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神「賢者が魔法を使えるなんて、誰が決めた?」  作者: 源泉
第三章:関連ワード「光」「影」——結果が揺らいでいます

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27/43

3 この状況に最適な処理を実行中……



リテナが震える指で奥を指し示す。

「こっち……早く!!」



リテナの声に押され、三人は一気に駆けだした。

走りながらケンサクは耳を澄ませる。風と木々のざわめきを切り分けるように。



「……群れだ。小型と中型が混じってる。それに――」



わずかに眉が動く。



「走ってくる音じゃない。“囲んでる”ときの動きだ」



ホタルが驚いたように光を揺らした。



「音だけで分かるの!?」



返事をする暇もなく、視界が一気に開けた。



巨大な木の根元。

その幹に背中を押しつけ、小さな子どもが必死に泣き声を噛み殺していた。


その周囲を――



イノシシ型の魔物が、低い唸り声を立てながら円を描いて歩いている。

リテナが息を呑む。



「助けないと……でも、数が多い……!」



ホタルが小さく声をあげた。



「私が強く光って目くらましして、その隙に――」


「ダメだ」



ケンサクは即座に否定する。



「視界を奪ったら、こっちも動きが読めなくなる。それに……あいつら、肉食じゃない。

縄張りに入った子どもを“追い出そうとしてるだけ”のはずだ」



リテナが目を丸くした。



「そんなところまで分かるの……?」


「なんとなく、だけどな」


(獲物として見られていないなら、気をそらした隙に助けられるはず……

だけどあの群れに巻き込まれたり、突進されたら危険には変わりない……勢い、獣、群れ……)



ケンサクの瞳が自身の知識を見つめるように淡く光を泳がせ、やがてやがて言葉をすくい上げる。



(……勢は弩の機なり。

弓が引けてなきゃ矢は飛ばない――つまり“勢い”を壊せば突進は起きない)



ケンサクは息を整えながら、群れの足の位置を見定め、自身の周りも見回す。



そして地面にしゃがみ、手近な草をつまんで匂いを確かめる。



「……ちょうどいい」



ぎゅっと握りつぶすと、鼻をつく匂いが立ちのぼった。



「ケンサク、それで魔物を追い払うの?」


「いや。たぶん逃げはしない。でも気をそらせる」



街で得た薬草の知識が頭をよぎる。


ケンサクは子どもと魔物の間へ、草をちぎって次々に投げた。

刺激臭が風に乗る。


途端――魔物たちの並びがぐらりと歪んだ。



「よし……まず一つ」



ケンサクはすぐに風を読む。



「風は東から。子どもは風上へ……あそこ、倒木の陰だと追いづらい」


「ケンサクが行くの?」



リテナが問う。



「ああ、俺が子どもを抱えて走る。だからリテナは――」


「待って!」



強い声でリテナが首を振った。



「体を動かすのはケンサクよりあたしの方が向いてるよ。農作業で鍛えてるから!」



ケンサクは一瞬驚き、それから頷いた。



「……たしかに。じゃあ絶対に安全な道を作る。任せた!」



駆け出すリテナの足に迷いはない。




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