第1話 さらわれし王子様
第1話 さらわれし王子様
とある王国に1人の男の子がいました。その少年はとにかく遊ぶことが好きでつねに遊んでいます。
その少年の名は…ユーギ・アソーブ・サラワレール
王国では珍しい黒髪、キラキラと青色に輝く瞳。そして何故か桁違いの魔力…
この物語はある意味、伝説となる………
金色で、立派な城がある。その城の中庭。そこに1人の王子様がいた。その少年はボールを蹴り遊んでいる。
「ジーヤ!行くよー!!」
「ホホォ…それは楽しみですなぁ」
「そりゃー!!」
王子様は執事のジーヤに向かい、ボールを蹴る。バゴーンと大きな音を立てる。そのボールに魔力が宿り、赤く燃え上がり、紅いスパークを迸りながら飛んでくる。執事はそれを軽く受け止める。
「坊っちゃん、もう少し威力を抑えてください」
ジーヤはふくらはぎの辺りが赤くなっていた。
「では今度はジーヤから行かせていただきますね」
「かかってこーい!」
ジーヤとユーギ王子の遊び(戦い)が夕方まで続いた。
オレンジ色の夕日がとても綺麗だ。中庭はここで戦争があったのかと思わせるほどとなっていた。ユーギ王子はジーヤに連れられ、お風呂へ向かった。
お風呂を上がったユーギ王子は夕食を取り、寝室で寝てしまった。
ユーギ王子が寝た数時間後に事件が起きた。空から光り輝く者が降臨してきた。だが、まだ王子は寝ている。そして窓が開けられユーギ王子に光が纏い、宙へ浮く。だがしかし、まだ起きない。光が完全に目元に差し掛かっているのに起きない。
すると天から降りてきた者はこう言った。
「この王子は私たち神が頂いていく」
その発言が響いた瞬間、光がすっと消えて神とユーギ王子はその場から消えてしまった。
ユーギ王子は目を覚ます。ゆっくりと開けた。目を開けると目の前には光を全く感じさせなく、逆に黒いオーラを纏っていた。
「おはよう。良い朝だな!」
「··········」
なせがその神は自分が起きたかのように良い朝だな!と言ったのか不思議だ。ユーギ王子はキョトンとした顔でその神に視線を向けていた。
「良い朝だな!」
また言った。まさかこの神はおかしいのか。ニコニコと神はしているのに対し、王子は目を細め、睨んでいる。
「オマエダレヤネン」
と王子は神に言った。すると神はクスクスと笑い始める。
「ワハハハハ!!吾輩は!神!天父神だ!全ての神の父親だぁぁぁ!!!」
王子はその神をうるさいと思い、顔を蹴る。
「ブフォ」
神は地面に倒れた。王子は倒れた神をゴミを見るような目で見つめながら顔を踏む。何度も何度も踏む。
神は鼻から血を流しながら顔が腫れている。まるでゴリラに生まれ変わったかのように。
「頼む、話を………聞い………てく………れ」
王子はまだ踏みつけている。
「分かった。話だけ聞いてやる」
神は頭を横にブルブルと振ると元通りになった。神はこの男の子が怖くなったのか土下座をし始めた。
「君は神の使徒になる器だ。だからここへ連れてきたのだ」
「うん。それで?」
まさかの反応に神は驚いてしまった。王子は真顔でそれで?それで?と言い聞かせるような目で睨んでいる。
「なので今日からここは君の家だ」
何言ってんだこいつと思った王子は目を丸くして神を見る。
神は立ち上がると王子は目を丸くしたまま目線だけ動く。
「ゴホン、ここはもう君の家だ。好きに使ってよいぞ」
「ほんとに好きに使っていいの?欲しいものもあれば買ってきてくれる?」
「あぁ買ってくるといういうかこの儂が作ってやろう。神の力でな」
その声を聞いた王子は立ち上がりすぐに要求した。
「紙出して」
「紙か。分かった。出してやろう!」
神は天に手を上げ、呪文を唱える。
「我が天父神の名で命ずる。紙を作り出せ」
すると天から光が差し掛かり、そこから紙が舞い降りてきた。その紙を手に取り王子に渡す。
王子はすぐにペン取り出し床で書き始める。
「はい。誓約書。なんでもって言ったから。ここにサインして」
「.......」
神は驚いた顔をした。まさか子供が誓約書を出してくるとは。
「なぜ、君は誓約書を知っておるのだ」
「父上が国民からそう言う紙を貰っていた所を見たから覚えた」
「おおぉ...そうか...」
君の父親国民から嫌われすぎじゃねーと心から声が出た。
「早くして」
「わかった...」
神は子供の押しに負けてしまって誓約書にサインしてしまった。王子に誓約書を渡す。
”神、子供に敗北”
王子は誓約書を懐にしまい、扉のある方へ歩いて行った。
「おぉ、どこへ行く?」
「好きなようにするがいいって言われたから遊ぶ」
「分かった。儂が遊び相手になってやろう!」
神は元気を取り戻した。なんて残念だ。
「じゃあ、おままごとね」
神の頭にはてなの文字がたくさん浮かぶ。どうして6歳児の男の子がおままごとをするんだ?という疑問が頭をよぎる。
「設定はこっちで決めるから。準備出来たらよぶ。それまで待ってて」
「分かったのだ」
そして王子はおままごとの家族構成やどういうストーリーにするのかを決めた。