第27話 ニックの両親②
「・・・。」
カトレアはこれでロイドの話が終わった事に気付かなかったようで、少し間があいてしまった。
仕事に戻ろうとしているロイドにカトレアは慌てて
「ニックは?睡眠薬を買ったのはニックなのよね?」
「あぁ・・・。その事はもう解決している。ニックは昔から睡眠薬がないと眠れないらしく、定期的に購入していた。おそらくアニーはそれを盗んだのではないかと思う。買ったばかりの睡眠薬がある日無くなったことがあったとニックは言っていたから。」
何か謎の多い話であるとカトレアは思っていた。
ロイドの言うように、同時に別々の場所で自殺するのは変である。
アニーがニックから睡眠薬を盗み、クラウドという男と分けたとしても、どうして一緒の場所ではないのか?交際していたのならなおさら不思議である。
もう少し話を聞きたかったが、とてもカトレアが入って行ける雰囲気ではなく、ロイドも忙しそうに現場に戻っていってしまった。
帰りの電車に揺られながら、今日の出来事を思い出してみるカトレアだったが、謎が増えただけであったことに困惑している。
アニーとクラウドの死。睡眠薬。そしてニックの行動。
孤児院で15年生活していたニックはどうして突然消えたのか?
アニーに会いに・・・?
そう考えるとメモが納得いかないのである。
突然居なくなったのに普通は行く場所を記したメモを残すだろうか?
・・・本当の母親のように接していた園長に迎えに来てほしかった?
それとも・・・これから起こすであろう『とんでもないこと』を止めてほしかったのか・・・?
どれだけ考えても納得のいく答えが見つからず、ニックに直接聞く以外に行動を起こす術はなくなってしまったのであった。