第40話 ロイドの嘘
「2週間になるわね。」
「・・・もうそんなになるか・・・?」
マリアがニックの家に行ってから丁度2週間になる。が、
「でも、まぁ、もう結婚の約束もしているのだし、そんなに気にしなくても良いのではないかなぁ?」
と、ロイドは相変わらずであった。
確かにロイドの言う事にも一理ある。
けれどマリアが嘘をついて出ていくとはどうしてもカトレアには思えなかったのだ。
そんなカトレアは
「ねぇ、ニックの家に行ってみない?」
予想していなかったのかカトレアのその言葉にロイドは一瞬驚いた顔をしたが
「ほぉっておいて良いんじゃないか?もう子供じゃないんだし・・・」
と、すぐにまたいつもの冷静なロイドに戻ってしまう。
そんなロイドに反抗するかの様にカトレアは
「いいじゃない。行ってみましょうよ。」
と、いつもと違うカトレアを演じてみせる。
特に断る理由が無かったのか、ロイドも渋々承諾するしかなかったのであろう、カトレアに引っ張られる様に支度をさせられ、いつの間にか家を出ている始末であった。
途中、手土産を買うため寄り道をしたが、ニックの住まいは車で一時間ほどの距離にある。
到着したのかロイドはエンジンを止め車から降りた。
ニックの家を知らないカトレアは着いたのかどうか分からなかったが、目の前にアパートが建っていて、すぐに到着したことに気付いた。
古い感じのアパートで、お世辞にも決して綺麗とは言えない造りである。
部屋は2階の一番端。
・・・ロイドの後ろをついてきただけのカトレアには、ロイドの行動に疑問を感じていたのだ。
車を降りた時もそうであったが、この部屋の扉に辿り着いた時もそうである。
迷わず階段を登り、迷わずこの部屋の前に立ったロイド。
あたかも何度かここに来た事があると言わんばかりであった・・・。
「何度か来たことあるの?」
「・・・いや、初めて来たよ。」
カトレアはそれ以上つっこんで聞かなかったが、それは明らかにウソであった。
ロイドは最低でも1回は来たことがあるはずである。
・・・それはニックの両親が亡くなったときに・・・。