墜落
今日もあの夢
高度数万メートルから落ちる夢
遥か真下に白いベッド
1.1ミクロンの点のように
あたしの部屋の硬いベッド
ゼリーのようなカモメ
あたしを見送って
あとは知らん顔
どこかへ消える
薄情なあのひとのよう
もうすぐ夏なのに
雪が降る
やまない雪は
ある
このまま
永遠となるならば
加速してるような
止まってるような
感覚があたしを騙そうとする
連れて行って
連れて行ってよ
あたしがあたしでなくなる世界へ
ようやく雲を突き抜ける
痛そうな地表が見えてくる
でも大丈夫
もう風に引き裂かれて
あたしはボロボロだから
最後は気を失うようなスピード
そのスピードで激突しようとする
あたしは目を固く閉じて
でも意識は失われてくれない
このまま?
近づいて来る
と思う暇もなく
白いベッドの
上に
あたしは
激突する
そして
力なく
四肢をバラバラの方向へ
狭い海へ投げ出して
からからに乾いた海の上を
立ち上がる
雪はやんでいる
真っ平らな雪原が部屋にある
誰の足跡もまだついてない
あたしはあたしのまま
歩き出す
あなたを探して