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神「賢者が魔法を使えるなんて、誰が決めた?」  作者: 源泉
第三章:関連ワード「光」「影」——結果が揺らいでいます

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14【困惑】ケンサク「主人公補正どこ?」



ホタルは必死にふわふわと飛び回り、巨大な狼の注意をひきつけようとする。

しかしその光は弱々しく点滅し、今にも消えそうだった。



「ケン、サク……そろそろ私、本当に、限界……」



ホタルがふらりと傾くたび、魔物の赤い瞳がギラリとゼドへ戻る。

ケンサクはホタルたちのほうへ走りながら必死に考える。



「追い払うことはできるかもしれない……けど、もしあの村に向かったら……」



森に響く魔物の唸り声。

地面を削る爪音。

思考がまとまらず、空回りする。


ホタルの光がほとんど消え、ゼドへと魔物の視線が戻った。



「だめっ!!」



リテナが叫び、弓を引く。

放たれた矢は魔物の皮膚を傷つけこそしなかったが、視線をこちらへ向けるには十分だった。



「ごめん、ケンサク!勝手なことして……でもあのままじゃゼドが……!」



ケンサクは焦りで息が詰まる。



「ああ、限界だったろうな。交代には丁度いいタイミングだった!俺とリテナで二手に分かれて――」



魔物が飛びかかる準備をしながら低く唸る。

距離が、近い。



(こういう時だけ冷静になるとか、視界がスローになるとか……

そういう“主人公補正”、来ないのか?)



ケンサクの脳内でどうでもいいツッコミが鳴り響く。



「リテナじゃなくて、せめて俺の方を向けよ……!」



ケンサクは石をつかみ、魔物に向けて投げつけようとした——その瞬間。



世界が、静かに白く染まった。



音が消えたわけではない。

ただ、すべてが遥か彼方に押しやられたように小さくなる。


そこに降りてきたのは、一本の光。

鋭く、澄み、触れれば崩れてしまいそうなほど純粋な。


光が大地に触れたその一呼吸後――

魔物の巨体は、ただ静かに倒れ伏していた。

肉が裂ける音も、血が弾ける音も聞こえない。


“そうなっていた”としか言いようのない、完了した結末だけがそこにあった。



「……な、何が……」



ケンサクは息を呑む。

リテナは声を失う。


光の中に立っていたのは――

白い鎧に身を包み、白金の髪を風にも揺れずに垂らした人物。


返り血は一滴もない。

その佇まいは彫像のようであり、祈りの像のようでもあった。


人物はゆっくりと剣を横に払う。

まるで儀式の所作のように完璧で、無駄がなく、美しい。


ケンサクの言葉を使うのなら、圧倒的な“主人公”感があった。



その姿を見たゼドが、息を震わせた。



「……勇者様!」



ケンサクとリテナははっと振り返る。

そこに立つのは――

世界が“勇者”と呼ぶ、ただひとり。

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