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掌編小説集5 (201話~250話)

0→2

作者: 蹴沢缶九郎

ある幼稚園で、先生が一つのボールを取り出し、子供達に聞いた。


「皆さん、簡単な数字のお勉強です。このボールはいくつありますか?」


子供達はしばらく考え、それぞれに答えを言う。


「0個です」


「いや、2個です」


食い違う答えに、子供達は言い合いを始めた。


「違うよ、0個だよ」


「君こそ間違っているよ、2個さ」


「あれは0個じゃないか」


「0はなんにもない事だって、お母さんが言ってたから、あれは2個だ」


そんな様子を見ていた先生が仲裁に入り、困りきった表情で言う。


「ううん、どうしましょう。確かに0でもあるし、2でもあるわ。でも間違えている気もするのよねぇ…」



この世から『1』という数字が逃げ出し、『1』の概念がなくなった世では、一つのボールは0であり2でもあったのだ。



先生は、ふと時計を見て言った。


「あら、もうこんな時間。さあさあ、皆、帰りの支度を始めて。それにしても、今は2時…それとも4時…、一体何時なのかしら…」

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