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屍の聲-A VOICE OF THE SILENT DEAD  作者: ゾンビーノ・ヨシタケ
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第一章 襲撃

最近サバイバルゲームなるものがしたくてたまらない。一度もやったことないですが。

目を覚ますと辺りはすっかり暗くなっていた。

ベンチで2時間ほど眠ってしまったらしい。

弥生は呆れて帰ってしまったのだろうか。    しかし周りを見渡しても人っ子一人いない。 いつもはこの時間帯でも人の通りはあった。それに加え遠くの方が妙に騒がしく感じる。


疑問を口にする前にベンチに上がってさらに遠くへ視線を伸ばす。

 

人だ。人が何人も道に血を流して倒れている。 

 

とっさに腰のホルスターにある9ミリ拳銃に手をかけた。

 

 何者かによる襲撃?傷跡から見て敵は銃を手にしている。 いや銃撃があったのなら気付かないわけがない。敵は恐らく遠距離からの狙撃、あるいは消音器{サプレッサー}を装備した銃器を手にしているのか。

前者の場合下手に動き回るのは危険だ。 後者の場合も敵がどこにいるかも分からない状態では闇討ちされる可能性だってある。

 

 「今は動かない方がいいか。」

 

しかしこの場所だと敵に見つかる可能性がある。どこかに移動しなければ。しかしなぜ自分だけ気付かれずにいたのか、不思議に思えたが、運が良かったのだと納得させた。 

 どこか隠れられる場所がないか辺りを探すが近くの公園にトイレがあることを思い出し、すぐにそこへ向かった。

 

 日は暮れて辺りは暗くなり始めていた。 左手には9ミリ拳銃を右手にはナイフを装備している。 

 

日頃使用している道だけあって薄暗くてもだいたいは道を把握出来ていた。

 

そろそろ公園に着くと思い始めたその時、

 公園に複数の人影を発見した。 ゆっくり距離を縮めていくと顔までは認識出来ないが3人いることが分かった。 

 

 小さい公園であるが、草木を上手く利用してその3人組に気付かれないようさらに接近した。

 

 どうやら、味方ではないらしい。

 

そいつらの会話を聞くと

俺は何人殺ったとか、女を見つけたからした後に殺したとか。人間性を疑うような内容を自慢げに話していた。話を聞くうちに彼らは後方の敵部隊であることが分かった。 本陣は基地周辺に展開しているらしい。 しかし明らかに部隊とは言えるほど統率がなっていないようにも思えた。

こんなチンピラどもに圧されてるのか。


自分の自慢話に満足して気がゆるんだのか二人が一人を残してトイレに入っていったようだった。 

 

 「こいつらアホだな。」 

 

 残された一人はトイレの前でタバコを吸っている。僕はトイレの入口の反対側に周りトイレの壁に沿ってゆっくりと近づく。 

 

タイミングをみてそいつの背後から襲いかかった。

 

口を押さえたら、ナイフを首に横から刺し込む。 突き刺したあとはスッと首の前側に払うように突き出すだけだ。 ここで重要なのは刺している時間を出来るだけ短くすることだ。 肉が固まりナイフが抜けなくなるので素早い動作が必要になる。さらにナイフが血で汚れたときは素早く拭き取る。そうしないとナイフの切れ味が大きく損なわれてしまうからだ。


 栄えある犠牲者第一号君を草陰に隠し、トイレの中へ入る。 

 

一人は小便していた。いきなり知らない人が来たらびっくりして声をあげてしまうだろうね。

でもそいつが声をあげる前にそいつの胸に2発弾を打ち込んでやった。 

 

 銃声に驚いたもう一人は大きいほうであるらしく個室で外の状況を仲間に問いかける、が当然返事は返るはずもなく、そいつの声だけがこだまするだけであった。。

そしてそいつの武器である銃器が不用心にもその個室の前に置かれていた。僕はその銃器を手に取ると個室のドアを蹴飛ばして中の人とご対面、したのだがどうやら途中だったらしく、 そいつの分身ともご対面してしまった。

 

 「だ、誰だお前。 コウタに何しっ・・・」

 

 「コウタってコイツのこと?」

 

もうすでに命を絶たれたコウタというらしい男のほうに顔を向けた。

 

目の前にいる男の視線の先をたどる。そこには少し前まで一緒にいた男の変わり果てた姿が目に入った。そして一気に恐怖が彼を襲い、ぷるぷると彼は身を震わせ始めた。

 

 「か、カケルは・・・どうなったんですか。」

 

 「カケル?ああ、あのトイレの前にいたやつね。残念だけどもう助からないよ。 」

 

 その男を殺ったナイフをそいつに見せた。 僅かに血痕が残っており不気味にもトイレの明かりで光っていた。

 

 「命だけは・・・命だけは助けて下さい。」

 

 そいつは目の前の男の前では無力であることを悟り、涙を浮かべ必死に命乞を始めた。

それも下半身丸出しの状態でだ。 

 

 「これじゃ、僕が悪者みたいじゃないですか。それにあなたを殺すわけがないでしょう。」

 

 僕は優しく、 その男に微笑む。

 彼もほっと安心して溜め息をこぼす。


しかしその後の発言で男は再び絶望した。 

 

 「だって死んだら拷問して情報を引き出すことが出来ないじゃないですか。」

 

 僕は彼にもう一度微笑みながらそう言うとそいつの頭を銃床で殴りつけ、 彼を拘束した。彼にはしばらくここで留守番してもらうことにする。 

 

 

 

 

 

 

 やつを本格的に拷問をするのはこの戦闘が終わってからだが、あらかじめ僕はそいつからいくつか情報を引き出していた。

 

 敵の数は40人弱。武装は拳銃、クロスボウ、 2連散弾銃、 MP5などで一人一丁は銃器をもっているらしい。

 

彼らの目的はあくまで物資や女性の誘拐では無く、ある種の敵戦力の調査のようなものらしかった。

 

しかし当然これが許される訳がない。彼らには命をもって償ってもらう。

 

 僕はさきの結果奪い取った武器を装備し後方から敵部隊への攻撃をすることにした。

 

幸運なことに無線機の類を敵が利用していなかったことが敵部隊への襲撃を可能にした。

 

 そして基地の周辺へ移動すると案の定尻をこちらに向けて戦うお間抜けさんたちがいた。 しかしこちらの戦力を甘く見ていたのか、敵の半数以上がそこらに転がっていた。

 

 残る敵は10数人だろう。

 

「くそ、あいつら軍隊かよ。こっちの力を上回ってるぞ。 俺たちはあいつらの戦力の調査に来たのに全滅なんてシャレになんねえ。

  

  全員、撤退だ。逃げるぞ

 

  「 「 「了解」 」 」

 

 勿論こちら側は彼らを逃がすつもりは微塵も無い。

 

 基地のバリケードから味方の部隊が今度は防衛から攻撃へと打って出る。

 

 Move  Move!

 

 部隊を展開し、敵を囲んで一掃せよ。 

 

こちらアントマン、ナイトホークそちらで敵は狙撃可能か?送れ

 

こちらナイトホーク、 敵の姿を暗視ゴーグルで確認は出来たが狙撃は不可能だ。敵は現在住宅地付近一帯を南西方向へ後退中。送れ。

 

 了解した。 あとはこちらの部隊だけで何とかする。 敵の動きを常時報告してくれ。


 了解。 おっ?敵の進行方向に誰かいる。


 そりゃ一体誰だ?スコープで確認できないのか。

 

 あーあれは村雨君かな。なんでまたあんな所に・・・




 

このとき村雨はこちらに向かってくる敵の部隊を捕捉していた。

敵のリーダーさえやれば敵も混乱し、部隊は総崩れになるに違いない。 あの後方部隊がそれを証明している。 彼らは全く部隊として機能していない。


 敵から奪ったこのMP5はサプレッサーと光学機器を装備しており、敵にしては装備が充実していた。 

が、今はそれがありがたく感じる。

 

 ドットサイトの標準を敵のリーダーらしき人物に合わせる。 敵はまだこちらに気付いていない。 弾は30発。フルオートで撃てばすぐに撃ち尽くしてしまうが実際にはこのMP5はバースト射撃が可能なので無駄に弾をバラまかずに済む。


そしてMP5という銃はなんといっても他のサブマシンガンよりも命中精度が高い。

 それに敵との距離は100も無い。この銃の有効射程は200、もう十分な距離だ。

 

標準は頭。最初のやつを一発で仕留め、そしてその後動揺した敵を続けて叩く。

 

 3

 2

 1

 

 引き金に手を掛ける。

 

 乾いた銃声が響き、一度に3発の銃弾が銃口から放たれた。

 

その弾丸は吸い込まれたかのように真ん中にいた男の眉間にめり込み、男は力なくその場に倒れ込んだ。今度は腰撃ちから伏せた状態へと体勢を変える。

 

 続けて、 トリガーを引く。

 

 パパパッ パパパッ 

 

それは僕にとってはただ標準を合わせて、 引き金を引くだけの簡単な作業に過ぎなかった。


 弾が切れれば、弾倉を引き抜き、新たな弾倉を押し込む。 

 

慌てた敵が撃ち返してくるが、その弾道は右左に逸れこちらには掠りもしない。

 

一人、そしてまた一人と敵部隊は確実に犠牲者を出していく


そして彼らの抵抗も虚しく、すぐに全員仏にかえった。

 

 「全然歯ごたえのない奴らだったな。」


 念のため敵一人一人の頭に弾を一発撃ち込む。

死んだふりとか絶対許さないマンだからな。それに彼らがゾンビ化しないための対策にもなるからでもある。

 

 すぐに敵部隊が来た方向から味方の部隊がやってきて、 道に転がった敵部隊の姿と僕の顔を交互に見た。。

 

部隊のリーダーらしい人に全部お前がやったのか怪訝そうに聞かれたので、素直に首を縦に振った。 

 

 なんか不味いことしちゃったのかな。


この物語はフィクションです。

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