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江土河風燈はどこにでもいる極々普通の高校生だ。
彼について特筆すべき点は何もないが、敢えて挙げるとするならば、たいして知名度のないそれも片田舎にある神社の跡取り息子であることぐらのものだ。
容姿端麗とは程遠い、極めて平均的な顔立ち姿立ちの平凡な高校生なのだ。
天才でもなく、かといって秀才でもない。
学校の成績は常に中位に位置しており、中学生の頃にそれこそ受験勉強をそれなりにはしたものの、ここは田舎の公立高校なのだ、たかが知れている。私立高校を受験したわけでもないのだ。
高校で俄かに難易度の上がった高校のカリキュラムに 頓に早まった授業の進行スピードに、日々四苦八苦する普通の高校生なのだ。
ここまでくるともはや才能ともいえるだろうが、決して長所とはなりえない。
唯一の特徴として挙げた神社の跡取り息子という彼の肩書もまた、ただ跡取り息子というだけでほかには何もない。
しいて言うなら家系図を人より長く、それも数倍に渡って遡れるということぐらいのものだ。
唯一といったが、彼の苗字もまた特徴といえるだろう。
だがこれは、彼の神社の跡取り息子というその属性に内包されるものだ。
しかしながら、江土河という苗字が印象に残りやすいということは、主人公という面からみると有難いものである。わざわざ述べる必要もないだろうが、これもまたその属性に内包されている。
ここまでたらたらと、いやに仰々しく彼について述べてきたものの、これぐらいは誰にでも書けるものだろう。逆に短すぎるぐらいである。それぐらいに彼は平凡なのだ。
仮にも彼はこの物語の主人公に位置する人物なのだから、これだけ彼を形容しても罰は当たらないだろう。
それでは読者諸君がこの長ったらしい説明に飽き飽きしてきたところで、いよいよ彼の物語を始めるとしよう。
この数奇なあまりにも背負うには大きすぎる運命に出遭ってしまった 魅入られてしまった彼の 彼たちの物語を。
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