていない。
小さな子犬は足元にフワフワな小さな感触を感じる。
小さな子犬は違和感を覚え足元を見ると、黒い毛並みをした自分より大きな狼が居た。
黒い毛並みをした大きな狼が無言で子犬を睨んでいる。
「小さき犬よ。我の背中を踏むとはいい度胸をしているな」
なんとその黒い毛並みの大きな狼は喋るのだ。
「クゥ~ン…」
小さな子犬は慌てて逃げる。
木に跳び込み枝を足場にして走り、枝と枝の間を跳び、そして跳ぶ。
後ろから雷の音が鳴り響き、木々が倒れ、焼ける音が聞こえる。
言うまでもない。完全にキレている。
跳び続けていると着地を間違えて踏み外す。
背を下にするようにして落ちる。
ドゴン
子犬は背中に走る痛みで怯む。
黒い毛並みをした大きな狼が追いつく。
子犬はよろけながらも立ち上がる。
今死んだら明日も今日のように遊べない。
そう決心すると
子犬は黒い毛並みをした大きな狼から出される雷の間を焼けながらも突進する。
【初めての狩り】となるであろう。
子犬は黒い狼に近づくと同時に精一杯踏み出して耳に噛み付く。
黒い狼は払いのけようと雷を当てたり体を大きく振る。
だが…離れない。
子犬は黒い狼の耳を引きちぎると同時に大きく跳んで離れた位置で耳を口の中で食べる。
黒い狼はようやく警戒し始めたのか片足を一歩後ろに伸ばす。
そして黒い狼は突進した。
「小さき犬よ。我の耳を噛みちぎるとは何者だ!」
黒い狼は雷を纏いながら牙と爪で攻撃し始めた。
逃げる事は許されない。
子犬は今までの記憶を思い起こす。
イノシシの突進を避けて遊んだ事……
人間の投槍や戦車の弾を避けた事………
爪を避けるカエルやウサギを仕留めたこと………
……………今だ。
黒い狼の爪や牙は人間が繰り出す攻撃や雷虎が出す攻撃に似ている。
子犬は爪で刺そうとするが黒い狼は避けた……
【後ろに】
子犬は隙を見てお腹に猪のように突進する。
黒い狼は咄嗟に爪を立てるが間に合わない。
子犬はお腹に噛み付いた。
黒い狼は悶える。
子犬は悶える時に出る隙を見て今度は背中に周る。
子犬は小さい体だからこそ出来る【滑り台】戦法を利用する。
子犬は爪を背中に刺して滑り台かのように滑る。
黒い狼は咆哮をすると倒れた。
子犬は自分より大きい敵に勝った。【狩り】に。
子犬は木の傍まで歩き休憩する。
そして吠える。
「ワォ~~~ン!!!!」
【遠吠え】だ。
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この人間が支配する【ノーランド】にはあるルールという名の【決まり】がある。
それは弱者が強者に勝つと強者の種のリーダーになれるという【決まり】だ。
【弱肉強食】
弱い者は肉となり、強い者は食う。
この【ノーランド】では
【弱従強王】
弱い者は従い、強い物は王…【リーダー】となる。
もう一度おさらいしよう。
この世界は紫に燃える巨大な隕石によって変わった。
衝撃波で建物は崩壊。キラキラ輝く光の粒が放出。隕石の中から黒い狼の群れ。人間の戦車と銃で撃たれても無傷。
そして一時的に支配権は黒い狼にあったが【勇者】によって討伐、支配権は人間の元に。
つまり子犬が戦った黒い毛並みで大きな狼こそ隕石から出てきたあの黒い狼なのだ。【勇者】に討伐されたはずなのになぜ森に?
それもそのはず。黒い狼の群れは【勇者】によって討伐された。
つまり【生き残り】だったのだ。
そしてもう一つ【ノーランド】にはある【決まり】が存在する。
【種の中で進化した者がリーダー】
魔物は喋らないはずだがあの黒い狼は喋った。
つまりあの黒い狼は【進化系】。
子犬が倒したのはまぎれもない。黒い狼達の【リーダー】だったのだ。
そのような存在に打ち勝つ小さき犬はどうなる?そう。
この子犬は今この瞬間狩りに勝ち、【強者】に勝ち、【黒い狼】達。もとい【ゴーストブラックウルファー】達のリーダーとなった━━━━━。
新用語集
【紫に燃える巨大な隕石】⋯宇宙からやってきた特殊隕石のひとつ。別名マナメテオ。新時代幕開けの火蓋を切った要因のひとつ。
【魔力】 ⋯隕石がノーランドの地面とぶつかり放出された輝く光の粒。魔力には不思議な力があり、生物を進化させたり見た事のない現象を起こす時に必要なエネルギーでもある。
【魔法】 ⋯人間が魔力から作った攻撃方法のひとつ。人間が作った武器が通用しない際に攻撃手段として使うことがある。なお、使うには魔力が必要。
【魔物】⋯魔力を取り込んで進化した野生生物の事。魔物は野生生物よりも力を持つ。そして素手の筋肉隆々の人間よりも強い。
【ノーランド】 ⋯宇宙が作り出した星のひとつ。元は普通の星だったが、マナメテオによって変わった。
【ウィーピング】 ⋯ノーランドに存在する八大陸の中で二番目に大きい大陸。メインは森が存在するため魔物がよく住んでいる。
【黒い狼】 ⋯マナメテオの中から現れた人間の武器が効かない大きな黒い毛並みの雷を纏う狼。別名ブラックウルフ。
雷をメインに使う攻撃で戦い、どうやら武器も効かなければ魔法も効かないそうだが、勇者と子犬の爪と牙には勝てなかったそうで…
【ゴーストブラックウルファー】 ⋯ブラックウルフが死んで霊体になった存在。普段は霊界に住んでいるが、ブラックウルフからの呼び出しとでもあれば霊界以外の世界に移動する事が可能だそう。
【進化系】 ⋯名前の通り普通の魔物とは違った特殊体、進化した存在の事。魔物の中には突然変異体が居て、その存在を進化系とも呼称する。別名チェンジミシック




