前置き
スメガギテラ大陸中央部には、巨大迷宮が存在する。
その迷宮の中には、危険な魔物が闊歩している。
魔物になど関わるべきではないが、迷宮の魔物を打ち倒すと【魔晶石】と【顕落物】が得られる。
【魔晶石】は生活を豊かにする魔導具に必須の素材であり、発掘する以外に入手する方法がないと思われていた物体。【顕落物】の多くは取るに足りない物ばかりだったったが、時たま人の手では作り出せない装備や道具が出てくることもある。
それらの事実を知って、人々は欲望の手を迷宮へと伸ばした。魔物を打ち倒し、得た【魔晶石】【顕落物】で一攫千金を果たすために。
続々と迷宮へと挑戦していく者たちが現れ、やがてそんな彼ら彼女らのことを【迷宮挑戦者】と呼ぶようになった。
そんな始まりの歴史から、幾星霜。
未だに人々は迷宮の三十層までしか到達できておらず、迷宮の底が何層あるかも分かっていない。
それでも人々は、迷宮からもたらされる【魔晶石】と【顕落物】の回収を増やすため、巨大迷宮を中心に放射状に【迷宮街】を作り上げ、挑戦者を補助し管理する組合までも立ち上げた。
今では挑戦者たちは、組合に所属し、迷宮に挑み、魔物を倒し、拾得物を組合に卸して金を得ることが出来るようになっていた。