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浅春斑雪(はるあさくゆきははだれ)  作者: 八花月
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 第二回目のカラオケBOXでの会談を終えたのち、SNOWの面々は調査の対象を新規レーベル立ち上げのプロジェクト全体に拡大した。


 雪枝の予想通り、自分たちも末席とはいえその中に入ることが出来たことにより、かなりスムーズに情報を集めることが可能になった。


 その過程で浮かび上がったのは、やはりあの日千代エージェンシービル七階にいた人物たち、数凪のいうところの大物五人『葉埼朱英』『chaos』『ナミサヤカ』『紙魚達夫』『大和兎』である。


 いずれもプロジェクトの中心にいる人々。その権限も責任も他の追随を許さない一党であった。


 以下に、その五人の簡単なプロフィールを描き出してみよう。事件に関係のありそうな部分を中心に抽出したシンプルなものである。



葉埼(はざき)朱英(あけひで)(本名) 三十代後半

 バビロンレコード新規レーベルプロジェクトのトータルプロデューサー。レーベル全体のイメージ戦略・それに合わせた個々のアイドル達の衣装、楽曲、ダンスなどを総合的にプロデュースする。予算の管理・イベントの企画・スタッフの選定、当然宣伝活動についても強い決定権を持つ。元メジャーレーベル大手レコード会社のA&R。中途退職し、長期間(約二年七カ月)の失踪。本人はその間、様々な地域を巡りながら音楽エスニックに対する造詣を深めたと語っている。その期間、不定期の文字のみブログの更新あり(現在は削除済)。他SNS、動画配信等はなし。現在もなし。実際は精神を病み、実家に閉じこもっていたとの証言あり(元バンド仲間)。その後、友人の音楽制作会社社長に請われ、アイドルプロデューサーに転身。成功を収め、今回のプロジェクトに抜擢される。契約の形態は業務委託。 


〇ナミサヤカ (本名・野上七美) 四十代前半

 作詞家。プロジェクトの中では、主にL⇆Right! の新規楽曲・初期の作詞を担当する予定だった。同時に葉埼のブレーンの一員でもあり、新規レーベルの話が上層部の口の端に上り始めた頃から企画にも関わっている。番組制作会社のAD→構成作家→作詞家という異色の経歴。作詞家としてはポップス・演歌・アニソン・アイドル歌謡と幅広い。アイドルオーディション番組の審査員を務めたことから、総合的なアイドルのプロデュースにも関わり始める。明朗闊達で、わりとなんでも喋ってしまう性格。人には好かれやすく、芸能界での交流も広い。それが仕事にも繋がっている。ただ前述の性格から深い打ち明け話などはあまりされない模様。時事ネタにもよく反応し、SNSでよく話題になりがち(物申す系)。ギリギリ炎上はしていない印象。オンラインサロンも運営しているが、最近はあまり熱心ではない様子(飽きた?)。


Chaos(カオス) (本名・到光寺(しこうじ)(けい)) 五十代前半

 作曲家。プロジェクトでは音楽全般をプロデュースする。対外的には〝サウンドプロデューサー〟の肩書になる予定。楽曲の制作・アレンジも担当し、サウンド面ではかなり強力な権限を有している。元ヴィジュアル系ロックバンドのギター&ボーカル。バンドが解散したのちは音楽スタジオでバイトや他バンドのサポートメンバー等。その期間に音楽制作の勉強をし直し、コンポーザー・音楽プロデューサーの道へ。アイドル的なキャラクターの人物も含め数多くのアーティスト、グループをプロデュースしヒットを連発。一時期のJ‐POP界を席巻し一世を風靡した。女癖が悪く四回の離婚歴あり。円満に別れた経験は分かる限りではない(婚姻関係以外も)。複数人の古くからの友人・知り合いの証言によると「女癖が悪いというより依存癖」とのこと。逮捕歴はないが違法・合法の薬物にも耽溺していた時期があった(〝業界〟では珍しくない、との証言もあり)。プロジェクト内では音楽的な部分でイニシアチブを取りたがり、当然葉埼と対立することが多い。SNS発信・動画配信等なし。


紙魚(しみ)達夫(たつお) (本名)三十代前半

 千代エージェンシーのアイドル部門チーフマネージャー。ファン上がり。元々四季真希姉妹が在籍していた『ユメノラビュリントス』の非常に熱心なファンの一人だった。ユメラビ(略称)が不祥事で解散したのち、別グループに対象を移し推し活を再開することもなく他界(アイドルファンを引退すること)に近い状態になっていたが一念発起。運営になり自分の理想のアイドルグループを作ろうと思い立つ(元ユメラビのメンバーに声をかけたり等はなかった模様。友人の証言では「恐れ多い」と言っていたとのこと)半年ほどで瓦解し(資金がショートしたため)精神を病む。ドン底状態のところ、千代エージェンシーがマネージャーを募集していることを知る。追って調べていくと、現在千代エーに四季真希が在籍していることがわかる。再度一念発起し応募。採用され現在に至る。採用された当初から四季真希含む二、三組を担当していた。スケジュール管理やその他雑用に加え、担当しているタレントに対する繊細で行き届いたメンタルケアに定評がある。関係したタレントたちの評判は良い。会社とタレントの板挟みになると、最後はタレント側についてしまうタイプ、との証言あり。SNSでもよく発信している。基本的にファンにも愛想がよくフレンドリーでファンにもそのオタク的なキャラで評判が良い。学生の頃、地方のコンベンションでショートフィルムの賞を取ったことがある。


大和(やまと)(うさぎ) (本名)三十代後半

 アイドル雑誌『NEO NECO!』の編集長。バリバリ現職だが、既に界隈では伝説になっている人物。元々は総合週刊誌の専属契約記者フリーランスだった。そこからプロパーになり、新規アイドル雑誌の立ち上げに伴い異動、いきなり編集長に。周囲からはどう見ても島流しだと思われていたが、一年ほどで界隈で最大手の雑誌に成長させた。雑誌としての特徴は誌面にジャーナリズム的な視点を多く持ち込んだこと。そこまで堅苦しいものばかりでもなく、アイドル業界の搾取構造を労働問題として捉えなおす特集から、下世話な業界ゴシップまで幅広い。このようなネタは普通アイドル専門誌だと運営が取材協力してくれなくなるのでやらない。それを可能にしたのは圧倒的な部数を背景にした宣伝力と、きわどいネタでもギリギリエンターテイメントに昇華してしまう大和のセンス・手腕によるとされている。後発の雑誌でマネをしたところもあったが、慣れあいと受け止められかねない絶妙なラインを守れず悉く失敗している。ネオネコの記事で表面化した業界内の問題や火が点いたゴシップは数多い。前述のように大和兎は自ら望んでアイドルマスコミの世界にきたわけではないが、その適性は申し分なく刺激的なネタやニュースを掘り起こす嗅覚は天才的である。編集部内では〝天の声〟と呼ばれ大和が提唱した企画・特集のテーマは悉く当たる、と有名。初めは懐疑的だった部下たちも大和の指示通り深掘りしていくと、ほぼ必ず金の鉱脈に当たるので皆心酔していくとのこと。SNS・動画配信等なし。結構イカつい名前だが本名。


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