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神「賢者が魔法を使えるなんて、誰が決めた?」  作者: 源泉
第三章:関連ワード「光」「影」——結果が揺らいでいます

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12 【緊急】森にヤバい魔力反応



森の奥へ踏み込むほど、空気が重く湿り、葉擦れの音すら吸い込まれるように静かになっていく。


ホタルがぴたりと止まり、きょろきょろと周囲を見渡した。



「……なんか、大きい魔力が動いてる気がする」



ケンサクは声を潜めて尋ねる。



「気になるな、方向はわかるか?」



ホタルは小さく光を絞り、片方の手……いや、光の粒のような身体をふわりとそちらへ向けた。



「……あっち。たぶん近いよ」


「よし、音を立てないように行くぞ」



三人は息を殺し、落ち葉を踏まないようにゆっくり進む。

しばらくすると――



「もうすぐ……あ! あそこ!」



ホタルが示した先で、黒い影がうごめいた。

木々の隙間から見えたのは、灰色の狼。

しかし、その大きさは狼の範疇を越えていた。


肩までの高さが人間の胸ほどもあり、全身の毛並みは逆立ち、

赤く光る瞳には魔力が濃くまとわりついている。

ケンサクが低く呟く。



「昨日、森に入ってすぐ見つけた“中型の巣跡”……

何かに追われたみたいに荒れてたけど……、あいつが原因かもしれないな」



リテナが息を呑む。



「あの魔物……ケンサクと初めて会った時のやつに似てる。

でも、こんなに……大きかったっけ?」



ケンサクは少し考え、口を開く。



「確かに、前に見たやつより随分大きい……大型の魔物が減って、食物連鎖が崩れたんだろうな。

小型の数も増えて……生き残った個体が巨大化してる可能性もある」



ケンサクは分析しながらも、じわりと汗が背中を伝うのを感じた。

そんな時――リテナが震える声で叫んだ。



「ケンサク! あれ――昨日の!」



指さす方向へ視線を向けたケンサクの胸が冷たくなる。

白いローブ。

金糸の縁取り。

細い体を必死に支えるような、ふらついた足取りの少年。



「……ゼド……!」



朝早くに村を出たはずのゼドは、今にも倒れそうなほど息を切らし、大きな狼の魔物に追われていた。


「ケンサク!助けなきゃ」



リテナが焦った声を上げる。

ケンサクは眉をひそめつつも、否定はしない。



「……気持ちはわかる。けど、相手は勇者の仲間の“魔法使い”だ。

俺たちが下手に手を出したら、逆に足を引っ張るんじゃ?」


「でも、このままじゃ……!」



リテナの声は震えている。

確かに、ゼドはすでに限界間近で、足がもつれそうだった。


ケンサクは息を飲みつつ、距離を詰める。

その間にもゼドは魔法らしき光を展開していたが――



「……攻撃してない?」



ホタルが首を傾げる。

ケンサクもすぐ察する。



「防御と撹乱ばかりしているな。

攻撃したら魔物が村のほうに向かう……そう判断してる、のか?」


「じゃあ……守りながら引きつけてるの?」


「……いや、それにしても動きがぎこちないな。

何かおかしい」



魔物が地面を抉る勢いで迫る。

ゼドの足元はふらつき、倒れるのも時間の問題だった。

ケンサクは決断し、リテナに短く指示した。



「リテナ、弓を撃てるか?すぐに」


「う、うん!」



リテナが弓を構えるのを確認すると、

ケンサクは自分の肩にいたホタルをむんずと掴んだ。



「えっ!?ちょ、ちょっと!?

ケンサク、なんか嫌な予感しかしないんだけど!!?」


「ホタル、前に聞いたサポート機能の結界って“俺だけ保護”とかじゃないんだよな?」


「……“機能”って言い方!

まあ範囲は狭いけど、対象は一人に限定されないよ」


「よし。じゃあ話が早い」



ケンサクはホタルを矢へ“ぎゅむっ”と押し付ける。



「ケンサク!?

ねぇ待って!? なんかデジャヴ……!!」


「しっかり掴まれ。

リテナ、あの時みたいに“正確に”撃ってくれ。

ゼドと魔物の間を狙って」


「うん!任せて!!」



リテナが弦を引き絞り、ホタルが泣きそうな声を上げる。



「ホタル!まかせたぞ!まずは魔物の視界を奪うんだ!」


「いやぁぁぁあ!!

なんで私いつも飛ばされる役なの~~!!?」


「行けぇッ!!」



ビシィンッ!



矢は光をまとって一直線に飛んだ。

ホタルの小さな悲鳴を響かせながら――。


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