11/110
第7話 黒い影②
長い1日が終わり、ようやく自宅に着いたのは、夜中の3時。
当然マリアもロイドも眠っている。
「遅くなってごめんね。」
眠っているマリアの頭を撫で、カトレアも眠ろうと立ち上がった。その時
「ママ。」
振り返るとマリアが眠そうに目をこすっている。
「ごめんね。起こしちゃった?」
ロイドを起こさないように小言で言うと、マリアはカトレアにすりより、泣き出してしまった。
「どうしたの?怖い夢でも見たの?」
聞いてもマリアは泣き続けている。
カトレアもマリアを抱きしめるが、やはりこんなときでも同じ映像が頭に浮かんでくる。
「怖い夢を見たの。真っ黒いのに追いかけられるの・・・」
マリアの一言でカトレアは意を決したのである。
「もう大丈夫だからね。ママが何とかするから・・・今日はもうイイコで寝るのよ。」
そしてカトレアは家を飛び出した。
音を立てずに、そっと新生児室の扉が開く。
そこには『白衣の天使』と呼ばれている人物が、月明かりに照らされ立っていた。