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第2話 おままごと

第2話 おままごと


ユーギ王子は細かい設定に頭を悩ませている。

『うーん。こういう方が面白そう』


こうしてる間に時間が進む。

数時間後……王子の考えがまとまった。


「出来た」

「やっとか」


天父神はだいぶ待たされたそうで目が重たそうだ。

王子はおもちゃのナイフやテーブルなどを神に作ってもらい、設置する。準備が出来たそうだ。


「じゃあ始める。原稿はこれね。これの通りにやってね」

「分かった」


天父神は中をひと通り目を通す。

『子供のくせによく考えられているな』


原稿は全部で5ページほどだ。天父神は次のページに目を通すと


「ブフォォ」


口に含んでいたお茶を吹き出してしまった。なにかあったのだろう。


「おいおい、君はほんとに子供か!?」


もう一度中を見る。でもやはり見間違えではなかった。天父神を見ている王子は頭にはてなを浮かべてみている。なにか変だったのかな、と思っていそうだ。


「本当にこれをやるんだな」


王子はコクンと頷く。

『これやるんだったら相当キツい……』


王子は夫役の人形を手にする。天父神は妻役の人形をとる。そして始まるのだった。地獄のおままごとが……


「アリスー少し友達と飲みに行ってくる」

「はーい!早く帰ってきてね♡」


夫の名はタロウ、妻の名はアリス。ここに1つの夫婦が住んでいる。

タロウは友達と飲みに行ってくるというと外へ足を運ぶ。そしてスマホを取り出し、誰かに電話を始めた。


「イシスたん!アリスの所を抜け出してこれたぞ!」

「あら、早かったわね!では飲みに行きましょうか!」


タロウの電話を相手は女性だった。しかもたん、呼びをしている。まるでそこら辺のアイドルのファンみたいだ。


「イシスたん!これだぞ!」

「では中へ!うふふ」


そう言うと酒屋の中に入っていく。2人はお互いに好きで相思相愛らしい。まさに浮気だ。2人はカウンターに腰をかける。


「マスターいつもの」

「どこのテレビの影響を受けたのかしら」


タロウは最近見たテレビでその口癖が気に入ったらしい。イシスもそれに対応する如く、返していく。


「では……」

「では?」

「何をしようか?」

「こっちが聞きたいわ」

「じゃあ帰るか!」


イシスは思った。こいつはバカだと。とてつもなく馬鹿だ。自分から誘っているくせに何をやるのかをまったく決めてこなかったのだ。なんのために呼んだのか。

すると酒屋の扉が開いた。ガラガラと言う音と共に黒い影が映っていた。そこにいた人物とは……アリスだ。先程まで家でまったりしていたはず。


「ちょっとタロウ!」

「なんでここにアリスが!?」


タロウは頭の中が真っ白になった。

『何故だ。アリスのグラスには睡眠魔法をかけといたはずだぞ、なぜ寝ていないのだ……』


「そんなことよりわたくしの……」

「なんだ。何がいいたいんだ」

「わたくしの……」


アリスはとても緊張しているらしい。わたくしの後がゴニョニョとしか聞こえない。

アリスは決意を決め、大きな声で言った。


「わたくしのイシスを返して!」


タロウはさらに頭を悩ませる。タロウの頭の中はもう死にそうだ。

そして倒れた。


「アリスたん、この男にいつもストーカーをされていたの。それでね、『この俺と結婚してくれたらストーカーを辞めてやる』と言われたの……」


その時のタロウは歯をむき出しにし、キランと歯を光らせていた。


「タロウ、そうなの?」


アリスの目が突然暗くなった。片目から赤いスパークを迸りながらタロウを睨んでいる。

タロウは目があったのか目を逸らした。アリスはそらした目に指をねじ込む。


「うわぁぁぁぁなにしんだぁぁぁぁ」

「わたくしのイシスたんを返して……」


さらにねじ込む。さらにさらにねじ込む。そして人差し指指が全て入るぐらいまでねじ込んだのだ。そのままねじ込んだ指だけで背負い投げと言わんばかりの指だけ投げを繰り出した。そして地面に投げた。


「グハッ……」


指を引き抜き今度はプロレスワザをする。

サソリ固めだ。ポキポキとタロウの背骨から音が鳴る。


「痛い痛い!!ちょっ……なに……すん……だ……」


そしてタロウは口から泡を吹きながら魂が抜けていく。追い打ちをかけると言わんばかりにイシスもタロウを踏みつけた。地面に顔を埋めるように足で顔を埋めていく。

タロウは心臓も止まり、永眠へと至った。


そして現実世界へ


「君はなんという子供だ……ある意味すごい……」

「いや褒められても嬉しくない」


王子は頬を染めてモジモジとしている。照れているようだ。


「いや褒めたつもりはないのだが」

「ところで…………この話はなんで作ったんだ?」


と天父神は王子へ質問をする。するとすぐに返答が返ってきた。


「昔、お祖母様から聞いたの。これは私のお話だからね。よく聞くんだよ!って言われたのを思い出したの」

「…………ということはお祖母様の実話か?」

「うんそうだけど」


天父神は内心こう思った。

『何聞かせてるのぉぉぉぉおおお』

『お祖母様も変だとは思わなかった……』と


「じゃあ次は何して遊ぼうかな」

「ハハハ……」

『もう次は実話はやめてくれ』


清々しい顔で天父神はそう言った。

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