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第29話 少しずつ近づく足音②
「で、どうして彼が警察に呼ばれたの?・・・ひょっとして彼が疑われているとか・・・?」
心配そうにロイドに尋ねるマリア。するとロイドはすかさず
「いや、そうじゃないよ。気になることがあったから話を聞かせてもらっただけで、ニックは全く関係なかったよ。」
それを聞くと、安心したのかマリアに笑顔が戻ったのである。
その後はというと、マリアの口数も増え、ロイドは終始笑顔を絶やさずに話に花を咲かせていた。
そんな中、カトレアはと言うと、孤児院での出来事をそれとなく聞くチャンスを探していたが、聞くきっかけを見つけることの出来ないままニックは帰り支度を始めている。
「それではこれで・・・。」
ニックが背中を向けたとき
「これから君の親は私達だからな。」
「はい、ありがとうございます。」
ロイドの一言にニックは笑顔で応え、チラッとカトレアを見て頭を下げた。
カトレアはニックに何もかも見透かされている様な気がして、ニックの目を見る事が出来ずにいる。
そして今回もカトレアは目をそらしてしまっていた。