第30話 迫る影②
「君はニックを疑っているみたいだけど、同時に別の場所の人間を殺すなんてできないぞ。それにニックにはアリバイもあるしな。」
確かにカトレアはニックを信用していない。けれど、ニックを信じきっているロイドに少しではあるが腹立たしく思えた。
そんなカトレアはロイドに気になることを全て聞く決心をしたのである。
「いつからニックはアニーと住んでいたの?」
ロイドは一体何を言っているのか?というような話をして
「ニックはずっと一人暮らしだぞ。アニーとは二回くらい会ったことあるみたいだけど・・・。」
・・・一緒に暮らしていない??ではどうして孤児院を抜け出したのか?やはりニックの行動には謎がある。
そしてカトレアは孤児院での出来事をロイドに話した。
すると・・・
「僕の考えだが、ニックはアニーに会いに行ったとは思わないな。抜け出した理由は分からないが、現に住所を記したメモを残していったのだろ?園長に迎えに来てほしいって思っただけなんじゃないかなぁ?普通は自分を捨てた人と住みたいなんて思わないだろぅ?」
一概にもロイドの意見が間違いではないと感じたカトレアは、何も言い返せなくなってしまった。
ロイドも抜け出した理由は分からないと言っていたが、なぜ誕生日に出ていったのか?
その日に一体何があったというのか?
カトレアにはニックの考えがをつかめずにいた。
けれどアニーの亡き今、その日のことを知る人は居ないのも事実である。