富士見一族
「はぁ」
「お疲れですか」
俺がため息をついた時に、エイトが声をかけてきた。
「はっ、俺が疲れる?ありえねぇな。俺は、富士見っていう家について考えていたんだよ」
「そうですか」
「富士見一族ってのは便利な反面窮屈でな」
「人を保護下に置き、安泰を守る代わりに仕えさせる一族ですよね」
「まぁ、仕えさせるかどうかは別として、護る一族ってことには変わりねぇ」
守護英雄創始の一族・富士見一族の分家である雨井富士見家。
最強の一族と呼ばれる一族。
レアスキル持ちしかいない一族(ここでのレアは、UR以上のことだ)。
俺はそこの息子だ。プロテクターというのは、要するに守る者たちだ。エネミーと呼ばれる者たちから市民を守る者たち。俺は、富士見の掟に従い空勝とエイトの二人を保護下に置いている。保護下においていいのは、1人に対して5人まで。今2人いったが、実はもう一人いる。いっちゃんだ。あんたらは、誰だよそいつって思うかもしれないが俺の昔の親友だ。青いさらさらヘアで、空勝と同じもう一人の幼馴染だ。あいつが6歳の時、父親の転勤でスウェーデンに行ってしまった。そのころは、まだ能力も弱く、何もできなかった。ただ、護るということを言っただけで。
普通プロテクターというものは、一般市民を守るが、俺たちは保護下のものを最優先に護る。便利なのか、意地がわりぃのかまったくもってわからない暗い一族である(注・富士見一族の方々の性格は、たいてい明るいです)。