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プロローグ

この小説をお読みになられる方。ありがとうございました。この小説は“狂気”や“恐怖”を題材の一部としてますが、ホラー小説ではありませんのでそこら辺はお気に召さないでいいですよ。ですが、それでもグロ表現は過激な物は今の所入っていませんが一応は入っているのでそこも承知の上でお願いします。

 それと、キーワードの方にクトゥルフ神話という単語がありますが、それを知っている方が居ればこの物語を楽しめるのではないかなと思っております。当小説は女神転生という様々な神話の神が活躍するゲームの設定を借りていますが、当作品はやはりクトゥルフ神話の要素がとても強いですね。ですが、ストーリーにオリジナリティを残すというのは心がけています。


 それと、「お願い」程度の事ですがこの小説の掲載分を全て読み終わったらレビューは避けて感想だけの投票にしておいてください。全て書き終われば、一斉に文章を整理する予定なので…

目の前に夜景の草原を背に苦しんでいる様な表情をした仮面を被った男が立っている…


――君の名前は何という?


 突然男に問いかけられたが、僕は自然に口を開いた。『葉月彰二』と…

 そう口を開いた後、今度は男から声が出る。


―― 葉月。君は"彼女"が創り出す"最後の善意による残酷な夢"に巻き込まれるだろう。

     だが君は絶望しないでほしい。そして、“彼女の夢”を知ってほしい…


 僕は男の言う意味が分からなく混乱した。混乱の最中に男は後ろを向いて歩く。


――君は世界に落とされる“愚かなる戦慄の夢”を好機に世界を変えるか、それとも夢を覚ますか…

     私はそれを見届けよう。


 視界は白い光に包まれた…


――◇――


『まもなく"九頭公園"に到着します』


 その電車アナウンスで僕は目が覚めた。どうやら席の上で完全に寝ていたらしい。もし、電車にアナウンスという物がなければ危うく目的地を寝過ごす所だっただろう。

 そう安心しつつ、停車した電車から駅のホームに降りるとポケットにしまっておいた携帯が着メロを流しながら震え出した。差出人は僕の友人の“蔵田”だ。


『おーい!もう“稲見ちゃん”も集まっているぞ!"羽嶋"や親父さんの為にも早く来いよ!』


 以上がそのメールに書かれた文章だ。さて、ここで僕の友人の紹介をしておこう。


 “蔵田明義”とは…僕のクラスメイトであり高一の時からの親友だ。ムードメーカーに相応しい性格をしていて、尚且つボクシング部に所属しているので喧嘩はかなり強い。

 “稲見麗子”とは…僕の部活の後輩である高一の女子だ。蔵田と同じ明るい性格をしているが、彼よりは少し真面目な性格をしており、また精神的に打たれ弱い面もある。

 “羽嶋孝治”とは…蔵田くんと同じくクラスメイトの一人であり、彼とは中学時代からの腐れ縁でもある。蔵田とは逆に少し無愛想な性格をしていて、尚且つ頭がいい。だが努力家でもあり、嫌われる様な事はしていないので寧ろ好感を持ってクラスメイトから接される。


 これが僕の主な親友だ。次に九頭公園で彼らと待ち合わせしている理由についてだが…羽嶋の父親である“羽嶋博文”が突然眠ったように倒れて動かなかったようだ。医者からは「精神的なショック」だと言われ、彼は九頭公園の近くにある“九頭精神病院”に入院した。なので、今日はその見舞いに来たという事だ。

 ここだけ聞いていると「少しおかしい」程度に感じると思うが、これから僕の話す事を聞くとそれ所ではなくなるだろう。

 実は“癒依”と“藍香”という僕の双子の妹も彼と同じようにして眠る様に倒れ、あの精神病院に入院しているのだ。そう全く同じ様に…

 …とにかく彼らをこれ以上待たせるわけにはいかない。そう心の中で呟きながら僕は駅から出ていった。


――◇――


僕が広い公園の中から待ち合わせ場所に着く事に専念しながら走っている時のことだ。僕は黒い服に白い手袋を付けた若い男にぶつかってしまった。僕が思わず「ごめんなさい」と詫びた後にまた走り出し、彼の横を通り過ぎようとした途端に男が微かに忍び笑いをした様な気がした。しかし、僕はそれを振り払うように走り続ける――


「あっ!先輩居ました!」


 気が付いたら、脇から女子の声が聞こえた。この声は間違いなく後輩の稲見の声だ。


「もう…随分と待ってたんですよ?」

「ともかくこれで全員集まったという事か」


 その声は稲見の言葉に続いて聞こえた。思わず声がする方を振り向くと、蔵田と羽嶋がこちらの方へ向かってくる姿が見える。あの声は羽嶋の物だろう。


「ささっ、早くお偉い親父さんに会おうぜ。何せ、世界的なITの技術者だからなぁ…」

「余計な事言うな」


 羽嶋は半分冗談を交えながら、蔵田に対して怒った。


「わりぃ、わりぃ、冗談だっての。気にするなよ」


 その後、気を取り直すように蔵田は向こうに見える巨大な通信塔に目を置いた。


「にしてもすげーなこれ。東京タワーに匹敵するんじゃね?」


 その通信塔は、ここ“冴川区”のシンボルとも言える“下台総合通信塔”だ。“下台”とは“九頭公園”の“九頭”と同じく町の名前であり、冴川区自体が最新技術が集う街として注目を浴びているがその中でも“下台”は通信塔を始め“下台ビルディング”や“冴川区役所”等、重要な施設ばかりが並んでいる。

 僕は彼らと共に通信塔をあたかも惹かれる様に見つめた。


――…………!


 突然目の前に悲しい表情をした少女の顔がうっすらと、だが跳び込むように目の前に映り、僕は眠る様に気を失った。


――それが彼女の最後の善意であり、最初の悪意でもあった…

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