第九章〜被害者との面会
本作をお手に取っていただき、誠にありがとうございます。本作は『熟女クラブ』の【第2部】にあたる物語です。
第1部から続く重厚なサスペンスと事件の謎、そして登場人物たちが抱える葛藤やドラマをそのまま引き継ぎ、物語はいよいよ核心へと迫っていきます。第1部を最後まで見守ってくださった皆様はもちろん、ここからご覧いただく方にも楽しんでいただけるよう、さらなる緊張感と怒涛の展開をお届けします。
遺族の到着、明かされる被害者の素顔、そして浮かび上がる新たな謎——。深まる事件の真相を、ぜひ最後まで見届けていただければ幸いです。
それでは、『熟女クラブ』第2部の世界へとお進みください。
第9章「遺族の到着」
現場を後にした俺たちは、重苦しい空気のまま警察署へと戻ってきた。
署の廊下には、すでに独特の張り詰めた空気が漂っている。被害者家族の控室の前を通ると、中から殺気立った声と泣き叫ぶ声が混じり合って漏れ聞こえてきた。
「……警部、桂木正雄さんが到着されました。それと、息子さんたちも」
若い捜査員が恐縮した様子で駆け寄ってくる。
商社の部長を務めているという桂木正雄は、スーツのネクタイを緩め、疲れとショックで今にも倒れそうな顔つきでパイプ椅子に腰掛けていた。その隣には、制服姿の高校生二人と、私服の長男が呆然とした表情で並んでいる。
「桂木さんですね。捜査一課のものです。……この度は、本当になんとお声をかけてよいか」
俺が声をかけると、桂木は力なく顔を上げた。その目は赤く腫れ上がり、現実を受け入れられない拒絶の色が色濃く残っている。
「刑事さん……妻が、友美が本当になくなったんですか? なにかの間違いじゃないんですか……? あいつはただ、いつものように……」
絶句する桂木の言葉を、長男が「親父、落ち着けよ!」と震える声で遮る。下の兄弟二人は、唇を噛み締めながら床の一点を見つめたまま動かない。
哀しい対面の時間が刻一刻と近づいていた。
俺はポケットの中で手持ち無沙汰になったタバコの箱を強く握りしめ、言葉を呑み込んだ。
「まずは、お召し物などの確認をお願いすることになります。辛い作業ですが……ご協力いただけますか」
遺体安置室へ続く冷ややかな地下廊下を歩きながら、俺の頭の中では疑問が渦巻いていた。
60歳で家庭を守り、持病の通院をしていたごく普通の主婦が、なぜあのような凄惨な現場で命を落とさなければならなかったのか。
身元が割れたことで、いよいよこの事件の深部へと足を踏み入れることになる。
お読みになっていただきまして誠にありがとうございまきた。熟女倶楽部第二部、ここから捜査が進展していきます。おたのきみに




