孤独なドラゴンと可笑しな少女と
推しCPなどに変えて見て読むと面白いですよ。
ある所に、一匹のドラゴンがいました。
ドラゴンは昔悪いことをしました。
そしてとうとう神に呪いをかけられてしまいました。
不老不死の呪いです。
ドラゴンはその代わり、膨大な力を得ました。
ある日、ドラゴンの元に1人の少女がやってきました。
とても美しい少女です。
ドラゴンは少女に訪ねました。
「何故ここに来たのか。」と。
少女は答えました。
「貴方に会いに来た。」と。
ドラゴンは少女を馬鹿にしました。
しかし、少女は笑ってこう言いました。
「貴方はとても美しいドラゴンだ。」と。
ドラゴンは少女に心をかき乱されたような気がしました。
少女はドラゴンをそっと抱きしめました。
冷たいドラゴンにとっては、とても暖かい腕でした。
少女はドラゴンを慕い、ずっと傍にいることを誓いました。
「勝手にしろ。」
初めて愛されたドラゴンの口からはその言葉しか出ませんでした。
少女はそれでも、笑っていました。
少女の作るリンゴパイはとても美味しいものでした。
それに、彼女はドラゴンの為なら何でもしました。
しかし、ドラゴンは少女に厳しく当たりました。
少女はそれでもドラゴンの事を愛し続けました。
ドラゴンにとって、いつしか少女がかけがえのないものとなっていました。
少女が年をとっていく間、ドラゴンは年を1つも重ねません。
少女の顔に皺が増えてきました。
ドラゴンにはそんな所さえ美しいと思っていました。
しかし、ある朝のことです。
いつものようにドラゴンの隣で眠っていた少女が冷たくなっていました。
死んだのです。
ドラゴンは少女に何も言えませんでした。
「ごめんなさい」も、
「ありがとう」も、
「寂しい」も、
「美味しい」も、
「綺麗だ」も、
そして「愛してる」さえも。
また、ドラゴンは1人になりました。
ドラゴンは少女の温もりが忘れられず、毎晩少女の墓の前で寝ました。
そんなドラゴンを哀れに思った神は、ドラゴンに訪ねました。
「そなたは少女に逢いたいか。」と。
ドラゴンは素直にうなずきました。
「逢いたい。」と
しかし、神はこう言いました。
「その代わり、そなたの命、富、全てを奪う」と。
ドラゴンは迷いなくうなずきました。
「それでも構わない。」
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蝉の鳴き声が聞こえる。制服を着た青年はあちい、と感嘆の声をこぼした。耐えきれず制服の裾を捲った青年は、空を見上げる。眩し過ぎる太陽の光がこれでもかと青年に降り注ぐ。
ふわり、林檎の匂いが微かに漂った。その匂いは青年の鼻を擽る。青年は振り返った。同じ学校の制服を着た少女が歩いていた。
「おい。そこの女。」
気がつけば青年は少女に話かけていた。少女は振り返ろうと、立ち止まった。
fin.
ちょっとした気分転換に書いてみた短編小説です。