表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

トランスジェンダーの日常

性別を変えるために必要な手術って何をしないといけないの?

今回真面目な内容ですよー。

エロい話ではありません!

今の日本の法律では、生まれてきた身体の性別が戸籍に記載されており、それを変更するためには色々と条件があります。


その中に、性別適合手術(せいべつてきごうしゅじゅつ)(通称:SRS)と呼ばれる身体を望みの性別の生殖器(せいしょくき)に似せるための手術をしないといけない条件があります。


所謂いわゆる『性転換手術(せいてんかんしゅじゅつ)』と言うやつですね。


残念ながら、私のように男→女になる手術は、現状では保険適用で手術出来ません。


保険適用にはなっていますが、使えないんですよね。


自由診療で事前にホルモン治療を1年以上しておく必要がありますので…


つまり、日本で手術しても全額負担なんですね。


しかも、日本で手術出来る有名な病院は予約で埋まってて、約1年半待ちと聞いた事があります。


そんな訳で、大半の人は海外に行くんですねー。


ひと昔前はモロッコとか言われていた様ですが、今のトレンドは『タイ』です。


半数以上の人がタイに行ってるんじゃ無いかな?


タイはトランスジェンダーさんが多く、手術も色んな所でする事が出来ます。


とは言え、日本人の場合はほとんどの人が特定の病院でしてます。


その中でも、FtM(女→男)さんはヤンヒー病院だと思います。


MtF(男→女)さんはガモンクリニックさんが多そうかな?


MtFさんにとって他にも有名なのがスポーンクリニックさんで、この病院は世界中から予約が殺到していて、2年待ちくらいの人気だそうです。


ただ、たまに予約のキャンセルが出たりするので、比較的時間やお金、そして手術材料に余裕があれば予約してもいいんじゃないでしょうか?


ん?手術材料って何ぞや?


これは、手術の内容にもよりますが、材料が必要な手術があるんです。


特にスポーンさんの術式は材料が足りないと出来ないんです。


なので、自前の材料が足りない人はスポーンテクニックと呼ばれる術式は出来ないんですよね。


詳細については後述で…


さて、ではまずFtMさんの術式を簡単にお話ししましょう。


FtMさんはホルモン治療でかなり変化が見られます。


毛深くなる・ヒゲが生える、声が低く・太くなる、そして、女性の陰核が若干大きくなる(個人差あり)等の変化です。


そのため、性別を変えるだけであれば、必要な手術は以下の手術になります。


①乳腺摘出手術:乳腺を取る、つまり男性のように平らな胸にする手術です。おっぱいが大きいのは女性的な要素ですからねー。


②卵巣・子宮摘出手術:生殖腺を取り除かなければ戸籍の性別変更が出来ないんです。なので、体内の卵巣と子宮を取り除かないといけないんですね。でも、これで子供が出来なくなります…(泣)


となります。



そうなんです。


戸籍の性別を変える条件の一つである『望む性の生殖器の外観を持つ事』があるのですが、ホルモン治療を続けていくと陰核が大きくなりますので、そこの手術はしなくても良いのです。

(個人差がありますが、親指の第1関節までくらいの大きさらしいですね)


でもね、ガチ勢のFtMさんは普通の男性の心を持っています。


立っておトイレしたり、男性の象徴の陰茎が大きくなりたいと思うのではないでしょうか?


…正直ね、私は男性がアレの大きさに(こだわ)る気持ちは分からないんです。


理解は出来るんですけどね。


私もおっぱいが大きくなってほしいし、そんな気持ちと同じなのかな?とは理解できるんです。


でも、私個人の感情としては、アレは大きくなって欲しくないんですよねー。


そもそも存在自体が邪魔だったし。


なので、私個人の感情ではアレを大きくしたい気持ちが分かりません。


やっぱり大きいと嬉しいんでしょうか?


疑問は尽きないのですが、一旦本題に戻りましょうか。


男性にとって、陰茎を大きくしたいという気持ちが一般的だと仮定します。


であれば、FtMさんはちょびっと大きくなった陰核に満足するのでしょうか?


もちろん、満足される方もいますけど、まずは立ちションしたいと思う人がいると思います。


大きくしたい場合もこの工程を踏む必要があるんです。


また、子宮を摘出しましたが、膣はまだあるんです。


だから、膣を閉じたいと思う方もいらっしゃるでしょう。


なので、次の手術はこうなります。


③膣閉鎖手術:膣も閉じて、おりものの心配とかもないね!


④陰茎形成術(第一弾)+尿道延長手術:大きくなった陰核に穴を空けて、そこに人口の尿道を通します。立ちションが出来るね!


さて、ココまでは比較的している人がいるようですね。

(膣閉鎖の時には尿道延長手術と同時に実施するようですね。膣の一部を使って人工尿道にするようです)


ではついに大きくする手術があります。


これがあるから、最後までするとなると男性から女性になる手術よりも大変な手術なんですよねー。


⑥陰茎形成術_第二弾


これは、自身の腕、またはふくらはぎの皮膚(ひふ)の下に尿道として使用するための(くだ)を外科的な手法で埋め込みます。


その後は半年以上経過するのを待って、完全に人体に取り込んだ状態にします。


そして機が(じゅく)したころ、その管が埋まっている周辺の皮膚(ひふ)と一部の神経ごと切り取ります。


大陰唇辺にある海綿体(かいめんたい)と医療用シリコンを使って陰茎の胴体部分の形状を整えて、先程取り出した皮膚と人口尿道で包みこみ、、男性の陰茎の胴体部分を作成します。


そして陰核を切り離し、先ほど作成した延長部分を先端に切り離した陰核を、根元は切り離した部分と、それぞれ神経と血管の接続をしてつなぎ合わせるんです。


これはハッキリ言ってかなりの大手術です。


お金もかかりますし、腕かふくらはぎの皮膚と神経一部が無くなりますし、陰核を亀頭として再形成する手術もそうですが、神経や血管が上手く接合されていないと、部分的に壊死する可能性もあります。


そして出来上がった陰茎も、エッチの時にそこまで膨張する訳ではありません。


女性の海綿体は男性よりも少ないからです。


もちろん、固くはなるみたいですけど、男性のオフモードからスタンバイモードに変化するくらいの変化率はないそうですね。


それでも希望する方も当然いらっしゃいます。


性別適合手術は男女限らず、どこまで自分が満足できるか、またはどこで折り合いをつけるかが大切なんです。


もちろん、全ての手術をしたからといって、元々女性だった身体には睾丸が無いので精子を作る事が出来ません。


だから、射精も出来ません。


子供が作れないのは私と変わらないんです。


完全に男性と同じになる訳では無い、その事をちゃんと理解しておかなくてはならないのです。




さて、では私にも関係する、男性から女性になるための手術のお話をしましょう。


まず、戸籍の性別を変えるためには以下の手術が必要です。


①睾丸摘出手術:ωさんの中身とサヨナラする手術です。精子や男性ホルモンがほとんど無くなるよ!(男性ホルモンの95%は睾丸で作られてます)


②尿路変更手術+陰核・陰唇形成手術:つまり、陰茎と陰嚢(いんのう)(袋)を使って、女性の生殖器の外見を作る手術です。膣は作らなくても良いんです。


そうなんです。


戸籍を変えるだけなら、膣は作らなくても良いんですね。


望む性別の生殖器の見た目をしている事が条件なので。


だから、膣を作らない人もいます。


でも、膣が無いから、入れる穴が無いんですよねー。


…あ!お尻がある…


おほん!


膣を使ってのエッチは出来ませんね。


メリットとしては、療養期間(ダウンタイム)が少ないんです。それでも最低1ヶ月くらいは安静にして欲しいです。


ちなみに、先に睾丸摘出手術をする人もいれば、全て同時にする人もいます。


どちらもメリット・デメリットがあります。


それについては次の手術の時にお話しますね。




では、私もそうですが、どうしても膣が欲しい!と言う方もいます。


…たとえ、使用する相手が(まだ)いなくても……くすん(泣)


夢見たっていいじゃない!!!


私だって、素敵な男性と愛のあるエッチしたいもん!


大好きな人を受け入れたいんだよぉぉぉー!(号泣)


うぅぅぅ…愛を…愛を下さい…そして私の愛もあげたい…!


…くすん、では造膣(ぞうちつ)の手術のお話です。


③陰茎(or陰嚢)反転法造膣術:先程の陰核・陰唇形成手術や尿路変更手術と同時にします。陰茎や陰嚢(袋)を使って、陰核と陰唇、そして尿道出口となる部分の下を切り開いて、陰茎や陰唇の皮膚と神経を使い、膣の内側の壁として移植します。


③´ スポーンテクニック(反転法):反転法なんですが、スポーン先生が考案したちょっと秘密な応用技術を使い、反転法よりも更に本物の女性器に近付けた術式……らしいです。

(恐らく、この術式が一番ダウンタイムが長いです)


④S字結腸法造膣術:反転法とは違い、膣の内壁を腸の一部を使って作ります。内視鏡とか開腹(かいふく)手術で腸の一部を切り取り、その切り取った腸で内壁にします。それ以外は反転法と同じだよ。


③、③´、④の手術は造膣手術で、どれかの方法を選ぶわけなんです。


基本的には②の手術の時に同時にします。


つまり睾丸摘出手術を含めて、全て同時にする人もいます。


何故睾丸摘出の時期が違うのか?


それは睾丸が存在する事で、陰嚢の皮膚の萎縮(いしゅく)が抑えられるんです。


特に反転法の場合、陰嚢の皮膚や陰茎の皮膚の大きさが重要です。


皮膚が少ないと、膣の深さが作れないからです。


日本人男性のアレの長さは平均で12〜13cmらしいです。


白色人種・黒色人種のアレは平均で15〜16cmくらいはあるそうで…


つまり皮膚が少ないとその深さまで作れないんです。


4cmの膣が出来ても、先っぽしか入らないのはどちらにとっても悲しいだけです…


なので、陰嚢(いんのう)の皮膚の大きさを保つため、手術の時まで残す人もいます。


逆に先に取る事で、男性ホルモンを作られなくして薬の量を減らせますし、何よりタイトなスキニーパンツとかをはいた時に股間(こかん)がスッキリしてるんです!


もう、邪魔以外の何でもないですからねー。


ちなみに、私は反転法を希望していますが、睾丸摘出しています。


理由は、取る前の段階で既に萎縮が進んでいますし、元々大きくないので睾丸摘出してもあまり変わらないかな?と思いまして。


その様な場合、普通はS字結腸法を選択するんですが、私の場合は他の箇所からの皮膚移植を行い、材料の補填(ほてん)をします。


ですが、③´のスポーンテクニックの場合は他からの皮膚移植は出来ないため、純粋に今ある大きさの皮膚しか使う事が出来ません。つまり、私には元々選択出来ない術式なんですよねー。


反転法の魅力は、感度が良い事と、術後リスクがS字結腸法と比較して気持ち少なそうと言う事です。


腸を使う場合、術後に腸閉塞のリスクがありますし、数十年後の腸の状況が個人的にちょっと不安だからです。


まぁその分デメリットも沢山あります。


術後のダイレーションと言う、シリコンやプラスチック樹脂で出来た円柱状の棒を、作った膣(キズが完全に塞がって無い状態の時期から今後一生にかけて)に膣に突っ込んで、作った膣が塞がらない様にするための術後ケアがあります。


反転法はとにかく痛いそうです。


特に③´のスポーンテクニックの場合は『ダイナミック・ダイレーション』と言う方式で、ダイレーション用の(ダイレーター)を入れて、ドリルの様にグルグル回します…


術後2週間くらいの時から…


なので、反転法はツラくてダイレーションを諦める人もいる程です。


もうどれだけ痛くてツラくても、本人がどれだけ膣を望んでいるか……その気持ちの強さが必要なんです。


もし諦めてしまった場合、作ってすぐの膣は傷口の様なものなので、自然と閉じてしまいます。


ピアスの穴みたいなものですね。


もちろん、術後ガンバってダイレーションして数年はガンバっていたとしても、めんどくさくなって放置していると閉じてしまいますよ?


一度閉じちゃうと材料がもうないので、反転法では二度と作れません。


逆に、S字結腸法は腸を材料にしますので、造膣なしの手術をした後や膣が閉じちゃった後でも出来ます。


また、腸を使うので、腸液が自然と出ます。


つまり、自浄(じじょう)作用(さよう)があるんですね!


反転法だと、普通の皮膚と同じなので、ほっとくと(あか)が溜まっちゃいます。

ちゃんと綺麗に洗わなければいけないんです。


でも、S字結腸法は自浄作用があるんですが、それ以上のメリットがあります。


それは、腸を使っているので膣が閉じちゃう心配がないんです!!!


もちろん、ダイレーションはしますし、どの道傷口を無理矢理広げる行為なのでかなり痛いみたいです。


ですが、反転法よりは痛くないそうです。


ただ、閉じる心配は無いですが、小さく、広がらなくなります。


つまり定期的な挿入は必要なんですよね。


…パートナーがいて、エッチしてれば良いんですけどねー(白目)


今の日本では、基本的にはS字結腸法を推奨しています。


私としても、S字結腸法の方がメリットは多いかな?と感じます。


まぁそれでも私は反転法を選ぶのですが…


腸を使うのがね…


30年後、40年後に身体が衰えた時に、その傷口の影響がどう出てくるのかが分からないのがね…その不安があるから反転法なんですけどね。


もちろん、何も起きないとは思うのですが、そこは本人の気持ちや考え方次第なんです。





術後の人生は何十年も続きます。


その未来を見据えて、本人が折り合いを付けれる手術をする必要があります。


もし貴方(あなた)がトランスジェンダーさんで、手術を望むのであれば、未来をしっかり考えて下さい。


手術するのがゴールではなくて、自分らしく生きて行くためのスタートですからね。

駄文すみませんでした。

あくまでもご参考までに。


では、また機会があったら何か書いてみます。


ご拝読ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] すごく、痛みが伝わる内容と文章だと思いました。 「性適合手術」は、道楽では無い、という事も。 ところで・・・お尻の方ね。いいんじゃないですか? (おっと、何を言い出すやら・・・)
2018/12/09 13:20 退会済み
管理
[良い点] 手術のお話をしっかり書いてるところ。たしかに興味がないと調べないから公開は酔いと思いました [気になる点] エロくないだとっ(驚愕) ああ、あとは術後の体内に残る器官が気になります。 前立…
[一言] ダイレーションがえらく地獄。 ……というのを性転換エッセイでよく見ます。 実は、それを知るまで、偏見を持ってたんです……。 『女性は月経で悩まされるけど、性転換者はそういうの無いんだから、…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ