来てしまった奴ら
TSロリっていいよね
TSロリっていいよね
TSロリっていいよね
どうも、作者です。生きてます。エタってもいません。
だいぶこう、やるきが絶不調でしたが、何とか更新にかこつけました。まだまだ頑張ります。
それでは、どうぞ。
……いや、どちら様?
未だにフレンド欄に『フレンドがいません』と書かれている俺である。初対面なのは間違いない。
それにしては、ずいぶんと恨みの感情を向けられている。うん、何故?
知らぬうちに何かをやらかしたか? ……思い当たる節はないよなぁ。
化けの皮を剥がすだの、チートだの言われても、これっぽっちも身に覚えがないので、反応に困る。
はて、と首を傾げながら、目の前の少年を見つめる。
「あ? なんだその目は。なんか文句あんのか? アァ!?」
ふぇえ……喧嘩っ早いよぉ……。
思いっきりガンつけられたので、取り合えずそっと目を逸らした。
騒ぎに気付いた人達が、なんだなんだとこちらを見ているのが分かる。
野次馬ってるなら助けてくれないかな……うん、ダメっぽい。完全にイベントごとを楽しむ目をしている。畜生、他人事だと思ってからに……!
はぁ、と内心でため息を漏らし、絡んできた少年に対応するべく視線を戻した。
気が進まないし、スルーしたいけど……それはそれで、面倒なことになりそうな予感がぷんぷんするんだよね。
ええい、やってやろうじゃねぇかコノヤロー! と、半ばヤケクソ気味な決意を固め、少年に声を掛けようと口を開き……。
「――――ぶしつけな。れいぎというものをしらないのかしら?」
ローザネーラさぁん……?
いつの間にか、俺の隣にいたはずの吸血鬼様が少年の前に佇んでいた。
腕を組んで仁王立ち。こちらからは見えないが、底冷えするような声音から察するに、非常に不機嫌な顔をしていると思われる。
うん、思いっきり観光の邪魔されたからね。楽しみに水を差されたら、怒りたくなるのもわかるよ。
「な、なんだよお前、いきなり……」
「いきなりはこっちのせりふよ、げろう。ワタシとますたーのジカンをじゃまするなんて、いいどきょうね。――しにたいのかしら?」
「ひ、ひぃ……!」
でもちょっと煽り過ぎじゃない?
流石、元ネームドボス……と、思わず拍手を送りたくなる迫力だった。
少年が顔を青くして後ずさる。
そして、ローザネーラから全力で視線を逸らし、俺の方を見た。
逃げたな。
「くっ、やっぱり思った通りだ! テメェみてぇな、ガキに守ってもらってるような奴が、ネームドをソロ討伐なんて出来るわけがねぇ!! やっぱり何かズルい手段を使ったんだろ!!」
「はぁ? なによそれ。ますたーがそんなことするわけないじゃない。それに……このワタシが、ずるをされたていどでまけるとでも? ふんっ、げろうふぜいに、なめられたものね!!」
「ひえっ……!」
逃げれてないじゃん。
物凄い剣幕でまくしたてるローザネーラに、すっかり萎縮した様子の少年。
なんだか可哀そうな感じだが……これは、アレなのだろうか?
噂に聞くところの……。
「アンチってやつか。まさか、こんなに早く遭遇することになるとは……」
――アンチ。
それは、配信者にとっては切っても切り離せぬ存在。
光があれば影があるように、好んでくれる者がいれば必ず、嫌う者が現れる。
配信者になると決めたからには、こういう存在とも上手く付き合わなければならないと考えていたが……我、配信歴三日ぞ? 心構えなんて全くできとらんわ。
ネットで『アンチ 対応』と検索したら、『無視が一番』という結果が出たけど……すでにがっつり反応しちゃってるんだよなぁ……ローザネーラが。
とはいえ、俺を守ってくれたローザネーラを責めるつもりは一切ない。
判断の遅い俺が悪いのだ。反省反省。
とりあえず、喧嘩腰のままじゃ話が進まないから……。
「ローザネーラ」
「がるるる……!」
「すぐに言語能力失わないで……? ほら、落ち着けー」
少年を威嚇するローザネーラを後ろから抱きしめ、頭をポンポンして落ち着かせる。
「へひゃう!?」と謎の声を上げながら、ぴしり、と固まった吸血鬼様の頭を撫でながら、改めて少年を見やる。
……すごい目で見られてるんだが?
「正気かコイツ」って心の声がありありと聞こえてくるんだけど。
ま、いいや。とにかくコミュろう。相互理解は会話からってね。
相手が喧嘩腰で来るからと言って、こちらも敵意剥き出しにする必要はない。
え? ローザネーラの対応? ……はっはっは、何のことやら。
よっしゃ。じゃあ少年、お話しようぜ!
「な、なんでいきなりイチャついてんだこいつら……?」
「や、初めまして……えっと、何か言った?」
「ッ! な、何でもねぇよ!」
「そう? ところで君、名前は?」
「な、名前? ブラウヴォルフだ……」
「ふむ、ブラウヴォルフ君か。うん、長いからブラウ君って呼ばせてもらうね。俺はヴェンデッタだ。よろしくー」
「よ、よろしく……じゃねぇよッ!!? 何よろしくしようとしてんだテメェ!!」
お話……三往復で終わっちゃった……。
やはり足りぬのはコミュ力……圧倒的コミュ力不足……。
少年――ブラウ君は、怒り心頭、という感じで俺を睨んでいる。
だがまぁ……うん。正直、そんなに迫力があるわけじゃない。
ボスだった頃のローザネーラの千分の一程度。
それに、ちみっこなローザネーラに凄まれてビビってる姿も見てしまったので、怖いという印象が欠片も沸いてこない。
大型犬相手に尻尾を巻きつつも果敢に吠え掛かる小型犬……そんなイメージがふと浮かんでしまい、なんだか笑えてしまう。顔に出したら怒られそうだから、内心でだけど。
ブラウ君、たぶん中学生くらいでしょ?
中坊の時って、なんかこう、感情のままに突飛なことを沢山しちゃうよね。分かる分かる。俺もそんな感じだった。
そう考えると、なんだかブラウ君が微笑ましい生き物に思えてきた。
……ちょっと、いたずらしてみようか?
「それで、ブラウ君は俺に何の用かな? もしかして……ナンパ?」
にこっ、とこの美少女フェイスに笑みを浮かべて、思春期の少年が慌てふためくであろうキラーパスをぶん投げる。
ひゅんっ、と沸騰するが如く顔を赤くする青少年。わぁ、予想通りの反応ー。
「は、はぁ!? ん、ンな訳ねぇだろ! ば、馬鹿じゃねぇの!?」
「じゃあアレかな? 一緒にあーそびまーしょっ、みたいなお誘いとか?」
「ちげぇよッ!! 俺はただ、テメェの不正を暴いてやろうとしてるだけだ!! ナンパとかお誘いとか、調子に乗ってんじゃねぇぞ――このブス女ぁ!!」
あっ、やべ。揶揄い過ぎた。いい反応してくれるから、つい……。
顔を真っ赤にして叫ぶブラウ君が、こちらに手を伸ばしてくる。
怒りのままに行動しているようで、伸ばされた手は明確な目標を持っていないように見えた。
とりあえず、ローザネーラをくるりと背後に庇う。そして、ブラウ君の手を軽くはらい落として……。
――――ピシッ!
「……ん?」
今の、何の音?
なんか、俺の身体から聞こえてきたような……?
不思議に思いつつ、自分の身体を見下ろしてみた。
レオタードに亀裂が入っていた。
………………ほわい?
「は? テメェ、なんで――――」
――――ピシピシ……パリンッ!!
ブラウ君が何かを言い終わる前に、レオタードの亀裂が大きくなり……はじけ飛んだ。
……………………わっつはぷん?
「……へ?」
「ま、ますたー!?」
「ばっ、なぁ!?」
え? 何? え? 服が壊れたの……? ……え? なんで?
脳内に飛び交う『???』。あまりの衝撃に、思考も身体も固まってしまう。
ローザネーラの驚いたような声が聞こえる。
ブラウ君が言葉になってない悲鳴を上げた。
けれど、それに反応することも出来やしない。
キラキラと光の粒子になったレオタード。
その下から、白い肌ときわどいところを隠すインナーがまろび出る。
そうして、俺もローザネーラもブラウ君も。
なんなら、周りの野次馬たちまで硬直し、ただ立ち尽くしていると――。
「――――おい、そこの餓鬼。貴様……」
「――――ねぇ、そこの小童。貴方……」
――――ぞくっ。
スッ、と。
ブラウ君の背後に、二つの人影が現れた。
同時に、なんか良く分からん寒気が背中を襲う。
服が無くなったから寒くなった? はっはっは、ここゲームの中やぞ。
……じゃあこの寒気は何なんですかね?
いきなり声を掛けられ、びくり、と肩を強張らせたブラウ君。
その双肩にぽんっ、と二つの手が置かれる。
ブラウ君が、恐る恐る……もう見ているのも可哀そうになるほど震えながら、ゆっくりと背後へと振り向いた。
俺も、そぉっとそちらを覗き込んで……うん、見なきゃよかった。
「……ナニ、シテイル?」
「一体、何をし腐っていやがりますの?」
そこには――――二体の修羅が、据わった目付きで立っていた。
読んで下さり有難うございます。
また、感想や評価などもありがたいです。
「面白かったー」とか「続きが気になる」とか「ブラウ君の末路はよ」とか思った方は、ぜひぜひ評価などを入れてくれると幸いです。
続きは……はい、頑張ります。モチベーションは尽きてませんし続きもおぼろげに考えているので、エタりはしないかと。
ではでは、また次回。




