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女神様との交渉

2話目です。長くなりそうなので、スキル選びは次回にします。

 私は白い光のなかに漂っている。


 あ~気持ちいいなあ……起きたくないなあ。


(もしも~し聞こえてますかー?) 


 なんか声が聞こえる気がする……お休み~ZZZ。


(ちょっと!無視しないでくださいよ!あなたの願いを叶えにきたんですよ!)


 なんだろう、綺麗だけどなんか残念な雰囲気のする声だ。


(ざっ残念!?私はこれでもめがー)


 綺麗な声だけど、寝不足の私の頭に響いてくるのでちょっと鬱陶しい。


「あの、スミマセン寝不足で頭痛いので黙ってくれませんか?」


 あれ、夢なのに声が出た?


(あっごめんなさい……ってなんで私が謝ってるんですか!)


 なんだろ、夢じゃないのかな?このままじゃらちが明かないし、答えてみるか。


「はいはい、なんですかさっきから。眠たいので要件があるなら早く言ってくれません?」


(やっと聞く気になってくれましたね!ではあらためて、はじめまして二条麗華さん。私はセレナーゼ。あなたたちがいうところの女神です)


  何言ってるんだろこのひと?


「へー、そーなんだ、スゴイネ!(棒読み)」


(貴女…信じてませんね?)


 だって、いきなり私女神ですなんて言われてもね?せめて姿を見せてくれないと。


(はあ、わかりました。姿を御見せしましょう)


 少し疲れたような声。


 次の瞬間、視界がいきなり切り替わった。瞬きをして周りを見回してみる。どうやら私は白い神殿のような建物のなかに居るらしい。神殿の中は光源が無いのに淡い白い光で満たされていた。


(これで少しは信じて頂けましたか?)


 さっきまでは頭に響いていた声が、直接耳で聞こえた。私は後ろを振り返った。


「え……」


 思わず声が漏れる。


 目の前に超絶美人がいた。女神っていうから勝手に金髪碧眼をイメージしていたけど、目の前に立っている女性の髪は綺麗な黒髪。瞳は金をそのままはめ込んだような黄金(こがね)色。


 普段は優しい笑みを浮かべているのだろうその顔は少し怒った様にしかめられている。


 視線を下げると……Oh……。見事なボンキュッボン。


 まるでメロンのような胸。そのくせ腰周りは芸術的なまでに美しくくびれている。軽く殺意すら湧いてくる……!

 

 因みに私の胸はBカップだ。大きければ良いという訳じゃないけど……ぐぬぬ。


「な、なぜそんな殺意がこもった目で私を睨んでくるのですか?」


 あれ、ちょっとビビってる?


「…………別に。それで、要件はなんですか?」


 私は気持ちを押さえて質問を投げ掛けた。


「ごほん、私が貴女にこうして話し掛けている理由は、ズバリ、貴女に私の管理する世界の発展を(うなが)して頂きたいからです。」


 女神様はビビったことを誤魔化す様にそう口にした。


「なぜ私なんですか?」


「貴女を選んだ理由はいくつかあります。一つ目は貴女が現在の世界に未練がなさそうだったから。二つ目は貴女が日本人だから。三つ目は貴女が〈あにめ〉や〈らのべ〉という創作物に詳しかったからです」


 んん?


「一つ目は分かるけど、二つ目と三つ目は何で?」


 私が疑問に思ったことを口にすると、女神様は答えづらそうに話し出した。


「実はですね、現在私たち神の間で〈地球という星の日本という国の若者を発展途上の世界に送り込んだら世界が発展する〉という噂がありまして……。それで上手くいったっていう話をいくつか聞いたので……私も試してみようかな、と思いまして」


 なるほど、つまりあれか、ヲタクたちを異世界に送り込んだら世界が発展するかもってことか。私がそんなことを考えていると、女神様が焦った様に話始めた。


「も、もちろんそのまま放り出したりはしませんよ。あなたたちの言う〈ちーと〉とかいう力を授けて送り出すのです。授ける力もできるだけ貴女の思う通りにします。」


 その言葉を聞いた瞬間私は即答した。


「分かりました。この二条麗華、女神様のご期待に全力で応えさせて頂きます」


「へ?」


 女神様は私のいきなりな態度の変化に目を白黒させている。


「それで女神様、私が行くのはどのような世界なのでしょうか?」


 そんな女神様にかまわずに私は質問した。


「あっ、えっと、はい、貴女に行って頂くのはわたしが管轄する世界の一つ、〈アルス〉です。この世界には〈魔素〉という物質があり、貴女がいた世界と違い、魔法とスキルという概念があります。

 まず、スキルというのは〈アルス〉に生まれた生物が、生まれつき持っている、または習得するための行為を繰り返すことで得ることができる技能です。後者は個人の才能に依存します。

 次に、魔素とは魔法を使うための元となるものです。魔素はとても便利なものですが、反面、良くないこともあります。魔素が一定の濃度集まると、魔物や魔獣といった特殊な生物が生まれるのです。

 これらの生物はほとんどが凶暴で、それら以外の生物を襲うのです。当然、人間も例外ではありません。これが〈アルス〉があまり発展できていない原因の一つでもあります。


 文明はそれほど発展しておらず、科学という概念はあまりありません。科学の代わりに魔法が発達したということですね。そしてもう一つ。この世界では現在いくつかの国々が戦争状態にあり、世界の情勢が非常に不安定です。これが世界の発展を妨げている最大の原因です。ふぅ、大まかに説明しますとこれくらいですね」


 女神様は一息ついてからこちらを見た。真剣な表情をしている。


「ではあらためてお聞きします。二条麗華さん、貴女は今の話を聞いてもまだ〈アルス〉へ行きたいと思いますか?」


 私はほんの一瞬迷った。でもすぐに思い直す。どうせこのまま元の世界に戻ったとしても、待っているのは相変わらず味気なくて虚しい人生だけだ。


 ならば、いっそのこと、この女神様の思惑に乗って新しい世界に行ってみたい!これが私の本心だ。私は女神様の目をまっすぐ見て答えた。


「私を〈アルス〉に連れていってください」


 女神様は私の答えを聞いてしばらくの間何も言わなかったが、やがてフワリと微笑みながら答えた。


「分かりました。貴女を〈アルス〉へお連れしましょう」


 そして続ける。


「では、貴女に与える力について話しましょう。この前友神(ゆうじん)に聞いたのですが、あなたたちは必ずと言っていいほど〈解析(アナライズ)〉と〈アイテムボックス〉というスキルを要求するらしいので、この二つはサービスしておきます。

ですので、あと二つ。貴女が希望することに極力近いスキルを与えます。」


 やった!解析(アナライズ)とアイテムボックスは是非とも欲しかったのでとても嬉しい。


 あと二つか、どんなスキルにしよう?

お読み頂きありがとうございます。


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