7. 懐かれました
「エリザさん!このお菓子も美味しいんですよ、待ってる間に、良かったらどーぞ!」
「お気遣いありがとうございます…」
人懐こい笑顔を浮かべた騎士団員のルディは、次から次へとテーブルにお茶やお菓子を運んでくる。
クルクルの巻き毛の茶色い髪と、幼い顔つきのルディは、団服を着ていなかったから騎士団員には到底見えない。
騎士団長率いる数人の団員とミシェルは、挨拶を程々に、都市部から離れた森へと向かった。
エリザは、ミシェルの言いつけ通り騎士団宿舎にて待機を命じられていた。
その際、執務室に案内してくれたルディと名乗る青年は、エリザを気遣ってか側を離れようとせず、なにかと世話を焼いてくれるが、エリザは内心「面倒だ」と思っていた。
「王女殿下はああ言ってましたけど、果たさなければならない目的ってなんなんですかね?ドラゴンが必要な目的…城下に被害が出てるなら討伐もありえますが、捕まえるって仰ってましたし…」
「さぁ、私には分かりかねます」
良く喋るルディをさらりとかわしつつ、エリザはテーブルに置かれたカップを手に取る。
「…逃走手段、かしら」
「え?エリザさん何か言いました?」
「いえ、何も」