戦い終わって
TSロリっていいよね
TSロリっていいよね
TSロリっていいよね
どうも、作者です。お待たせいたしました。
リアルがちょいと忙しくて更新が開いてしまいました。申し訳ございません。
あと、最近小説の書き方を忘れかけてます。どうしよう……。
決闘フィールドが解除される。
荒野から街に戻っていく景色を見つめながら、俺ははふぅ、と息をついた。
いやぁ……何とか勝てたぁ~~。
途中で色々と強い言葉を吐いちゃったからね。これで負けてたら赤っ恥だったぜ。
ふとあたりを見渡せば、野次馬の数が増えていた。意識すると、全身に突き刺さる視線がすっごい気になる。
それらを努めて気にしないようにしながら、そっと目を閉じた。
戦った感想としては、ブラウ君が普通に強かった件。
ローザネーラ戦のように俺の土俵へと引き摺り込もうとしたが、上手く行かなかった。
スライム巨人みたく単調な攻撃をただ繰り出すだけじゃなく、フェイントや布石的な攻撃を織り交ぜてきたりと油断なんてする暇はなかった。
対モンスターとは違うんだってことがはっきりと分かる。
俺の勝利なんて、煽りによる精神攻撃とちょっとした奇策が上手く嵌まってくれた結果に過ぎない。うん? なんか凄まじく屑っぽいぞ?
こりゃ、対人戦の経験をどっかで積んだ方がいいかもしれないな。
大鎌だってまだそこまで上手く使えてるわけじゃないんだし、近接戦闘の腕をもっと磨いて……って、ちょっと待て?
俺、召喚士だよな? 召喚士って後衛職だよな??
アレ、後衛って……? 大鎌を手に接近戦を仕掛けるのは後衛の所業じゃ……ない?
まぁ、今更か。思い返してみても、後衛っぽい戦い方した記憶は皆無。
それに、ステレオタイプにすっぽり嵌まってちゃ面白くない。
ペーペーの新米とはいえ、今の俺は配信者。
配信者にとって『普通』は『死』と同義ってどっかの配信者が言ってたし、今のままでいいんじゃないかね?
それに……誰かの後ろでこそこそやるってのは、どうにも性に合わないし。
大鎌ブンブンしてる方が楽しいからね。しょうがないね。
と、考え事をしていると。
「ますたーっ!」
「おわっと」
背後から衝撃が走る。耳にぶつかる、弾んだ声。
肩越しに振り向けば、満面の笑みを浮かべたローザネーラが背中に張り付いていた。
「かったわね!」
クスクスと笑いながら言うローザネーラ。
なんか機嫌が良いな? と思いつつ、俺も笑みを返す。
「おう、なんとかな。見ててくれたか?」
「ええ、しっかりとね! まぁ、よくやったんじゃないかしら?」
背中から離れたローザネーラは、ふふん、と得意げな笑みを浮かべている。
戦ったのは俺なんだけど……まぁ、微笑ましいからいいか。
「まぁ、ワタシのますたーなんだから、とうぜんよね! あんなぶれいものなんかにまけるはずがないもの!」
「いや、結構ギリギリだったって」
「そう? まぁ、ワタシはそんなしんぱいなんて、ぜんぜんしてなかったわ」
「えー、心配してくれなかったのか……」
少しくらい心配してくれたって罰は当たらないと思うけどなぁ。
別に、死ぬほど心配されたい、とかじゃないんだよ? 信頼されてる、と捉える事も出来るし。
でも、全く心配してもらえないのもそれはそれでちょっと……という感じなのだ。
などと若干面倒な不満を胸中で転がしていると――――パチパチ。拍手の音。
視線を向ける。ふわり、と揺れるヘッドドレスが見えた。
「おめでとうございます、ヴェンデッタ様。見事な戦いぶり、感服いたしました」
「あ、メイさん」
上品に手を叩きながらこちらに歩み寄ってくるメイド服の女性は、見惚れるような笑みを向けてくる。
破壊力抜群のメイドスマイルからそっと視線を逸らす。ま、眩しい……。
少々挙動不審になっていると、ツンツンと脇腹を突かれた。
慌ててそちらを見ると、ローザネーラがじとぉ……とした瞳でこちらを睨んでいる。
さっきまでの上機嫌は何処に行ったんだ、と聞きたくなるような不機嫌顔だ。
「ますたー……? なにをでれでれしているのかしら?」
「……ベツニミトレタリシテナイデスヨ?」
「くちょうがうそっぽいわよ! なによ、ワタシよりもしようにんのしょーさんのほうがうれしいわけ!?」
「そ、そういうわけでは……」
ふがーっ、と怒りも露に詰め寄ってくるローザネーラ。
うろたえながら誤魔化しの言葉を吐いていると……視界の端でメイさんが露骨にしゅん、とした表情を浮かべる。こ、今度はそっちですか!?
「あら、ヴェンデッタ様? 私からの賛辞は余計でしたか? それは申し訳ございません……」
あからさまに沈んだ声で、きゅっ、とメイド服のスカートを握りしめ、視線を逸らしながら言うメイさん。伏せられた睫毛は震え、瞳は潤んでいる。
『悲しみ嘆く麗しきメイド』の完全体だった。正直、めっちゃ絵になる。
これは、演技だと分かっていても罪悪感を抱かざるを得ない完成度だった。
「やめてくださいメイさん!? 俺が物凄い悪者みたいじゃないですか!? あと、普通に嬉しかったです!」
「ふふっ、なら良かった」
一転して、完璧なメイドスマイルに戻るメイさん。
先ほどまで漂わせていた悲壮感はなんだったのかと小一時間ほど問い詰めたくなるほど見事な変わり身に、唖然とする。
メイさんはちらりと視線をローザネーラに向けた後、それを俺に戻して優し気に微笑んだ。
その優し気な笑みに、少しドキッとしてしまう。
穏やかなそれは聖母のようで、けれど一つまみの茶目っ気は無邪気な童女のよう。
「ご安心を、ヴェンデッタ様」
声音に、揶揄うような色を乗せながらメイさんは言葉を紡ぐ。
音もなく俺の傍に近寄ると、身を屈めて耳元で囁いてきた。
「ローザネーラ様はずっと貴女の心配をなさっていましたよ。『ねぇ、ますたーはだいじょうぶよね……』と何度も何度も聞いてきて……見ているこっちがハラハラしてしまうほどでした」
「え?」
またナチュラルに思考を読まれた……では無くて。
俺は、勢いよくローザネーラの方を見た。
相変わらず不機嫌そうな顔をしながら、しかしその小さな手は俺のメイド服をしっかりと掴んでいた。
「……なによ?」
ふいっ、と顔を背けてしまったローザネーラ。
けれど、その一瞬で確かに見えた。
彼女の深紅の瞳が僅かに潤んでいるところを。
……え? やだ……俺の召喚獣、可愛すぎ……?
「ローザネーラ」
「なによ、ますたー。い、いっておくけれど、ほんとうにしんぱいなんてしてないんだからね!」
「ちょっと、抱きしめてもいいか?」
「……は?」
ぽかん、とちょっと間抜けな顔をしたローザネーラの返事を待たず手を伸ばす。
そして、ぽすん。
小さくて愛くるしい肢体をぎゅっと抱きしめた。
「ま、まままますたー!? い、いきなりなにを……!?」
ローザネーラの焦ったような声が聞こえるが、それどころじゃない。
暖かくて、柔らかい。あと、いい匂い。
心の底から溢れ出る愛しさのままに、ローザネーラを抱きしめ続ける。
小さな頭を俺の胸に押し当て、サラサラな藍色の髪をゆっくりと撫でた。
はぁ~~、癒されるぅ……。
「い、いきなりにゃ、にゃにしゅりゅにょ!?」
「いや、ローザネーラの顔みたら、つい」
「い、いみがわからにゃいわよ!?」
「……ダメ、だったか?」
真っ赤に染まっている耳へ囁くように尋ねると、ローザネーラはぴくん、と肩を揺らした。
意味もなくパタパタと手を動かしたり、せわしなく視線を彷徨わせたりした後に、威嚇する子猫のように睨みつけてくる。
「~~~~~~~!! べつに……ダメじゃ、ないわよ」
「そっか、良かった」
俺は、くすりと破顔する。
ローザネーラの表情に、嫌悪感はこれっぽっちも見られなかった。
まぁ、死ぬほど恥ずかしそうではあるけど……もう少し、このままで。
――――ああ、心配してくれる人がいるって、いいなぁ……。
この喜ばしさと愛おしさが収まるまでは、抱きしめさせてもらおう。
顔を真っ赤にして、きゅっと目を瞑るローザネーラを見つめる。
「ありがとうな、ローザネーラ」
「……な、なんのことかしら?」
「いろいろと、だよ」
「……ふんっ」
ぷいっ、と顔を背けたローザネーラに俺は笑みを深め、抱きしめる腕に力を込めた。
・か わ い い
・て ぇ て ぇ
・てぇてぇがすぎる
・これ、配信してること忘れてるよね
・ヴェンローは今はガンに効かないがその内効くようになる
・もっと気軽にイチャイチャして?
読んで下さり有難うございます。
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更新は相変わらず遅いですが、頑張って書くのでこれからも読んでいただけると幸いです。
ではでは、また次回。




